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蝿の王 (集英社文庫 コ 1ー1)
ウィリアム・ゴールディング平井 正穂William Golding
価格: ¥920 (税込)

文庫
出版社: 集英社
発売日: 1978/01
ISBN: 408760022X
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 231563位
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19世紀の「LOST」
無人島に漂着、救助を求めながら送るサバイバル生活の中、
理性と狂気、ふたつの立場に分かれて少年たちが仲間割れし、対立していく緊迫感の描出は見事。
人間の本質をリアリスティックに描く視点も好みに合った。
ですが、ラストが尻切れトンボ気味では?
徹底的なバッド・エンドでもなく、救いがあるハッピー・エンドでもない。
引っ張った割りには取ってつけたような結末で、読後感はあまりよくなかった。
無と闇の中に。
すごい小説です。
戦時中、疎開先へ向かう飛行機が突然墜落しました。
そして、法律もルールもない無人島に投げ出された子ども達が自らがルールとなり、サバイバルしてゆくという展開で進められてゆくストーリーです。
その中に人間の'闇の部分`や'無の部分`が描かれていてラストは息が詰まるぐらいのスリルが連続していて時が経つのを完全に忘れてしまう一冊でした。
僕たちが日常でもよく感じる、あの妙な孤独感や閉塞感、そして他人に対する畏敬の念。それらがうまく描かれたまさに人生のバイブルとも呼べる一冊でした。
素直に共感できない
 正直他のレビューの高評価に期待して読んだのですが、自分はラストシーン以外は全く共感できませんでした。確かに野性生活の中で子供達の獣性が徐々に表れていくという筋はかなり魅力的で類を見ない物だとは思います。先述したラストシーンでの海軍の将校の台詞「イギリス人ならばもっとそれらしい生活ができたんじゃないのか」という部分にはハッとさせられました。終盤の追っかけ合いも読んでいて興奮させられるものでしたし。でもやっぱり、獣性の発露していく過程がものすごく唐突。豚を捕るか獲らないかでもめた末起こしてしまった殺人が引き金になってしまうというのですが、なんだか本当にその殺人がとってつけたみたいに入ってくるので面白くありません。妙に頑固だなという登場人物達の言動にもやや引っかかる部分があります。もともと『十五少年漂流記』などの冒険物が下敷きになっていることもあって都合のいい部分も散見され、ちょっとなぁ、という気がしました。
本来人間とは平和より闘争を好むのか?
1954年に発表された、ノーベル賞作家ゴールディングの代表作。
南太平洋の無人島に不時着した少年達は、初めは団結して秩序ある生活を送っていたが、
徐々にリーダー格の二人の少年の対立が表面化する。
リーダーに選ばれたラーフは秩序を守ろうとするが、狩猟隊のジャック達は次第に暴力的なグループを形成し、
最後は流血の闘争へとエスカレートしていく。
少年達が徐々に凶暴化していく過程が実に巧みに、かつ説得力を持って描かれており、
最後まで秩序を保とうとしたラーフが最後にはついに孤立化してしまい狩猟隊から逃げ回るところは悪夢を見ている様である。
この、恐怖と暴力が支配する小さな世界は、大人たちの世界の縮図と捉える事もでき、
本来人間とは平和より闘争を好む生き物なのかと考えさせられる。
本書が発表された当時の、第二次大戦後の冷戦という不安定な秩序と、
そして再び大戦が勃発するかもしれないという不安感を反映していると私は感じたのだが、どうだろうか。

これは決して特別ではない・・・
南海の孤島に不時着した飛行機から降り立った少年達を待ち受けていたものは、学校や親達から自由になった生活。彼らなりに楽園での生活を何とか楽しくやっていったはず、もちろん救助されることも考えつつ・・・。しかし、一部の人間に目覚めた獣性ともいうべきものが次第に広がり秩序は崩壊してしまい、最後は一人の少年を追い詰めて、まるで人間狩りの様相を帯びてしまいます・・・。
冒険心や探究心に満ちた海洋物や少年の漂流記物は広く読まれてきたと思いますが、これはそれらと一線を画すものです。人間に潜む野獣性をこのように少年たちのサヴァイヴァル物語に絡ませたという意味で、とても衝撃的でした。
私はこれを読みながら途中まではハラハラドキドキ、そして、ある箇所からはえ?信じられない!嘘だろう!?と一度ならず、時には本を放り出してしまう程愕然としてしまいました。読み進むのが辛くなった、と言っても過言ではないくらい・・・。

でも、これは決して特別なケースではないように思います。
歴史上の色々な事件や出来事から始まり市井の悲惨な事件に至るまで、それらの多くがこの物語と共通しているのは、ある特別な恐怖下に置かれたり非日常の状態や極限状態に置かれた場合に頭をもたげる人間の心に潜む破壊性というか獣性だと思います。それがいかに簡単に周りを侵食するかの如く広がるか、平安な暮らしが何かのきっかけで誰の心にも潜んでいる可能性のある物に取って代わられるかもしれない、いかに危ういものなのかと、改めて愕然たる思いがしました。
最後のほうで主人公の少年の秩序と破壊のどちらを選ぶのかを問いかけた言葉が印象的でしたし、どこの場面とはいいませんが(ネタばれになるため)その少年が号泣した場面では、改めて胸を激しく衝かれる思いがしました。



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