川端康成の生い立ちを始め、作家自身を知るには良い1冊。
そして、「声に出して読みたい」のコーナーでは、彼の表現の美しさを、詳しく解説してあり、改めて「川端は良いな」と感じた。
ただ、どうしても腑に落ちないのが、
『雪国』を「ずばり不倫がテーマ」、『古都』を「京都ラブストーリー」
など、「これはこういう話だ!」と強引に言い切っているところ。
個人によって、小説の味わい方は違う。その点に配慮が欲しかった。
昭和5年の雑誌インタビュー記事「私の生活(3)希望」が紹介されておりました。その中の「妻はなしに妾と暮らしたいと思ひます…子供は産まず貰い子のほうがいいと思ひます…同居の女は、教養の低いのがいいと思ひます…」(前後省略しましたので誤解を生じるといけませんが、ぜひこの本の全文を読んでみて下さい)が興味深いと思いました。川端作品には「東京の人」の小山など、自分の子供を持ちたがらない、子供を持つことを恐れる男性が出てきますが、そういう感情の一部を著者自身が持っていたのだろうと思います。また、(一般的な)慣習にとらわれない自由な『子供のような』女性に惹かれていたとも思われます。「川端康成とともに」で秀子夫人が「…小さいときどんな遊びをしたかって聞くので、おはじきとか風船で遊びましたと申しますと、それじゃ買ってきなさい、というわけで、よくいっしょにおはじきをしました。やったことがない、と言うんです。…仕事をしない時や出掛けない時には、卓袱台の上でおはじきをして遊びました…」と書かれているのも興味深いです。独自の少女・女性描写の背景を探るきっかけとなるかもしれません。