いい話です。
ほんのりとあたたかくて、自分が広くなって
いろんなものを受け入れられそうな気がしてくる物語。
人にはそれぞれ在り様というのがあって、
同時にいろいろな都合というものを背負っていたりするものです。
そして誰かの在り様は誰かにとっては受け入れ難かったり、
誰かの都合は誰かの不都合だったり…
そんな互いの違いに心を乱したり、乱されたり…
自分自身の日常の一こま一こまをザックリ切り取ってみれば、
多分この物語に登場する人々が日々感じていることは、
決して特別なことなどではなくて、
むしろとても身近な感覚と思えるはず。
だからひとりひとりの想いになにかしら共感を覚えます。
家族、近隣、学校、職場…
時には怒ったり、泣いたり、喜んだり、悲しんだり…
誰もが毎日そんな心の風景を持っているのに、
互いを知り尽くすことなど出来るはずもなく、
それはどんなに近くても一定の距離として確かに人を隔てていて、
それぞれの軌道からは互いの一面しか見えないままに、
ひたすら宇宙を航行する星のようです。
軌道を外れた隕石がひとつ…槙野家の家に落ちた。
その文字通り降って沸いた出来事から、
それぞれが少しずつ目を上げ、軌道から一歩踏み出し、
見えなかったものが見えてくる。
その過程がすごく心地よく、そして爽快に描かれています。
どんなにすれっからした世の中でも疲れきった毎日でも、
人はやっぱり、互い同士が救いなんですね。
お互いがちゃんと見えることって、ある意味奇跡なんですよね。
星のひと
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槙野草太(中3)と、草太に関わる4人の人物を主人公とする連作短篇集。
隕石が落ちる。槙野家の屋根も床も貫いて、人命には関与することなく……。
この衝撃的な出来事を契機にして、草太のまわりの人間関係がうねり始める。
どの人も、心の中に現実世界への不安や焦燥、孤独を抱えている。
槙野家では、大人の都合が優先され、草太は今好ましくない状況にある。
それでも、明るく健気に毎日をこなすようすはいじらしく、まだ中学生らしい
幼さも垣間見える。
草太の同級生はるき。中学生の女の子独特の自意識がリアルだ。
自分はなにか特別な存在でありたいのに、教室のなかでの人間関係に
いらだつ。この章が冒頭に置かれ、プロローグ的な役割をはたす。
草太の父、草一郎の煩悶。ままにならない現実にまさに圧し潰されようと
している。その草一郎を救うべく現れたのが、かつての隣家の子、ビビアン
(今は大人)。ビビアンにとって、草一郎は初恋の人。
このビビアンの心が実に切ない。しかし、生きるパワーはまっすぐで強い。
物語の後半で、ビビアンの人間関係の絆がものすごい働きをみせるのが
爽快だ。
最後の話、高宮明浩(草太の同級生で、不良と見なされている)の章で、
各話がみごとに繋がる。
隕石が落ちたことによって、人の気持ちが動き始めた。
それぞれの心の問題は、すぐには解決するはずもないが、気持ちを
ぶつけ、触れあわせ、お互いを認め合うという過程で見えてくるものがある。
星の持つ軌道は変わらなくても、あそこに、ここに存在する星を、
草太たちは確かに知ったのだ。
隕石が落ちる。槙野家の屋根も床も貫いて、人命には関与することなく……。
この衝撃的な出来事を契機にして、草太のまわりの人間関係がうねり始める。
どの人も、心の中に現実世界への不安や焦燥、孤独を抱えている。
槙野家では、大人の都合が優先され、草太は今好ましくない状況にある。
それでも、明るく健気に毎日をこなすようすはいじらしく、まだ中学生らしい
幼さも垣間見える。
草太の同級生はるき。中学生の女の子独特の自意識がリアルだ。
自分はなにか特別な存在でありたいのに、教室のなかでの人間関係に
いらだつ。この章が冒頭に置かれ、プロローグ的な役割をはたす。
草太の父、草一郎の煩悶。ままにならない現実にまさに圧し潰されようと
している。その草一郎を救うべく現れたのが、かつての隣家の子、ビビアン
(今は大人)。ビビアンにとって、草一郎は初恋の人。
このビビアンの心が実に切ない。しかし、生きるパワーはまっすぐで強い。
物語の後半で、ビビアンの人間関係の絆がものすごい働きをみせるのが
爽快だ。
最後の話、高宮明浩(草太の同級生で、不良と見なされている)の章で、
各話がみごとに繋がる。
隕石が落ちたことによって、人の気持ちが動き始めた。
それぞれの心の問題は、すぐには解決するはずもないが、気持ちを
ぶつけ、触れあわせ、お互いを認め合うという過程で見えてくるものがある。
星の持つ軌道は変わらなくても、あそこに、ここに存在する星を、
草太たちは確かに知ったのだ。



