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ルバイヤート
オマル ハイヤーム陳 舜臣
価格: ¥2,520 (税込)

単行本
出版社: 集英社
発売日: 2004/02
ISBN: 4087753336
おすすめ度:4.5
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序文には感動
陳さんは台湾出身。日本の大学で学んではいましたが、学徒出陣から逃れることができ、台湾出身者に徴兵令が施行された1945年には適齢期をオーバーしていたということもあって、なんとか戦争の時期を乗り切ります。しかし、命の心配がなくなったものの、台湾が中国に返還され、日本国籍を失うこととなり、国立大学での職を得ることが不可能になってしまうのです。私立大学に職を求めようにも、インド語やペルシア語学科などはなく、一度、台湾に帰ることとなります。

 しかし、そうした間にも『ルバイヤートを写した紙片はつねに私の身辺にあり』(p.8)『ペルシア語の原詩は筺底に秘したといっても、私の脳裏にあるのだから、ときどき口を衝いてでてくることはあった』というのです。この序文には感動しました。

戦時中さまざまな想いのもとで、ひとりルバイヤートの日本語訳を続けていた陳舜臣さんには、台湾の人だからこその理想化された「故国・日本」への純粋な想いがあったのだろうと思う。

サーキーよ、かつて行きすぎた人
誇らかに塵土に眠れり
行きて酒を干せ、われ真実を語らん
ああ  かれら語りしは風の言葉にすぎざりき
(陳舜臣訳、集英社、p.28)

と、ひとりで、誰に読ませるためでもなく、しかし見事に日本語訳をつけていた陳舜臣さんの姿が浮かぶ。

数少ない原典からの直訳
オマル・ハイヤームの「四行詩」はフィッツジェラルドが英訳を試みて以来、我が国でも夙に明治時代から紹介されて邦訳も幾種か刊行されて来ている。
しかしながら、「酌人」の若者サーキー(もちろん男性である)を「酒姫」だなどと変に異性愛化させて読者に誤解与えたり、いろいろと問題のある訳文が多かった事実は否めない。
その点、本書はペルシア語原典からの直訳であり、訳者も小説家であることから、かなり上出来の作品に仕上がっている。
同じく酒と美少年とを歌ったイスラーム最盛期の名詩人アブー・ヌワースの詩集とともに鑑賞をお薦めしたい。



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