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新々百人一首〈上〉 (新潮文庫)
丸谷 才一
価格: ¥700 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 2004/11
ISBN: 4101169098
おすすめ度:5.0
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「丸谷日本文学論」の集大成
 能、歌舞伎、華道、茶道etc.といった日本の伝統文化を支えている
のは極めて重層的で多面的な「イメージ」であり、逆に言えばそれを
理解していないことには日本人といえども皮相的な文化理解に終わり
かねない。その中でも中古・中世の王朝和歌はその「イメージ」を
形成する上で最も核心的な役割を果たしてきたものであり、和歌を
知ることで多くの日本文化が理解できることに驚かされる。本書は、
博覧強記で知られ、作家の枠に留まらない著述活動を行っている丸谷氏
がその全力をかけて執筆した王朝和歌解説の姿を借りた「日本文化
総論」であり、『後鳥羽院』『日本文学史早分かり』以来の丸谷
文学論の総決算というべきアンソロジーである。そのボリューム
ゆえに読むのは決して容易ではないが、読み終われば今までに
無かった世界が開けることだろう。
これで王朝和歌の真価が分かります。
枕詞。序詞。掛詞。本歌取り。……王朝和歌には現代人には理解しづらい技巧がいっぱいで、とっつきづらいところがあります。実を言うと私も長い間、王朝和歌というのは近代詩と違って字面の虚飾に満ちた空疎な文学であると思い込み、苦手だった者の一人です。しかし、丸谷氏の「新々百人一首」を読み、これが完全な誤解であったことが分かりました。

王朝和歌は世界にも稀に見る高度な象徴詩の宝庫であり、日本人の感性の集大成でもあります。「新々百人一首」では、丸谷氏が精選した秀歌百首についてその魅力がつぶさに語られており、その斬新かつ実証的な考察は私のような素人にとっても楽しく、まるで推理小説を解くように和歌の本質に近づいていくことができます。また、絢爛たる王朝和歌が文学史の中でどのように生まれ、成熟し、そして衰退していったのかという歴史も学ぶことができ、一石二鳥です。

百首いずれも選び難い名歌ばかりですが、特に私が好きになったのは以下の2首です。

蝉の羽のうすくれなゐの遅ざくら
 折るとはすれど花もたまらず (順徳院)

黒髪のみだれもしらず打伏せば
 まづかきやりし人ぞ恋しき (和泉式部)

特に後者は有名な歌ですが、丸谷氏ならではの奔放な解釈は大変刺激的で、思わずニヤリとしてしまうこと必至、一読に値します。気になった方は是非読んで確かめましょう。




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