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ダーティ・ワーク
絲山 秋子
価格: ¥1,365 (税込)

単行本
出版社: 集英社
発売日: 2007/04
ISBN: 4087748537
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 218622位
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恋に不器用な女の純な気持ち
 タイトルを、ローリング・ストーンズ'86発表のアルパムから流用。遠井の金融仕事や熊井のスタジオ・ミュージシャン生活のイメージとダブらせている。ストーンズの曲をすべての小題に用いているが、うち6曲が'80以降の、ストーンズ後期作品である。これは、ストーンズ・ファンではやらない選曲だ。'80以降は、ストーンズが神格化された位置から普通の現役ロックバンドに戻ってきた時期だからだ。ストーンズというより英詩に重きが置かれている感じ。(確かに3曲を使っている「サム・ガールズ」は名盤だけど)
 そういうわけで、熊井は別にストーンズがそれほど好きな訳じゃない。ギターが好きなのだ。ついでにいえば、ストーンズのギターは、へたな部類にはいる。熊井は多分それほどロックが好きなわけではないだろう。熊井は、ギターと共に過ごした遠井との時間を、愛し続けているのだ、多分。
 「袋小路の男」のような、一人称のたどたどしい語り文体が、ピュアである。熊井と神原という、あまり美人とはいえない二人の女の無骨な愛情表現が、この小説の魅力だ。
 
読みづらい…?
視点が変われば見方も変わるかもしれないが
とっつきにくく感じた。

あえて意図された文章が読みづらい。

共感できるか
ただごちゃごちゃしているだけで終わるか紙一重な作品。
文字にしないで伝えるテクニック!

恐らくローリング・ストーンズの曲に合わせたであろう連作短編集です。

今回も絲山さんの特徴ある文章で読みやすく、それでいてザラッとした感触の残る文章とそれに見合う一見普通の様でいて、一癖あるキャラクター同士の繋がりが良いです。そして最初と最後がまた良い感じの入り方に、終わり方です。

絲山さんのエッセイを読んで感じたのですが、この方はいわゆるオトコギ溢れる姐さんのようで、そんな方の書かれる小説がまたとても良いです。そして意識されているか分からないのですが、どの作品も決して長くないです。が、下手に長くない、というかこの長さでこのカタルシスなり、キャラクターへの感情移入なりがとても上手いし、凄い事だと思います。それぐらい短くても出来るテクニック(だけではもちろん無いと思うのですが、それが何なのかがワカラナイ、もしかするとリアリティと【今】の絶妙の間合いなのか?)が素晴らしい。

個人的にはとある男が久しぶりに連絡のついた女(重病人)に会いにいく話しの、雰囲気までもが強く想像させられてしまう(文章で何もかも説明するわけでは無いのにも関わらず、伝わってしまう何か)のがタマラナク上手いです。またこうして説明すると伝わらない(この私の説明では非常に陳腐に感じられますが、実際はゼンゼン違います、読まれた方ならお分かりいただけるのでは?)何かが絲山さんにあります、それが何なのか、またそれを読むことの単純な楽しさの為に読むことを止められません。

【今】の現実と人との繋がりに興味がある方、あるいは生活を変える転機を迎えている方にオススメ致します。
定型的な文脈からはみ出しちゃってる実感を言葉に紡いでいくのが文学
  短編集なのにどれもだらだらしているな、と思ったら、連作短編っていうか、ひとつの円環を成す物語だった。単純化すると、“高校時代に恋とも言えない関係だった2人が偶然再会”っていう、やけに陳腐なストーリーなんだけど、トーンは至ってアンチドラマである。
  「自分のことを、自分に弾けない楽器のようだと思う」って、主人公の言葉が出てくるけど、そういうもどかしさってある。自分が自分を一番わかっちゃいない。この連作短編でも、主人公達と接点を持つさまざまな人たちが、夫々の立場、関係から、主人公の人となりを語るんだけど、立場、関係でまったくその人物像って違ってくるんだよな。違うんだけど、他人に規定されている自分こそが自分なんであって、自分じゃ自分はわからない。
 まぁ自分のことは置いといて、「彼らが興味を持つこと、彼らがひどく嫌うことは同じだった。つまり、かっこいいものとかっこわるいものだ」って感覚を共有できる他人と巡り会うのって至難の業である。中学でそういう奴と出会っちゃったらもうそんな奴とは一生出会えないって位の確率である、って40歳過ぎて思う。
 それにしても、悪性リンパ腫で入院している牛の様な外見の女友達を見舞って「泣き叫ぶ美雪が快感にもだえているように見える。なんて不謹慎な」とか「まるでスポーツ観戦しているようだ」と言った文脈がすごくカタルシス。ほら、常識的な文脈からは外れてるんだけど、なぜかそう思ってしまう、感じてしまうってこと、日常結構ある訳で。これまでの定型的な文脈からはみ出しちゃってる実感を言葉に紡いでいくのが文学なんだし。「手を動かしながら話すのって楽しい」とか「一緒に、違うことをするのは楽しい」とか、理由はわかんないけどシンプルに共感できるもんなぁ。
 ストーンズは良く知らんのだけど、このだらだらで従順じゃない小説は悪くないと思う。
全編にロックが流れる連作短編集

ローリングストーンズの曲をモチーフにした連作短編集。

不器用な女性ギタリスト ”熊井望”を軸とした いくつかの人間関係。
関係ないように見えて 読み進むうちに関わりが現れてくる 憎い展開。

背後に聴こえるベースの音。ところどころに挿入されるギターソロ。
短文を重ねたやや乾いた文章の間から零れてくる ローリングストーンズ。
歌声が聴こえないのは 私がストーンズに詳しくないせいかもしれない。

軽く読めるけれど しっかりと腹に溜まる 結構重量感のある中身。
不器用な人間たちが 不器用に迷いながら歩む人生。
読後感は悪くない。
 



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