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カウンセラー (小学館文庫)
松岡 圭祐
価格: ¥630 (税込)

文庫
出版社: 小学館
発売日: 2005/02
ISBN: 4094037942
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 235246位
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二度美味しい
同じ臨床心理士ものでも、「千里眼」シリーズとは一線を画している、臨床心理士嵯峨敏也シリーズ第三弾。
と言っても、私はこっちのシリーズは本作が初めてでした。
本作は、かなりしんどい少年犯罪がメインで話が進みます。
正直、相当しんどい犯罪。これは好き嫌いが分かれるかも知れない。
人生と言うのは、こうして暴力的に消し去られるのかなぁ、と。
もちろん犯罪に遭遇することはどのみち理不尽だけど、本作の理不尽さは尋常ではない。
私にはちょっときつかったなぁ。

面白いことに、本作は主人公臨床心理士の嵯峨敏也シリーズなのに。。。
彼以上に、奏でる音楽で演奏者の心理を分かってしまう小学校の女性教諭にして特異な才能を持つ
響野由佳里(ひびのゆかり)の人間としての描写がとてもとても深い。
嵯峨さんの影はすっかり薄くなっちゃって、私実は響野由佳里さんのシリーズなの?なんてトンチンカンなことを思っていたくらいです。
音楽療法と言うか、音楽心理学(なんて言葉は私の造語)と言うか、その方面からもとても興味深い作品です。

内容、ストーリー展開、等々サイコホラー、サイコサスペンスとしても一級ですが、それと同時に臨床心理、人間の行動心理、と言うものをたっぷり勉強できる。
二度美味しい作品と言えるでしょう。
このペンタッチを堪能あれ
裸電球、タバコの煙、臭気をともなった『闇』からストーリーは始まる。そのあとにくる 華々しい授賞式の『光』の世界。
この好対照な導入が これから起こるであろう事件の異様さと、人の心の『光』と『闇』を想起させる。日常であったはず
の『人』や『こと』が日常でなくなる緊迫した瞬間と被害者の心理をみごとに描写しながらストーリーは進んでいく。
『事件』とその後を描いた前半の緊張感あふれる展開を描くペンは、後半に進むにしたがって ゆったりとした筆致に
変わる。事件の内容はエスカレートしていくが 描写は明らかに変わる。描写を抑えることで『事件』と『こころの深層』
の関係をみごとに描ききっている。ストーリーの途中に被害者?加害者?の心理背景が挿入され、これがストーリーを締め
くくる。冗長とも思える描写だが、これは著者の『人のこころ』は丁寧に扱わなければならない、 『魂(心の深層)』
は救済されなければならない との信念によるものからかもしれない。

ストーリーも、ペンタッチも堪能してみてください。
嵯峨シリーズの中でも良い出来
一向に衰えないリーダビリティを発揮し続ける松岡氏に今回も脱帽です。
現実離れした千里眼シリーズも良いですが、社会問題となっている、犯罪の
低年齢化に正面から向き合った真摯な作品もまた素晴らしい出来でした。
まあ、少年への制裁の加え方と警察の対応は非現実的なんですが。
でもリアリティとアンリアリティのバランスが非常にうまくとれています。
今回も嵯峨先生の役回りは非常においしいですね。
素晴らしい小説
ミステリー、サイコサスペンスの妙味がたっぷり詰まった作品で、とにかく飽きさせません。
ラストの嵯峨の優しさは感動的です。
冒頭に「本作は陰惨な殺人が描かれているので注意してください」というコメントがあるのですから、気の弱い人は読むべきではないでしょう。
安易に殺しすぎ。。。
催眠で、この主人公に魅せられ、シリーズである、この本も読んでみたが、非常に後味が悪かった。
人間をあまりにも安易に大量に殺しすぎ!!!

少年犯罪が時代を騒がせた時代背景から、このテーマを描かずにはいられなかったのだろう。
しかし、だからといって、こんな問題提起をはるかに超越した、異常犯罪・ハードボイルドまがいはないだろう。
また、著者は裁判関係には疎いのか、ところどころありえない設定も多い。

自分的には、著者に、『心理』という大変興味深いテーマの、知的で上品なミステリーを期待したい。




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