夜の朝顔
|
子ども時代の「思い」をリアルに再現するタイプの小説といえば、姫野カオルコの「ツ、イ、ラ、ク」が思い出されるが、これは小学校1年生から6年生に育っていく女の子の連作短編。姫野さんはエッセーで、記憶の中を探り出すと、その世界のリアリティがあまりに強すぎて、現実になかなか帰ってこられない、というようなことを書いていたが、豊島さんもそういうタイプの人なんだろうと思う。そうした自分自身の過去の記憶からのリアリティを描写に混ぜ込みながら描く豊田さんのストーリーは、落としどころを、よくある物語から微妙にずらしてきて、それがなかなかに心地よい。ただし表題作でもあるラストの「夜の朝顔」はちょっときれいにまとめすぎで、そこまで築いてきた雰囲気を少々壊してしまっている感がある。僕が一番好きなのは「だって星はめぐるから」。学校のクラスメイトのいじめの話と、自分の妹との姉妹愛的な話が、不思議につながる感じがいい。
小学校時代の出来事を描いた短編連作。
今よりもずっと少ない言葉しか知らなかった頃の、言葉にできない、言い表せない‘微妙’で‘複雑’な気持ちが、
的確に丁寧にすくい上げられています。
大事件やわかりやすい思い出ばかりじゃなかった。
噂話に怯えたり、女の子どうしで本音を探り合ったり、恋のかけひきのようなものがあったり。
まだ自分自身が確立される前の、輪郭さえ曖昧な記憶が呼び覚まされました。
最終話の夜の朝顔は、わたしのからまった気持ちもすっと解いてくれるようでした
今よりもずっと少ない言葉しか知らなかった頃の、言葉にできない、言い表せない‘微妙’で‘複雑’な気持ちが、
的確に丁寧にすくい上げられています。
大事件やわかりやすい思い出ばかりじゃなかった。
噂話に怯えたり、女の子どうしで本音を探り合ったり、恋のかけひきのようなものがあったり。
まだ自分自身が確立される前の、輪郭さえ曖昧な記憶が呼び覚まされました。
最終話の夜の朝顔は、わたしのからまった気持ちもすっと解いてくれるようでした
同じタイプの作品としては森絵都さんの「永遠の出口」がある。
その作品が好きな人はこれもきっと気に入ると思う。ただし、夜の朝顔はちょっと暗い話が多い。いやな思い出や小さな頃に子供ながら親に遠慮してしまうといったような感情がうまくつづられている。
その作品が好きな人はこれもきっと気に入ると思う。ただし、夜の朝顔はちょっと暗い話が多い。いやな思い出や小さな頃に子供ながら親に遠慮してしまうといったような感情がうまくつづられている。



