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東電OL殺人事件 (新潮文庫)
佐野 眞一
価格: ¥740 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 2003/08
ISBN: 4101316333
おすすめ度:2.5
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   1997年3月8日深夜、渋谷区円山町で、女性が何者かによって絞殺された。被害者渡辺泰子が、昼間は東電のエリートOL、夜は娼婦という2つの顔を持っていたことがわかると、マスコミは取材に奔走した。逮捕されたのは、ネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリ。娼婦としての彼女が、最後に性交渉した「客」であった。

   本書は、事件の発端から一審判決に至るまでの一部始終を追ったものである。その3年もの間、著者は、事件にかかわりのある土地に足繁く通い、さまざまな証言を集めた。事件現場となった円山町は言うにおよばず、ゴビンダの冤罪を晴らすべく、はるかネパールにまで取材に行った。立ちはだかる悪路難路を越えて、彼の家族友人から無罪の証言を得ようとする著者の姿には、執念を感じてしまう。

   ネパール行脚が終わると、裁判の模様が延々と書かれている。ゴビンダを犯人と決めつけている警察の捜査ひとつひとつに、著者はしつこく反論していく。このくだり、読み手は食傷気味になるかもしれない。だがその執念も、ともすればステロタイプにくくられがちな「エリート女性の心の闇」に一歩でも迫りたいという一念からきたのだろう。著者は、確信犯的に堕落していった渡辺泰子に対して、坂口安吾の『堕落論』まで引用して、「聖性」を認めている。その墜ちきった姿に感動している。この本は、彼女への畏敬と鎮魂のメッセージなのである。(文月 達)

ノンフィクション界に於ける汚点になる駄作
猟奇殺人、多重人格など犯罪心理学的な事に興味があり、新潮45シリーズ等読みあさってきたが、これ程読みにくい、最初から最後まで入り込めず集中力さえ削がれるノンフィクションに出会ったのは初めてです。
とにかく、著者の主観の多さと、無理矢理小説らしくしたいのか、リアリティの無い表現がこれでもか、というほど散りばめられて、内容の割に頁数だけ増えた一冊です。

もしかすると、○○頁位で仕上げると決められて書いたのかと疑ってしまう程。
ジャーナリストの限界か
事件のアウトラインを知るにはまぁ、悪くはない。
私はこの事件が起こった頃、とても気になりつつも多忙で情報不足だったため、
後追いでこの本を読んで知った事実も多数あった。

もちろん他の方がおっしゃるとおり、思い込み(思い入れ?)が強すぎるように感じたり、
容疑者は冤罪ではないか?という方向に話が進んだりするしで、
結局被害者の行動の意味は解明されないので(佐野氏自身の考え(これも思い込みっぽい)はあるのだが、外していると思う)
不満はモヤモヤと残るが。

しかし、ジャーナリストに精神分析までは無理だとも思う。
(これは決してジャーナリストを貶めているわけではない。念の為)
私はジャーナリストには、事実を緻密に調べて、事実の積み重ねから見えるものを提示する以上は期待していない。
その点でこの本では、不必要に思い入れて踏み込んでしまったために失敗作になったような感がある。

ちなみに被害者の彼女の心理分析については、私の知る範囲(狭いよ・・・)では、
斎藤学氏の『家族の闇をさぐる』の10章以降がなかなか興味深かった。
こんな事件だとは知らなかった
興味深く読んだ。しかし、「OL」というと事務系アシスタントの女性を想起させるので、この場合には適切でないようにも思われる。

1997年3月、東京電力のキャリアウーマンの女性が渋谷円山町の古いアパートの一室で遺体となって発見された。本件は殺人事件として捜査され、被害者の渡邉泰子(当時39歳)の生活が明らかになるにつれて世間の関心を集めていった。渡邉は32歳頃から売春を始め、事件当時、東電での勤務終了後に円山町の街頭に立って客引きをしていた。また、勤務のない土日には五反田のコールガールクラブに勤務していた。自己に課した「ノルマ」は一日四人だったとみられ、ノルマをこなすために相当低額・劣悪な環境で「仕事」をすることもあった。例えば、事故直前の手帳には、「?外国人、0.2万円」という記載が見られる。知らない外国人と2千円で仕事をしたということである。また、駐車場や屋外で客の相手をしていたことも諸々の証言から明らかにされている。

容疑者とみなされていたネパール人には2000年に無罪判決が出た。ここまでが本書で追いかけられている。しかし、(本書の刊行後)控訴審では逆転有罪判決、上告は棄却。これは、読んだあと調べてみて衝撃的だった。ほんとかな。

筆者は、「この事件を知ったとき、身内から大量のアドレナリンが分泌されるのをはっきり感じ」、例えば前後して起こった事件 ――― 和歌山砒素カレー、酒鬼薔薇、新潟少女監禁、――― などの大事件とは違う、「『生理』のレベルまで突き刺さる」衝撃を受けたそうだ。ぼく自身、どちらかというとワイドショーを見るような好奇心をもってこれを読み始めたが、渡邉泰子の突飛な行動に驚嘆し、衝撃を覚えながら読み進めた。渡邉は、杉並の裕福な家に生まれ育ち、慶應高校から慶應大学に進み、当時としては数少ない女性総合職(東電には総合職/事務職の区別はないが、実質総合職採用であった)として東京電力に入社した。しかし、32歳以降の彼女の人生は売春にほとんどのエネルギーを注いでいたように見られるのである。

しかし、よくよく考えてみると、誰にでも何かしら趣味があり、退社時間から寝るまでその趣味に没入しているという人は少なくない。そのような趣味人は尊敬や羨望の念を持って眺められることもある。それは酒でも音楽でも食事でも読書でもありうる。最近ならブログでもよい。渡邉の場合は、それがたまたま売春だったのではないかとも思われる。好きでなきゃこんなに一所懸命街に立てないでしょう。これってあまり行儀のよい趣味とは思われないし、応援も共感もできない趣味ではあるが、少なくともセクハラ・アルハラ・パワハラが趣味みたいなおっさんたちよりは世の中に迷惑をかけていないということも言える。
ノンフィクションとしては悪い本・・・ですが・・・
面白いのは著者が取材中に出くわした警察検察の闇の部分です。
信じられないほど杜撰で怖い事実が記されています。
これが本当なら著者が冤罪事件だと思い込むのも無理はないw
見込み捜査の恐怖、最初から結果を導く為の捜査の手法がわかる。
この一点で☆2つ。

もっとも怪しい捜査を抜きにしても犯人が真犯人である可能性は
大いにあると追記しておきます。
読むとがっかり
この本をどんなジャンルに入れたらよいのか非常に困ってしまう。

一応ジャーナリストが書いたルポなのだろうけれど、非常に推測の部分が多く、何ともお粗末と感じる。

昼間はエリートOL、夜は立ちん坊をしていた売春婦と言うことで事件が起きた当初は非常に話題になったので手に取ってみたが、正直がっかりした。

被害者の生活のことを考えると、証言を頂くことは不可能に近く、また単なる好奇の目で見ていない事は評価するが、ルポではなく、この事件を題材として全く別の小説を書かれた方が良かったのではないかと思う。

正直、久々に「読んで損した」と思う本でした。



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