前半は、父幸田露伴の死に至るまでの日々とその葬儀の模様を描いた「父‐その死‐」、後半は父とのエピソードの短編を集めた「こんなこと」。
「父‐その死‐」は、愛する父の死期が近づくなかでの日々について書かれている。病気を患った老人とはわがままになるものなのだろうかと思った。
後半は、前半に比べ気軽に読める。
「水は恐ろしいものだから、根性のぬるいやつには水は使えない」
「おまえはこわがっているのだろう。おびえる事がらがあるのなら云ってごらん、おれが助言してやる。〜中略〜空に惑いわずらうのは愚かだ、人生何にでも会ってみるがいい。抵抗力というものはぶつかって出る。痛いのは御定法だ」
やはり幸田露伴の言葉には迫力がある。
厳しくて口うるさい親父だけど、今の日本には失われてしまった大切な物を持った人だったと言えるだろう。
父・こんなこと (新潮文庫)
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最初に読んだとき、掃除や接客など事あるごとに娘を厳しく躾る幸田露伴のことを
「なんとイジワルなジジイだ」と憤慨しながら頁をめくっていた。
そして、そんな父に耐える文を典型的な戦前の「女性」像として見ていた。
今ならそんな風には読めない。
露伴の厳しさは、波風を立てないことが美徳となってしまった親子関係において
自らの身を以て文子に教えようとする「熱い父」で、文子もただ耐えているのではなく、
その父の言葉行動をひとつも漏らさずにみずからに取り込もうとするが故の
受け身の体勢だったのだ。
ときにはふとその緊張関係が解ける瞬間のユーモアがなによりも効いてくる。
どうしても露伴の看取りが主題になりがちだが(そしてその姿勢は何年か後の自らの
問題の指針になることは間違いないが)、
その他の部分にも心に響くことの多い名作である。
特に研ぎ澄まされた文章力は幸田文の著作でも群を抜いているように思う。
「なんとイジワルなジジイだ」と憤慨しながら頁をめくっていた。
そして、そんな父に耐える文を典型的な戦前の「女性」像として見ていた。
今ならそんな風には読めない。
露伴の厳しさは、波風を立てないことが美徳となってしまった親子関係において
自らの身を以て文子に教えようとする「熱い父」で、文子もただ耐えているのではなく、
その父の言葉行動をひとつも漏らさずにみずからに取り込もうとするが故の
受け身の体勢だったのだ。
ときにはふとその緊張関係が解ける瞬間のユーモアがなによりも効いてくる。
どうしても露伴の看取りが主題になりがちだが(そしてその姿勢は何年か後の自らの
問題の指針になることは間違いないが)、
その他の部分にも心に響くことの多い名作である。
特に研ぎ澄まされた文章力は幸田文の著作でも群を抜いているように思う。
明治の大文豪で著者の父・幸田露伴の死を綴った本書は、殊更特別な人の死を高らかに謳っているわけでは勿論なく、著者からみた父の死を淡々と書き綴っている点が非常に印象深い
思えば現代の日本では”人の死”というものがあまりにも非日常化された感がある
勿論戦争のように死が日常化することは避けるべきものであり、言うまでもないが、しかし現在では逆に死というものがあまりにも非現実化されているように感じるのである
それは核家族というものが最もたる原因である
本書はその”人の死”というものに対して、父の死に行く姿を真正面から捉えることによって描ききっている
その点においてたいへん稀有な書であり、現代人が忘れ去ってしまっているように感じる”身近に持っておくべき死の存在”を思い出させてくれるものであると大いに感じ入った
またその他、本書では父より掃除を教わる場面など、現代人が無くした所作の美しさなど如何なく描かれており、まさしく古きよき日本といった風情を感じることができる
私は別段懐古主義でもなんでもないのだが、本書等を通して、古きよき日本を感じることは日本人として必要不可欠な重要なことであるように思う(それを懐古主義というのだろうか!?・・・笑)
まあ、何はともあれ一読の価値は十分あると私は思う
思えば現代の日本では”人の死”というものがあまりにも非日常化された感がある
勿論戦争のように死が日常化することは避けるべきものであり、言うまでもないが、しかし現在では逆に死というものがあまりにも非現実化されているように感じるのである
それは核家族というものが最もたる原因である
本書はその”人の死”というものに対して、父の死に行く姿を真正面から捉えることによって描ききっている
その点においてたいへん稀有な書であり、現代人が忘れ去ってしまっているように感じる”身近に持っておくべき死の存在”を思い出させてくれるものであると大いに感じ入った
またその他、本書では父より掃除を教わる場面など、現代人が無くした所作の美しさなど如何なく描かれており、まさしく古きよき日本といった風情を感じることができる
私は別段懐古主義でもなんでもないのだが、本書等を通して、古きよき日本を感じることは日本人として必要不可欠な重要なことであるように思う(それを懐古主義というのだろうか!?・・・笑)
まあ、何はともあれ一読の価値は十分あると私は思う
幸田露伴の最後を看取る日々を、時には伝法に江戸の言葉を使い、明治に残った風俗が、かろうじて終戦後の街々に残り、生活を規定し、人達が生きている雰囲気を眼前に浮かべてくれる、なかなか得がたい文章だ。
戦後60年が去年だったけれど、もうどこにも関東だけでなく日本中でこの世界を探すのに苦労する今、言葉・生活信条・隣り付き合いなどなど「懐かしい」より「失ったもの」の大きさをひしひしと感じさせる。
江戸っていうのは、心のある、自分のある世界だったんだ。
戦後60年が去年だったけれど、もうどこにも関東だけでなく日本中でこの世界を探すのに苦労する今、言葉・生活信条・隣り付き合いなどなど「懐かしい」より「失ったもの」の大きさをひしひしと感じさせる。
江戸っていうのは、心のある、自分のある世界だったんだ。
父親(幸田露伴)の死にあたっての日常がつづられる。作者にとって特別な存在でもあった父に死が迫るなかの、日々。後ろから死がせまってくる最後の追い立てられる感じがとてもリアル。
日常と死の関係が正確で作家としての力量を感じる。
日常と死の関係が正確で作家としての力量を感じる。



