東京物語
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78年に浪人生として名古屋から上京した田村久雄がフリーのコピーライターとして地歩を固めるまでの同時代青春グラフィティ。上京した日に後楽園で感じたキャンディーズ解散の熱気、駆け出しのコピーライターとして駆け回るさなかに聞いたジョン・レノンの訃報など、時代々々を感じさせるキーワードを織り込みながら20代を駆け抜けた一人の青年の姿を半自伝的につづった一冊。著者自身が若かりし頃に抱いていたであろう青い気負いがむず痒い共感を呼び起こす。自分史と東京史を重ねたいという欲求は東京に暮らす物書きなら皆抱くものなのかなあ、と思ったりもしながら。
大都会に自ら飛び込んでいった主人公が、けものみちを行くがごとくの中で、無意識に取捨選択していったときに見えてきたもの。その芯なるものを、露悪的に、スカトロジックやノスタルジックで、照れ隠しのように、蔦で覆うがごとく隠しているようであるが、読む側に、そこはかとなく伝わってきて、実は、とても品位のある本だった。なかなかの骨太小説である。
奥田氏と私は、誤差範囲でしか年が違わないということもあって、この作品の80年代の空気が、読み始めて一気に押しよせてきました。どこかくすぐったいような、照れくさいような、ちょっと目が泳いでしまうような気持ちにさせられました。男子と女子の違いはあるのですが、同時代を同じような物を見、聞いてすごしたのか、と思うと奥田氏に親近感を覚えました。親元を離れて、学生下宿で始めた一人暮らし。楽しいことも寂しいこともあったし、テレビを部屋に持っている者は稀だったし、ケータイもメールもなかった時代の青春かあ・・・・・・と、感慨しばし。私は東京ではない都市に出たけれど、流行りとしての東京のあれこれは、雑誌などで、キャッチしていたなあ。貧乏学生としては、流行りに乗ることはできなかったけれど。
途中で大学をやめて、懸命に働いてきた奥田氏の、作家としての立つまでの芯の部分が、ここにはあると思いました。上司やクライアントの年上の人から、叱られたり文句ばかり言われたりしている日常の中で、ふと彼らが見せる気遣いや諭すような物言いが、全く、そう、私が育ってきた時代の、大人たちの物の言い方そのもので、リアルでした。ちょっと気恥ずかしいような気持ちにさせられながら読了しました。
80年代の時代を背景に、名古屋から上京した田村久雄の20代を描く連作短編集。他の作品同様「笑い」「しみじみ」「泣かせ」のツボを押さえた作品である。
作者自身は岐阜県の出身であるが、その後のコピーライター、雑誌編集者という職歴をみると、半自伝的な部分はあるのかもしれない。
作者の作品は、「最悪」「邪魔」の路線と、「マドンナ」「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」に代表される路線に大別されると思うが、本作品集は、後者のカテゴリーに入る。
独りの男性の20代を、6つに区切り描いているのは
主人公の変化が手に取るように判るので面白い
女に頭が一杯のようで、実は将来の仕事や男同士のつきあいに明け暮れる
仕事に不満を抱きながらもこなしていく日々
男の人の、本音をなかなか語らない逞しさを思い起こす
何時までも少年の心を捨てられないところも微笑ましい
主人公の変化が手に取るように判るので面白い
女に頭が一杯のようで、実は将来の仕事や男同士のつきあいに明け暮れる
仕事に不満を抱きながらもこなしていく日々
男の人の、本音をなかなか語らない逞しさを思い起こす
何時までも少年の心を捨てられないところも微笑ましい
男心を少しだけ理解できた気持ちになりました



