昭和の古典的名作と称される作品です。
情けなく、移ろい易く、浅ましく、甲斐性がなく、自己弁護に長けた男をここまで書き上げた作品を、他に読んだことがありません。あくまで私の読書人生の中でのことですが。
何度読み返しても、男の情けなさが哀しくなります。私自身の胸に手を当ててみると、かつて自己弁護して何の解決ももたらさなかった事例が次々に思い浮かんできます。身に覚えのあることなので、男の弱さを糾弾する資格は私にはありません。ただただ、自分可愛さに問題を先送りすることの深刻さが身につまされます。
おはんの手紙は感動的です。こんな手紙を受け取ったら、心機一転改心したいと思うだろうなあ。作品では、男が改心できないであろうことを示唆します。おはんが強い人間へ変貌する一方、容易には変われない人間もあるということを知らしめる作品ではないでしょうか。
おはん (新潮文庫)
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