ひとつ前に戻る

刺青・秘密 (新潮文庫)
谷崎 潤一郎
価格: ¥460 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 1969/08
ISBN: 4101005036
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 12721位
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

amazonの詳細ページへ
爛然とした美に平伏す
谷崎潤一郎の小説家への道は燦爛とした一文から始まっていく。
耽美かつ端正な文で彩る珠玉の短編集は、どれをとっても一貫して美しく毒々しい。
気付いてしまってももう逃げられない。
この本を手にとった貴方も、数々に繰り広げられる美の晩餐に平伏すのみである。
耽美主義
「刺青」「少年」「幇間」「秘密」「異端者の悲しみ」「二人の稚児」「母を恋うる記」の全7作品が入っていますがなんといっても異端者の悲しみが良かった。さびれた裏長屋に住む主人公の章三郎は、自分には非凡な才能があると感じている。その姿が滑稽でありながらも、身につまされるところもあり、さすが谷崎潤一郎だなと感じました。初期の短編集なので「瘋癲老人日記」などのような晩年の作品にある、谷崎独特の雰囲気を求めるとものたりないかもしれませんが、その分読みやすかったです。
一世紀前の萌え小説
 世界に冠たるタニザキ文学、なんていうと途轍もなくかっこよく聴こえるけど、
何のことはない、萌えの元祖じゃん、この人って。
 女の足見てパーツ惚れして、妄想膨らませ倒して、目の前にいても口説くことひとつ
できなくて、眠らせた隙にイタズラして、目を覚ました女のあまりの男前っぷりを前に、
「男は女の肥料」なんてかっこいいこと言いながら、その実、ただの腰砕け。
すんげえ今時の男子。
 以上、萌え小説『刺青』の要約でした。

 こうした観察を通じて、日本人的心性がどうこうなどといくらでも理屈をひねり出すことは
できよう。しかし、それは谷崎に向き合うに際しては、あまりに惜しい態度、と私は思う。
 露骨な性描写があるわけでもない、そのくせ無性にいやらしい、そんな谷崎の変態世界を
存分に味わえばそれでいい。
 谷崎が生涯描き続けた女をめぐる果てなき官能性、その原型が堪能できる一冊。
濃密でときに淫靡で、かつ静謐をたたえた世界
初期の短編集。

谷崎ワールドを堪能するには、20、30ページの短編ではちょっと短すぎるのだけど、「刺青」「秘密」「少年」の三作は傑作。淫テリで小説が好きな人なら好きになるはずです。

どれも、倒錯した性愛(サディズムとかフェチズムとか窃視とか)がモチーフになっているようなんだけど、なんだかこれは性の話なのか何の話なのか、読んでいるうちによく分からなくなってくる。登場人物の何人かは、憑かれたように何かに偏執している。足とか背中とか、目隠しプレイとか。まっとうな基準で言ったら、パラノイアになるのだろうけど、読んでいるとなんだか彼らがまともに見えてくる。これほどまでに何かに固執できるっていうのは、変態的でもあるけれども、全ての物事に飽いている現代人にとっては羨ましいことでもあるのだ。

多分、こういう世界に暴力を加えると花村萬月になる。本作品集の谷崎の世界は濃密でときに淫靡であるが、暴力がほとんど登場しない分、不思議な静謐さをたたえ、なぜか品がある。
刺青について
 女性に奉仕する男性の喜びをテーマとして、谷崎文学のその後の方向を決定づけた作品です。

 刺青師・清吉の念願は、美しい女の肌に自分の魂を掘り込むことでした。

 憧れの美女を言葉巧みに誘い、ついに背中に見事な女郎蜘蛛を彫ります。

 刺青が完成したあと、針の痛みに耐え続けた女の背中で、妖艶な輝きを放します。

 やや、お話が一方的に進みますが短編なので仕方ないかと・・・
被害者の女ですが、彫られてまんざらでもない様子でした。女の台詞がなんともドSです・・・

 蜘蛛。きっと女は男を喰らう蜘蛛なのでしょう・・・

 



本のみちしるべ Powered by Amazon Web Service
PR: FS研究室