タイトル作「魚籃観音記」や「市街戦」など,筒井らしい作品も収録されているが(にしても,野坂昭如の解説は何なんだろう? 本当に呆けてしまったのか?),巻末の「ジャズ犬」「谷間の豪族」がよかった。
広場に犬が集まってジャズを演奏し,それを猫が聴いて楽しむ,という「ジャズ犬」。人間には騒音としか聞こえないため,野良犬・猫狩りが行われることになってしまった・・・抑制の利いた切なさを感じさせる作品だった。
3000段近くある石段を下った谷間にある妻の実家に住むことになった,という「谷間の豪族」も,何となくファンタジー仕立てのようないい味の作品だった。確かに,そんなところに住んでいたら,たまに東京に出てきたときには買い物などしまくることにもなろう。そこに,東京で一夜を過ごしたことがある女性が来て・・・こちらも,何かほっとさせられるような不思議な味わいの作品だった。
魚籃観音記 (新潮文庫)
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比較的最近の短編集。一時、"文学"の方へ顔を向けていた作者が久々に初期のドタバタ・ナンセンスものに帰って来た感があるが、全体的にトーンが落ち着いているのは、様々な障壁を乗り越えて一皮向けたせいか。
タイトル作「魚籃観音記」は故事を基にして究極のエロスを追及したもの。「弁天さま」では伏字を連発していたのに比べ、直截的な表現を用い、読む者を喜ばせる。表現自粛に作品で反駁したものか。「市街戦」は日常と非日常の倒錯を描いた筒井らしい作品。「作中の死」は小説における登場人物とモデルの関係をブラック・ユーモア的に扱ったものだが、柳美里事件が影響しているのかもしれない。「谷間の豪族」は筒井が良く扱う、通常世界の人間が異界(何故か谷間が多い)に抱くイメージ・ギャップをシニカルなタッチで描いたもの。
個人的には、筒井の作品の中では本作のようなドタバタ・ナンセンスもののファンなので、待望の作品集である。風刺と毒とエロスが満載の傑作短編集。
タイトル作「魚籃観音記」は故事を基にして究極のエロスを追及したもの。「弁天さま」では伏字を連発していたのに比べ、直截的な表現を用い、読む者を喜ばせる。表現自粛に作品で反駁したものか。「市街戦」は日常と非日常の倒錯を描いた筒井らしい作品。「作中の死」は小説における登場人物とモデルの関係をブラック・ユーモア的に扱ったものだが、柳美里事件が影響しているのかもしれない。「谷間の豪族」は筒井が良く扱う、通常世界の人間が異界(何故か谷間が多い)に抱くイメージ・ギャップをシニカルなタッチで描いたもの。
個人的には、筒井の作品の中では本作のようなドタバタ・ナンセンスもののファンなので、待望の作品集である。風刺と毒とエロスが満載の傑作短編集。
作品が多いなか、市街戦(これもスラップスティックだけど)がいい。現実と虚構をまったく逆に描き、倒錯していく姿を批評的に描いていく。やや単純すぎるきらいもあるが、なかなかの良作。
とことん書きながら、なぜか肝腎な場面では「××××を××××」など伏せ字だらけにしたり、「怒りのあまり」作者に削除させたり、妙に恥じらいを見せていた筒井センセイが、ついにやってくれました!文字通り、神仏をも恐れぬ筆致で描いた、抱腹絶倒、究極のポルノ小説(表題)を含む短編集が文庫本で登場。
本書の巻頭を飾るタイトル作品「魚籃観音記」。
どうしよう、本当に観音様にそんなことさせちゃって、読んでてヒヤヒヤでもワクワク。いやいや、読んでるこちらが身もだえてしまいます。
どうしよう、本当に観音様にそんなことさせちゃって、読んでてヒヤヒヤでもワクワク。いやいや、読んでるこちらが身もだえてしまいます。
せつなげな読後感が残る「ジャズ犬たち」。
段々、せつなげな作品が増えている気がするのは著者が歳を重ねたせいでしょうか、読む私が歳を重ねたせいでしょうか..。
「谷間の豪族」。
こういう文体を読むにつけああこういう文体でも良いのかうんなるほどなどと思うのですが、いけません素人には到底マネの出来るものではありません、でもマネしたい真似てみたい。
ほか、初出平成9年~同12年の全10作品が収録されています。



