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にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)
樋口 一葉
価格: ¥380 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 1949/06
ISBN: 4101016011
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 13954位
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美しくも儚いリアル
『にごりえ』

基本的に句点が少なく、読点で繋がれて綴られていく文章。
まるで緩やかに流れる川の様でした。
お力の人生は他人や身内に大きく揺さぶられるものでした。
それでも懸命に毎日を走りぬけていました。
この一人間のリアルは、大変美しいものであるのです。
しかし、まるで美しき桜の散る如くお力の命は終わりを告げます。
この儚さこそ、一瞬の輝きを演出するものなのでしょう。
‘にごりえ’について
 一葉さん(‘さん’でお呼びして失礼かも・・・)の小説の中で、最も写実的な描写が高い作品だと思います。

 新開地、銘酒屋菊の井のお力を主人公としています。お力は真面目な独身の客・結城朝乃助をを愛していますが、自分のために零落して妻まで捨てた蒲団屋・源七の刃にかかって死んでしまいます。

 源七には愛想づかしをしたわけではなく、源七とその家族のために別れたのですが・・・遊女になりきれない女の真情と深刻な現実をリアルに描いた作品です。
慣れないと辛い
 明治期の文語調の文学としても、泉鏡花や森鴎外に比べて、西鶴や源氏が下敷きになっている分取っつき難いものがあります。予習してから読んだほうがいいかもしれません。現代小説ではないですし、同じ文語体でも漢文調に慣れた評者には辛かったです。
 もちろん、素読(音読)したほうが理解ははやいでしょう。
一葉ファン
「・・行かれるものならこのままに唐天竺の果てまでも行ってしまいたい、ああ嫌だ嫌だ嫌だ、どうしたなら人の声も聞こえないものの音もしない、静かな、静かな、自分の心も何もぼうっとして物思ひのない処へ行かれるであらう、つまらぬ、くだらぬ、面白くない、情けない悲しい心細い中に、何時まで私は止められているのかしら、・・・」(『にごりえ』)
お力が座敷の途中で抜け出して一人やるせない気持ちを吐露するところです。
社会の底辺で生きる身の宿命を嘆き、そしてあきらめる心情を同じ女性の立場から切々と描いています。
『たけくらべ』とならび、わずか24年の生涯の晩年に書かれた一葉渾身の作品です。
文語調で挫折した方、再チャレンジの価値大です!
樋口一葉は学校時代に一度は目を通したけれど、文語調がよみづらくて挫折した、、、そんな方にもういちど読んでほしい一冊です。

私もそうだったんですが、五千円札になって、あらためて読んでみようと思ったら、するする入り込めました!

一葉の経済的な悩み、恋いの悩み、はがゆい初恋、、。そのリアルさときたらまさに私達とおんなじなのです。
着物の描写もすばらしいので、じっくりと想像力を働かせながら、ビジュアルでとらえると、急にいきいきと彼女の世界がひかりだします。




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