ひとつ前に戻る

ねじの回転―FEBRUARY MOMENT
恩田 陸
価格: ¥1,680 (税込)

単行本
出版社: 集英社
発売日: 2002/12
ISBN: 4087745856
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 362892位
発送可能時期: 在庫あり。

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2・26事件。
宮部みゆき著『蒲生邸事件』を思い出しました。
よく似たテーマを、違う切り口と結末で料理していますので、
ご興味がある方はぜひ並べて読んでみてください。
どちらもとても大好きです。

「もしも過去に戻ってやりなおせるなら」
が、Ifではなく実現する世界の物語。
 その技術を使えると知った人々は、
「世界の為」に「聖なる暗殺」を行うことを決めた。
 一つのホロコーストをなくすことが、
100のホロコーストを起こすことになるとは知らずに。

 フラグメントとして、過去の事象が短編でぽんぽん入ってくるので、
少々混乱しやすいとは思いますが。
 舞台は日本。それも世界大戦前の、です。

 出てくる人物の心理描写もとても丁寧です。
タイムパラドクスの説明が行われていないので
SFファンの方には少々不服かもしれませんが、
因と果の巡り方が、私にはとても腑に落ちるものでした。
 ラストまで読み終わったら、再読しなおすと更に面白い作品。

 もっとディープなSFもこのテーマでしたら書けるのでしょうが、
それはSF専門の方におまかせするということで。
個人的にはもうちょっとメカメカしている作品が好きですが…
(シンデレラの下りをもっと読みたかったな、と)。

 途中出てくる「魔法の国の王様」の話が深いです。
美しさ
過去のやり直しがきかないことは誰もがわかっている。それからはたとえ同じコトを繰り返してもそれは過去ではなく現在での話『もしあのとき〜』なんていうもうひとつの人生ではなく、実際の出来事をもう一度やり直さなくてはならないとしたら?考えただけでもしぶい気持ちになってしまいます。
「あの日」を繰り返す2.26事件の当事者たちそれぞれの思惑。そもそも「失敗」だったのか?
未来からきた彼らの間でも妨害が起きたり修復装置にトラブルが発生。思いがけない事件や様々な思惑が錯綜するなか何度も「あの日」を挟んだ数日間を繰り返し…そして。
そして最後にわたしたちは彼らとおなじ瞳と佇まいでそのときを迎えることができるのです。
文庫はどうして上下分冊化されたのかが不思議。
止まった時
時は無常にも過ぎていくから、私たちは後悔したり反省したりする。そして、楽しい時間は早く流れ、嫌な時間は一向に過ぎていこうとしない。でももし、時を遡る事ができたなら私はいちいち後悔したり、反省したりするだろうか。しかしこの物語のように何度も何度も歴史をやり直し、二・二六事件の四日間を完全なモノにする為に、様々な覚悟や犠牲を払うのなら、とても過去に遡る勇気はない。
断片的なシーン、不可解な出来事がうねりながら中盤へ終盤へと駆け抜ける疾走感がとても恐ろしく、最後に犠牲を払った人物のとてつもない無常さに胸が熱くなる。
読み終えて本を閉じた時、なんとも言えない不思議な感覚があった。本を開いた数時間前に私は戻ったのではないだろうかと、鼓動が大きくなった。
「ライオンハート」系…?
氏の作品の人物の造形や設定などを見ると、書きたいのは、ファンタジーのような、いわゆるライトノベル系統に属する内容なのではないかと思う。
それを一般オトナ読者に「イロモノ」であると引かれないようにか、あるいは単なる照れなのか、歴史や、お堅い題材で糊塗しようとしている様に感じる。今回のメインは時間モノ、それにニ・ニ六をかぶせてきた。

文章自体は常に高い水準で提供しており、読ませる力はある。今回も二・ニ六を使って上手くストーリを作ったと思う。
だからこそストーリー以前の、設定に感じる帳尻合わせやひっかかりが、気になってしまう。かなり緻密な時間モノを読んできただけに、今回は特に理論面での漠とした矛盾がひっかかり、内容に入りこむのに邪魔をした。

叙述トリックなどでありがちだが、読者を誘導するため設けられる、設定自体の整合性がきっちりしていないと、意外性が構成の破綻に転じ、そも、物語として成り立ってさえいないとまで感じられてしまうのだ。今回の場合の、時間トリックは究極のイレギュラーである。特異な設定では1点の矛盾も全てを破綻させてしまう。

かなり嗜好もはっきりしており、文章力もあり、多作。いろんなモノを詰め込むのではなく、もっとシンプルに、素直に書きたいことを絞って力を入れて欲しい感じる。

語りと魅せかたの上手さを感じる1冊
 歴史をやり直すことは、果たして可能なのだろうか?時間遡航装置が開発された未来、人類は時間遡航によってもたらされた奇病に冒され、未曾有の危機にあった。人類の未来のために、やり直す過去として選ばれたのは2.26事件。未来人によって選ばれた軍人3人は、自らを待ち受ける死の運命を知りながら、歴史を正しく再生させようとするのだが、謎の妨害が起こり…。

 世を正しくしようと願いながら、むなしく処刑されることになる陸軍の人々。彼らの心情に胸打たれる。とくに、歴史のキーマンとして選ばれた3人が、三者三様に日本の未来を考え、歴史を再生しつつも最前の道を模索する様子が感動的。最後まで彼らにスポットが当てられていればもっと好みだったのだが。私には、最初の興奮が最後まで持続しなかった。ラストに向けて、物語が急に収束してしまうのが残念である。




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