この作品の中で一番のオススメは『蔦の門』と言う作品です。主人公の雇っている一人身の老家政婦と両親のいないお茶屋の娘との、血よりも濃い絆を描いた作品なのですが、二人の遣り取り一つとっても、情感を込めるのがとても上手く、泣けてきます。この一作のためだけでも読んでみる価値はあります。
老妓抄 (新潮文庫)
岡本 かの子
価格: ¥460 (税込) 文庫 出版社: 新潮社 発売日: 1950/04 ASIN: 4101040028 おすすめ度: ![]() Amazon ランキング: 76711位 発送可能時期: 通常24時間以内に発送 ![]() |
短編集なので、どれもこれも読みやすい分量でまとまっています。表題作『老妓抄』をはじめ、いくつかの作品に、その物語を最後にきりりッ!と引き締める、作者の詠んだ歌が素晴らしい味わいを醸し出しています。どの作品も印象的で、最近良く言われる、美しい日本語で、雰囲気も伝わってきます。
昔教科書で読んだ「家霊」の、胸苦しい読後感が忘れられずにこの短編集を手にとりました。ここに収められた九編にはいずれも、なにかに取り憑かれた者達の、生きることへのむき出しの情熱がふつふつとたぎっており、現代人の消極的な生を省みさせられるような気がします。なかでも「老妓抄」は、著者最後の歌「年々にわが悲しみは深くしていよよ華やぐいのちなりけり」を想起させる逸品だと思います。
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