外を知った異分子の帰還に始まる、村社会のカタストロフは彼女の十八番。流石です。
「血赤珊瑚」という乱獲で僅かになってしまった資源を流失させないという名目の元、徹底的に余所者である異人エンゾを排斥し、それでも手に余ると葬ってしまう村。それでいて資本流入の為の「道」は欲しい、という我侭な社会。
政治家になれと外へ出されていた主人公が帰郷して目にする現実は、思い人のしなやかな抜き手ばかりではなく、愛も金もひっくるめた「欲」に前向きな知人達。「救う」とか「癒し」の故郷ではなくお互いを貪り合う人間集団としての「家」。
何もここまで醜く書かなくても良いのでは?と思わなくもないが、醜悪であればあるほど現実のように思えてしまう。
好きな男の欠片を噛み締めて、補陡落渡界と洒落込んだりんは幸せだったのかもしれない。
大正時代の四国の鄙びた漁村で起こる人間模様。村人達それぞれのどろどろとした欲望、思惑が非常にリアルに描けていて、ここで起こっていることは現代の日本の縮図とも言えるかも。なんと言っても「事件」の発端はぎらついた欲望と同時によそ者を徹底的に受け付けない排他的感情からくるものだから。人間の醜くさや理不尽さがこれでもかと描かれるなけで、唯一の救いはりんの存在。りんの旅立ちの場面は思わず涙。りんのその後、ぜひ続編を書いてもらいたいほど。その他登場人物はみな一癖ありそれぞれ非常に魅力的。それだけでなく磯の香り、波の音、汗や血のにおい、思う存分楽しめます。この本はこれから私の本棚を飾るだけでなく。何べんも読み返していくと思う。
『桃色浄土』の「桃色」は珊瑚のこと。この珊瑚を巡り、大正中期の四国の漁村で、様々な人間模様が描かれる。平穏だった村の生活が、欲望に取り憑かれた者たちによって変わっていく様は、リアリティがあり思わず引き込まれる。ラストシーンもすばらしく、思わず最初から読み返してしまうほど。
この本は私が今まで読んだ中で最も面白い本の一つです。
主人公の健士郎の心の動きを追いながら読み進めるうちに、村でただ一人の海女、りんへの強い憧れを抱くようになります。浅黒い肌に輝く瞳、強いプライドを持った彼女は同性から見てもドキドキするような魅力に溢れています。やがて「桃色珊瑚」をめぐって村人の醜い争いが始まり、珊瑚を追って土佐湾へやってきたイタリア人エンゾとりんの恋。エンゾがりんに語る夢の島”パラディーゾ=桃色浄土”の素晴らしい世界観。
読んでいる最中一度として退屈することのない、最高の時間を約束します。是非読んでみてください。時間があっという間に過ぎるに違いありません。
16位のときに初めて読みました。作者の出身地や舞台が自分の出身地と同じであったので、余計に感情移入してしまいました。 先が気になって本を閉じることが中々出来ませんでした。暗い、醜い、綺麗と哀しい、苦しいがたくさん詰まったお話です。あまりにも理想的で、残酷でした。
買って絶対に損はありません。