ひとつ前に戻る

われらの時代 (新潮文庫)
大江 健三郎
価格: ¥460 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 1963/06
ISBN: 410112602X
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 144670位
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

amazonの詳細ページへ
閉塞生活の夢想
カフェで読み終えた私は店内を見渡す。サンドを頬張る女性、しきりにノートにメモを書き込んでいる若者、携帯でメールしている高校生、外人と会話している中年男性・・この瞬間、この空間で「生きるスタイルは様々で、生きたくないと思うこともその一つなのだ。死はすべての煩わしさから逃れることができる切り札である」と思いながら心臓に手を当てる。でも、私は帰宅して明日になるとそんなことを考えていたことを忘れている。毎日食事を摂り、十分な睡眠を欠かさず、生きることの本当の理由など考えたこともなく健康に暮らすことを願っている。私は今後も政治家に国民の皆様と呼びかけられる側の小市民の中の一人として、壊された小さな宝物をいつまでも大切に抱き、殺戮しあう民族のニュースを遠くで聞きこれでいいのだと言い聞かせながら生き続けるのだ。
あまりにビッグなタイトルだが
特に優れた小説ではない。ただ、主人公たちが右翼の行進に遊び半分で参加する場面では大江のパワーが発揮されている。「○○させる!」は名台詞。
もう一度読み返してみようかな~。
学生時分、氏の作品にハマルきっかけを与えてくれた作品です。
当時、皆が村上龍氏に嵌っていたが、今作品の方が余程先駆的だなぁ~と感じました。
内容云々は賛否在るでしょうが、節々に散りばめられたメッセージには当時の鬱憤・不安を抱えた十代には鮮烈であり色々考えさせられました(印象的な部分はページを折ったりもしてました)。
枕元において寝ています
可愛げのない読み方をすれば、いくらでも否定的な意見はでてくるだろうし、方法論的にも分解できるであろう。この本をひとつの小説として批評し中傷することは<誰にとっても>容易なことだ。
20才前後の青年ならば言語的理由なしに絵をみるようにこの作品を感じ取ることができるだろう。そしてこの作品の良さをいちいち言葉に置き換えることがひどく陳腐なことに思えるだろう。
もし君がまだ青年といえる年齢だとしたら、その年齢でこの本を読めることはとても幸福なことである、と私は断言する。
試される
あくまで情況に責任を押し付ける逃避的な主人公の行動が、そのまま、その主人公の態度と対応するものがはっきりとは書かれないまま、絶望的なかたちでこの小説は幕を閉じます。

読みながら、その対応物を形作る事を、主人公の描写だけではなく、細部にちりばめられたグロテスクともいえる具体的なモノたちによっても、喚起される不快さによって、読者は要求されることと思います。

読書に依存するということを、その読者に対して拒否する小説だと思いました。読書とは受動ではなく、あくまで主体性をともなった行動なのだということと、それだからこそ読書に体験としての意味があるということを、改めて思い知らされました。そういう意味ではやさしくない小説です。

この作品が批判された理由は案外そういうところに、あるのではないか。




本のみちしるべ Powered by Amazon Web Service
PR: FS研究室