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噂 (新潮文庫)
荻原 浩
価格: ¥660 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 2006/02
ISBN: 4101230323
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 30410位
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確かに衝撃のラスト
「衝撃のラスト一行に瞠目!」がウリのこの作品。
私にとっては初の荻原さんのミステリーでした。
お馴染みのユーモア小説とは一変し、
荻原さんってこういうのも書けるんだ〜とちょっと意外な感じも。

しかしやっぱり"読ませる力"はどのジャンルにも不変。
ちょっと不気味で恐怖を感じる犯罪が次々と起こりますが、
登場人物のキャラや会話が相変わらず楽しいので、
読みながら暗い気持ちに押しつぶされることはありませんでした。
あくまで"荻原流"ですね。

言い換えればミステリーとしての読み応えとか、深さとか、
そういうのを期待して読むと外れてしまうかもしれません。
トリックや推理を重視した本格ものではなく、サイコ・サスペンス。

が、決して内容が軽いとか薄いとかいうわけではなく、
「噂」(都市伝説)の怖さ、現代の親子のコミュニケーションの薄さなど、
随所で訴えられている社会問題の数々が、犯人の異常心理同様に興味を引きました。
衝撃のラスト一行!
「衝撃のラスト一行!」というコピーは、本を手に取るキッカケとしては
うまい。ただ、最後の章に入ってすぐに、「ああ、あのセリフがくるな」
と予想できてしまったので悔しかった。

それにしても荻原さんの小説を読むたびに、
この人すごく取材しているんだろうなと思わせるほどに
細部の描写が緻密で感心させられる。だからこそ
安心して読めるし、「読書とした」という充実感も大きい。
エンタメ作家の鑑のような人です。
着眼点は良いが、結末は予定調和的
「噂」と言う題名通り、冒頭で口コミ宣伝の女魔術師"杖村"が紹介される。杖村は、ある香水の拡販のため、"レインマン"の噂を女子高生を使って流した過去がある。レインマンは可愛い女の子を襲い、足首を切断するが、その香水を付けていれば難を逃れられると言うものだ。この作戦は当たり、香水はヒットするが、いわゆる都市伝説としてレインマンの噂は女子高生の間で流布する。

そして、この噂を踏襲するかのような女子高校生の殺人事件が起きる。物語は、杖村を知る広告代理店の西崎、ベテラン刑事の小暮の二人の視点で語られる。警察はレインマンの事は知らないが、西崎と読者は知っている。これで、犯人が杖村かその周囲の人間、あるいは口コミの発信源に使われた女子高生では工夫が無さ過ぎる。被害者には性的暴行の跡がないが、これで犯人が女性ならやはり芸が無さ過ぎる。犯人がサイコ・キラーなら尚更。作者のアイデアが問われる所だ。それとも単に「噂」の怖さを描こうとしているだけなのか ? 小暮の捜査上のコンビは本庁の若い女性警部補の名島。こうした設定はありがち(女性上司が我娘と言う作品もある)で、新鮮味に欠けるが、名島のキャラは光る。

小暮達もレインマンの噂を知った頃、同様な殺人事件が起きる。被害者は小暮の娘の菜摘の親友。そして、被害者が共にあの香水のモニターだった事に小暮が気付く。イヤッ-な予感が走るが、インターネットを用いた杖村への"噂の反撃"と言う発想は面白いと思った。そして発見される第三の死体。ところが、犯行時期はモニター会の前と推定され、更に名島は重要なヒントに気付く...。私もココで読めたが。

「噂」の脅威に着眼した点は鋭いが、結末が予定調和的(最後の会話はツイストになってない)。「噂」と犯人像の交錯点に工夫を持たせれば、更に良くなったと思われる作品。
ひしひしと伝わってくる切迫感
娘を心配する時の焦りがしっかり伝わってきます。
犯人も意外な人物だったし、話も結末には目を見張るものがありました。
芸術
読み手を引き込ませるテクニックが素晴らしいです。普段あまり小説を読まない私ですが、通学時間だけで一気に読むことができました。登場人物の人物像、やりとりの巧妙さ、作品全体のテンポ、ストーリー、どれをとっても素晴らしいのですが、そのすべてを最後の一行で打ち壊しています。最後の一行がなくても完成された素晴らしい作品になることを荻原さんは分かっていた、その上で最後の一行を加え作品を打ち壊し、読み手にモヤッとした気持ちを与えることを楽しんでいるような気がしてなりません。ある種、芸術ですね。



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