ひとつ前に戻る

スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎001 (講談社文庫)
日本推理作家協会
価格: ¥730 (税込)

文庫
出版社: 講談社
発売日: 2006/09/16
ISBN: 4062755173
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 102873位
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

amazonの詳細ページへ
錚々たる作家の優れた短編
70年、80年、90年 の推理小説代表作選集から東野圭吾さんが選んだ
短編推理小説のアンソロジーです。

松本清張 筒井康隆 赤川次郎 日下圭介 高橋克彦 連城三城彦 小杉健治 宮部みゆき
と錚々たる作家の優れた短編を堪能できます。

なかでも連城三城彦の「ぼくを見つけて」が、
「誘拐の被害者からの一報」からはじまって
意外な結末まで鮮やかな筋運びで面白かったです。

どの作品も読み応えのある、充実した一冊でした。
大御所と新しい出会いと。
過去30年間を代表するアンソロジーだそうです。
でも、正確には、'70年、'80年、'90年に発行された、
「推理小説代表作選集」3年分から、選者の東野圭吾氏が
個人的に思い入れのある作家を選んだ形です。

'70年から…
松本清張「新開地の事件」
筒井康隆「母子像」

'80年から…
赤川次郎「双子の家」
日下圭介「緋色の記憶」

'90年から…
高橋克彦「北斎の罪」
連城三紀彦「ぼくを見つけて」
小杉健治「手話法廷」
宮部みゆき「サボテンの花」

もちろん好き嫌いはあると思いますが、
個人的には、なかなか粒ぞろいの作品だと思います。
大御所で読みこぼしのあった作品もあれば、
初読みで興味を引かれた作家さんもおります。
古き良き出会いと、新たな出会いの1冊としてどうぞ。
本当に「謎」解きミステリなのか ?
東野圭吾氏が選んだ70〜90年代の短編アンソロジー。

松本清張「新開地の事件」は当時の風俗と人間の業の深さを描いたもの。清張らしい味は出ているものの、ミステリと言う感じは全くしない。筒井康隆「母子像」は筒井ファンの私にとっては御馴染みの作品だが、筒井の短編の中では平板な出来。ファンとして、選択基準に不満が残る。赤川次郎「双子の家」はクィーン「神の灯」とチェスタトン「グラス氏の失踪」を組み合わせたような作品でオリジナリティに欠ける。警部と女子大生の掛け合いも食傷気味。日下圭介「緋色の記憶」は過去の父の死の原因を探る娘が、関係者の回想談を聞くという形式の作品だが、真相がミエミエで意外性も風趣もない。高橋克彦「北斎の罪」は得意の浮世絵もの。幻の"北斎漫画"を扱ってロマンを感じさせるが、"北斎漫画"が手本画集である事は常識だろう。それを美術編集者が知らないのは不自然過ぎる。連城三城彦「ぼくを見つけて」は誘拐事件で死んだ筈の少年から警察に電話が掛かって来るという発端から、過去の事件の真相が重層的に徐々に明らかにされるサスペンス。謎解きではないが、本作で一番読ませる。小杉健治「法廷手話」は身体障害者の挫折と蘇生をテーマにした力作だが、ミステリではあるまい。宮部みゆき「サボテンの花」は生徒達の奇矯な行動が思わぬ真相へと結び付くという短編の王道を行く佳品。伏線の張り方も巧み。ハートフルな味わいが如何にも作者らしい。

確かに多様な作風の作品が味わえる短編集だが、題名通りの「謎」を期待した私としては期待ハズレの多い作品が揃った結果となった。アンソロジーを編む難しさを感じさせる一作。
宮部みゆきにひかれて…
スペシャルブレンドミステリーという冠にふさわしい文庫本。

ひとつきほどまえ、宮部みゆきの講演会へいった。そこでこのアンソロジーがでていることと、
宮部氏が大沢在昌と京極夏彦の三人で大極宮(事務所)をつくっていることを知った
(すごいメンバー)。
で、この本を読むきっかけとなった。

松本清張の「新開地の事件」が冒頭作品。
さすがに漢字が多いな、(この文庫は字が大きくてとても読者フレンドリーなのですが…)
と圧倒された(初めてよんだわけではない、けれどここに収められていて異なった印象だった)。
内容(テーマ)も少しも古くない。人間の本性をえぐる結構強烈な内容だ。
それなのに描写が客観的なので、少しも下品にならない。

東野氏の解説もわかりやすく面白い。
高橋克彦の「北斎の罪」作品ははじめて読んだ高橋作品。魅了された。

短編集なので、とっつきやすい。ストーリー展開のくっきりした作品ばかりで、
各編いっきに読ませてくれる。ミステリーファン必読の書。

好きな作家を増やすきっかけ
この手のアンソロジーはさまざまな企画があり、正直当たり外れも多い。今回は選者が当代きっての人気作家・東野圭吾ということで、「はずれ」がないことを祈って購入しました。
8編のミステリーが収められていますが、私個人としてのはずれは1つだけ。(どれとは申しませんが)。読んだことのない作家が半分ほど占めていたのですが、これを機に読んでみたいと思える内容でした。特に日下圭介氏。緻密に練られたストーリー展開はぐいぐいと引き込まれます。
冒頭に収められた松本清張氏の「新開地の事件」。すべてを読み終えたときにやはり抜きん出て印象に残る作品でした。単なるミステリーではない、時代背景の描写のうまさ、無駄のない文章。おもしろかったです。



本のみちしるべ Powered by Amazon Web Service
PR: FS研究室