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烈火の月 (小学館文庫)
野沢 尚
価格: ¥750 (税込)

文庫
出版社: 小学館
発売日: 2007/01/06
ISBN: 4094081453
おすすめ度:4.5
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野沢版「その男、凶暴につき」
本作は、著者が脚本をつとめた1989年制作の映画「その男、凶暴につき」を改稿し小説化したものである。
監督が当初予定されていた深作欣二から北野武へと代わり、脚本も野沢作品とは大きく違ったものとなったなったようである。
この作品は、変更される前の野沢オリジナル版「その男、凶暴につき」であり、骨子は同じながらも映画とは違った展開と結末を持っている。
そうした、この作品が生まれるまでの経緯は、巻末にある「単行本のためのあとがき」に詳しく書かれてある。
作品の内容であるが、警察と麻薬組織の暴力の応酬を軸に据えながら、よごれた部分を共有化させることで、真の正義とは何かを考えさせるものとなっている。
そして主人公の我妻をはじめ登場人物たちの背負う暗い過去は、対外的には強さを見せ付けながらも内に秘める弱さを持ち合わせた、深みのある性格付けをつくりだしている。
全6章からなる長編ならがも、力強く確かな筆致で書かれた作品は、読者を飽きさせない完成度がある。
何か大切なものを失った男の逆襲
北野武監督の映画「その男凶暴につき」のシナリオって、野沢尚さんが書いていたんですね。
これは、その小説版。

しかし、筆者が後書きで説明しているように、非常に不幸な生まれ方をした小説なのだ。

深作欣二監督と映画を作るために時間をかけて練ってきたシナリオが、諸事情で企画が倒れ、北野監督の手に渡った。
筆者自体が「天才」と認める北野氏の即興的な変更で、映画は原型をとどめない作品に。

そんな筆者の小説によるリベンジ・・・。そんな雰囲気がある。

主人公は、はみ出しものの刑事。それゆえに、大事な家族を失い、苦しんでいる。
そんな男が、麻薬密売にかかわる狂った殺人者と対決する。


家族だけでなく、友や、同じ職場の仲間たちまで失いながらも、孤高の戦いを続ける主人公は、まさにハードボイルド。

暗いトーンの物語で、救いのない展開なのだが、ラストは破綻せずに美しくまとまっているのもよかった。

犯人に迫る過程の性急さや唐突な展開など欠点もあり、傑作とまではいいがたいが、読み応えのある佳作です。



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