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マリア様がみてる−あなたを探しに
今野 緒雪
価格: ¥440 (税込)

文庫
出版社: 集英社
発売日: 2007/03/30
ISBN: 4086008955
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 9942位
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明日へつながるデート
「私を、祐巳さまの妹にしていただけませんか」
瞳子ちゃんのこの一言で終わった前回の続き――
今回は、次期薔薇さまとイベント勝者たち(+α)のそれぞれのデートの様子が描かれていました。
やっとロザリオ授受の瞬間が読める!と楽しみにしていたので、読み始めて、考えていた展開と違う…?と気づいたときには少し残念に思いました。さっさとイチャイチャとかイチャイチャとかしなさいよっ(by由乃さん)と。
でも、このお話もそれぞれにとって必要な時間だったのでしょうね。修正するためにも上書きするためにも扉を開けるためにも。
期待していたのとは違ったけど、みんなが気持ちよく明日を迎えられるならいいや思える。とても爽やかな読後感でした。
実は自分自身を探しに
バレンタインデートの巻である。

この巻では、3つの「あなた」探しが同時並行で進行する。由乃は、令ちゃんを挟んでライバル関係にある田沼ちさとの本質を探しに。志摩子は、不在者チャンスでめぐりあった「彼女」の不可思議な挙動の真相を求めて。では、祐巳は?

実は、祐巳は実質何も「探し」ていないのだ。以前に「向こう側から『どうぞ』と扉が開かれるまで待たなくては、扉は永遠に開かない。」(『大きな扉 小さな鍵』p9)とある通り、完全に祐巳は「待ち」の姿勢に徹している。無くしたものを探しにいくのは瞳子である。そう、今回やっと、「向こう側から…扉が開かれ」たのだ。

瞳子は、祐巳をある場所に連れていく。そこは瞳子の出自に関わる場所。そして瞳子は、今まで誰にも打ち明けることのできなかった思いの丈を祐巳に打ち明ける。祐巳はそれをただただ寛容に受け止める。

以前、瞳子は自分の半生を塗り潰された白地図に喩えた。しかし神様は瞳子に、真っ白なページをもう1枚与えたのだ。これは由乃とちさとの関係にしても同様。今後が俄然楽しみになってきた。

…というわけで、「早くイチャイチャとかイチャイチャとかイチャイチャとかイチャイチャとかしなさいよ」は次巻へのお楽しみ。これを物足りないと見るか、新エピソード満載のはずの次巻まで胸を躍らせながら待つのかは、読者であるあなたの心の中の鍵次第。
よくできた巻
3ヶ月おきに新作という異常なペースながらも今回もクオリティ高いです。
どのエピソードもテーマにはまっていて無駄がないです。
新聞部から奈菜までこれまた無駄のないご登場。
瞳子のキャラ変わりすぎというのはご愛嬌。
ロザリオのゆくえは――
前回、『えっ』と思わせる衝撃的な展開で幕を下ろした「クリスクロス」に続いて、
今作もその勢いにのって急展開が待ちうけているのかなぁと勝手に推測していましたが、スローテンポでしたね。
今回は、お宝探しの優勝者と薔薇様方とのデート編ということで、赤・黄・白薔薇さまのデート風景が順番に描かれ、
肝心の祐巳と瞳子の関係は――最後の最後まで焦らされた〜という感じでした。
すこしまどろっこしい感じではありましたが、
でも、人間関係なんてこんなものなのかもしれないですね。
少しづつ距離を縮めていくというか。
今野先生は何気ない日常風景を書くのがうまいと思います。

はじめて『マリア様がみてる』を読んだときには、こんな世界もあるんだーと驚いたものですが、
読み進めていくうちに、『お姉さま』のカッコよさに気づかされたり、登場人物が成長していく姿に、いつのまにか読まされてしまいました。
さて、祐巳はこれからどんなお姉さまに成長するのでしょう?
まだまだたくさんの秘密を抱えていそうな瞳子との関係も気になるところです。
ヤット見えて来た出口
紅薔薇家の妹問題はいまだ正式には解決しておりませんが、前回爆弾宣言をした瞳子は、祐巳に自己の抱えている負の部分を語ることで、やっとスタートラインに立ったのだと思います。
祐巳はまだ返事をしておりませんが、二人がスールになるのだと感じられるラストでした。

尚、この巻でも妹問題が解決しておらず、引っ張りすぎとの批判も見られましたが、私は彼女たちが薄っぺらな登場人物にならない為に必要なプロセスだったのだと思っております。

思い起こせば「レイニーブルー」が二人の出会いですから、長かったですね。




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