ひとつ前に戻る

鳳仙花 (新潮文庫)
中上 健次
価格: ¥580 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 1982/10
ISBN: 4101274010
おすすめ度:3.5
Amazon ランキング: 336365位
発送可能時期:

amazonの詳細ページへ
受身の力
あの名作「枯木灘」で、人間の基本的な諸関係の反復を積み重ねることによって、驚くべき強度をもつ表現を達成した筆者は、直ちに紀州全域に及ぶルポルタージュを敢行した。その達成した強度の普遍性を実地に検証するかのように、いやこの強度では国家や歴史の謎を切れないと早くも認識したかのように。ついで新聞に半年間連載されたのがこの「鳳仙花」である。この期間の最後には、筆者は家族を伴って長期のアメリカ滞在へと出国してさえいる。

 「鳳仙花」で挑まれたのは、このような反復の積み重ねが、いかにして人の半生を形成するのか、その持続のありようを定着する試みであった。この手続きなしには歴史の謎の解明には決して届かないであろう。

 主人公フサの徹底的な受身の力は、人間の基本的な諸関係の反復を明晰に認識すると同時に、それらを貫いて自らの半生を持続させる叡智の相貌を備えている。この資質は作家中上の基盤をなすものとして十全に受け継がれている。その意味で「鳳仙花」は、作家の半生の自伝でもあるのだ。

オリュウノオバ
中上健次にしか表現できない「路地」に住まう人々の生活。
この物語は「鳳仙花」だけで終わらず、その後、この本の主人公の子供A、主人公の子供の明輩、主人公の子供B……等々、いろいろな人物の物語を書いています。別本で刊行されていますので探してください。

本の中で知った名に出会うと「お前のことは産まれる前から知っている…」とちょっと得意になります。
日に肌を焼き、夜に酒をあおり、女を口説く。
そういう路地へ立ち寄りたくなる小説です。
「鳳仙花」では、そんなに男衆が活躍する場面は描かれていませんが…。




本のみちしるべ Powered by Amazon Web Service
PR: FS研究室