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娼年 (集英社文庫)
石田 衣良
価格: ¥420 (税込)

文庫
出版社: 集英社
発売日: 2004/05
ISBN: 4087476944
おすすめ度:3.5
Amazon ランキング: 44250位
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読んでいて楽しく、癒される小説
石田作品の中でも群を抜いたこのレビューの多さ、この作品がもつ影響力を思った。性の問題は本当にパーソナルなものだから、この小説の評価が賛否両論なのもうなずける。

コールボーイが題材とあって、セックスが小説の大部分を占めるが、主人公の滑らかな語り口に引きつけられあっという間に最後まで読んでしまった。
石田作品の中でも最高傑作だと思う。
最初、山田詠美の「ひざまずいて足をお舐め」を思い出した。(この小説はSMが題材だった)あちらの業界を書いた小説の中でもとても読みやすく、性に関する仕事を見る目が変わった作品だった。
そしてこの「娼年」にも同じものを感じた。
性の仕事は一般的に後ろ指をさされるような職業だが、誇りを持って懸命に仕事をしている人間もいる。そしてその人達が客に与える影響は計り知れない。

娼夫として、20代から70代(!)までの女性を相手に仕事をするリョウ。
中には仰天プレイを依頼する客もいるが、その人それぞれの長所を一生懸命探し出し、相手を満足させることにやりがいを感じていく。
普通だったら参ってしまうような状況から逃げもせず、女性の欲望の不思議に魅せられていく・・
リョウの行動、言動にとても癒された。
こんな天才娼夫がいたら、一度お目にかかってみたいと思った。

全編を通じて美しく、とても読みやすい文章になっている。
透明感のある文章はさすがで、著者のテクニックに唸るものがあった。
とにかく読んでいて楽しい。
「逝年」も評価はさまざまだけど、是非読もうと思う。



「娼年」として女性と接して
彼の目に映る女性たちは、皆一様に愛しくてかわいらしい。

私は自然に彼に心を同化させてしまった。「娼年」という題名から察することが出来るように
性描写は多い。でも生々しくないというか。変な話、行為の描写さえも心地いい。それは彼女たちを受け止める儀式とでもいうかのように感じたからだ。主となるのは行為そのものよりも、心の癒しとでもいうのか。そういうものを女性は求めていたし、また、彼もそれを感じとっていた。

主人公が、この先どうして行くのかがずっと気になってそして次第に引き込まれていった。
二、三歩引いたところから見たような感覚の文。その距離感が時々狂うことで彼の心の揺れを感じる。
さらっと読む話
衣良さんの作品はもう何作も読んでいるのですが、特に何も持っていない主人公が自分の才能を発揮できる場所を見つけ、この先羽ばたいていくのだろうと予感させて終わるというパターンがあって、この話もそうです。
ドライな語り口で、主人公はどこか自分と現実を乖離させて考えているような感じです。
出てくる人たちはみんな普通で少し変わった人。
今の世の中、『普通』からずれてしまうと攻撃の対象になりがちですが、主人公のリョウ君はずれている部分まで、その人の個性として受け入れます。実際にリョウ君のように考えるのは難しいだろうと思いますが、その心の柔らかさが読んでいて羨ましくなりました。
大きな衝撃がある話ではないけれど、ゆっくり心に効いてくるものがありました。
セミの泣く夜に
主人公リョウは、自分は娼夫だと名乗る。20歳の夏を描くこの作品は、リョウが少年から青年へと成長していく過程を描いているのだから、やはり、タイトルは娼年でいい。
男性側の性の快感をきちんと書いてあるところが珍しい。多少のあざとさを感じるところもあるが、この本の魅力は、中高年の女性に非常に優しい点にあろう。一般に、加齢は、女性にとって、性的な魅力と反比例すると言われる。しかし、リョウは、どの世代にも、どの女性にも、魅力を見つけていくのである。それぞれに、それぞれの魅力があると。
姫野カオルコが解説に書くような優しさ、うそつきな優しさかもしれない。ソフィスティケートされているという優しさである。
嘘にだまされてみる楽しみがある。春を買う行為は、快感を買うのではない。嘘を買うのだ。嘘。けしてありえぬ幻想であり、魔術であり、手の届かぬ理想の高みにある幸福であるかもしれぬものを夢見て。
私は男性を買いたいとは思わぬが、嘘を買いたくて本を買う。
性愛
「娼婦」ではなく『娼年』?と疑問に思って手に取った本です。

20歳の青年が性を売り物にするという一見ショッキングな話なのですが、コレが深い・・・。
お金のためでもなく、ビジネスとして体を売る青年が、人間の愛と性についての優しくて深い洞察をもって「何か」をつかんでいく過程に引き込まれました。

心にグッとくる本です。



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