読んでよかったと思える新人賞受賞作品だった。冒頭から「ナマズについての、話をしたい。」という、わけのわからなさ。ナマズをモチーフにそえた、(おそらく世界初の)ナマズ恋愛小説。すばるらしく、エンタメに傾向している点がやや気にかかるが、たとえば、「蛇にピアス」よりは明らかにおもしろい。ラストはやりすぎだろうと思ったけれど。
キャラクタ造形は抜群で、男の子に剣道の胴の紐をしめてもらうシーン、煎餅を持って未明の道を歩くシーンなど、新人とは思えないうまさ。胎児のメタファから、いつのまにか精子のメタファへと、ナマズの存在を微妙にずらしていく技術にも感服。受賞後第一作の上海テレイドも、ちょっと本多孝好のシェードみたいな感じだけど、悪くない。
これからも読み続けていきたい作家。
踊るナマズ
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