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潤一 (新潮文庫)
井上 荒野
価格: ¥420 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 2006/11
ISBN: 4101302510
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 104007位
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物語の擬似性さえも疑わせる気ままな主人公
潤一という26才の青年が主人公の、女性関係観察抒情詩的な短編集。
いろいろな年齢層・立場の女性と「関わり」を持っていく話なのですが、
各話で、何らかの形で纏わりついてくる嫌悪感と、「あるよな、そういう
感情って」というシンクロ感の割合が、前者が大きく勝つものと、後者が
大きく勝つものに分かれています。
それを最後の一編が中和させる構成になっていますので、短編集としての
纏まりを最後に紐閉じした感じの本かな、と感じます。
好き嫌いが分かれると思いますが、紅茶でも飲みながら、サラッと1編
ずつ読んでいく感じが似合う本かと思います。
構成、人物造形、素晴らしい文章力
伊月潤一、26歳。定職にも就かず、定住することもなく、ただただ何かに流されて行くかのように生きている「自由人」。
女性を引っかけSEXをし、一時点をその女性と「時」を共有するものの、いつの間にか居なくなってしまう。
憎らしいけれど、憎めない存在です。

そんな彼が、14歳から62歳の女性9人と出会います。
それぞれの女性に共通するのは、彼と出会う時、それぞれが人生のエア・ポケットに落ちているような状況であることです。
だから、そこでの彼との一期一会は、彼女らの「心」に残って行きます。

作者は、この9人の女性の目から見た「潤一」を9編の短編に収めます。そして、10編目には、「潤一」の自己分析とも言える短編を持ってきます。
この構成の上手さ、「潤一」を初めとする人物造形の見事さが、読者を捉えます。
現実の物語から離れた「夢物語」のような作品です。



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