いやぁ、困ったとしか言いようがなかった。
(上)だけ読んでいるうちは、ほんと、なんと言っていいかわからなかった。
全体の流れ、スピードと、その流れが下へ下へ、破滅へ破滅へと言うところ、そしてろくな人間が出てこないところは、正直なところ、馳星周の小説を読んでいるのか、と言う錯覚に陥るほどだった。
そうか、ミロは行ってしまったのか。もう読むのよそうか。。。
いや、でも、その行きつくところを読まないといかん。いかん。
そうして、何とか鼓舞して、自分の甘えを叱って、下巻へと突入したのでありましたぁ。
ダーク (上) (講談社文庫)
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主人公の村野ミロが、親友(シリーズ1作目で殺害された宇佐川耀子)の母親を見舞いに訪れるという一見穏やかな導入部。だがその母親の発したある一言により、シリーズを通しての読者を引きずり込む怒涛の展開が始まる。
前作までような探偵ものではないし、これまでの人間関係は大きく崩壊します。そのことに戸惑いつつも、北海道の路上でミロと「村善の女」がすれ違う瞬間、追われる身となったミロが韓国人に成りすまし男と出国する瞬間、行き先の韓国でミロがトモさんに見つかってしまう瞬間……。そんな瞬間瞬間の物語に魅了され続け、最後まで読み通してしまいます。ファンとしてはミロが人間として逸脱していく姿にも戸惑いつつ、最後の1ページまで誰にも媚びない彼女の格好よさに、やはりまた続編を期待してしまいます。
前作までような探偵ものではないし、これまでの人間関係は大きく崩壊します。そのことに戸惑いつつも、北海道の路上でミロと「村善の女」がすれ違う瞬間、追われる身となったミロが韓国人に成りすまし男と出国する瞬間、行き先の韓国でミロがトモさんに見つかってしまう瞬間……。そんな瞬間瞬間の物語に魅了され続け、最後まで読み通してしまいます。ファンとしてはミロが人間として逸脱していく姿にも戸惑いつつ、最後の1ページまで誰にも媚びない彼女の格好よさに、やはりまた続編を期待してしまいます。
怪しく絡み合う人間模様が見物。欲望の果てに底知れぬ深淵に堕ちていく醜悪な登場人物たち。
探偵・村野ミロ―桐野夏生氏デビュー作からの登場人物―は
出所を待っていた男が4年も前に獄中自殺をしていた事実を知り、
それを秘匿していた義父を殺し、逃避行に出る―。
キャラクター小説というものは、作家さんにとってどういう位置づけなのでしょうか。
東野圭吾氏にとっての加賀刑事や湯川助教授、篠田真由美氏の桜井京介とその仲間。
ライトノベルの世界に氾濫するあまたのキャラクター小説。
固定客がつく、キャラクターが物語を(ある程度勝手に)紡いでくれるといった有利な面が
ある一方、それらに依拠したある種の「手抜き」ともとれなくはありません。
桐野氏はデビュー作以来のキャラクター達をこの作品で封印してしまいます。
その意識の現われなのか、この作品でのキャラクターたちの描かれ方は
これまでのものとは大きく異なり、この種の小説を支持してきた人たちには
大きなショックと反感を生んだことでしょう。
でも、これは桐野氏の大きなステップアップなんだと思います。
この作品で使い慣れたキャラクターたちを捨てた彼女は、
実際、彼女独自の小説世界を見事に構築しています。
次も読まないと、と思わせる作品です。
出所を待っていた男が4年も前に獄中自殺をしていた事実を知り、
それを秘匿していた義父を殺し、逃避行に出る―。
キャラクター小説というものは、作家さんにとってどういう位置づけなのでしょうか。
東野圭吾氏にとっての加賀刑事や湯川助教授、篠田真由美氏の桜井京介とその仲間。
ライトノベルの世界に氾濫するあまたのキャラクター小説。
固定客がつく、キャラクターが物語を(ある程度勝手に)紡いでくれるといった有利な面が
ある一方、それらに依拠したある種の「手抜き」ともとれなくはありません。
桐野氏はデビュー作以来のキャラクター達をこの作品で封印してしまいます。
その意識の現われなのか、この作品でのキャラクターたちの描かれ方は
これまでのものとは大きく異なり、この種の小説を支持してきた人たちには
大きなショックと反感を生んだことでしょう。
でも、これは桐野氏の大きなステップアップなんだと思います。
この作品で使い慣れたキャラクターたちを捨てた彼女は、
実際、彼女独自の小説世界を見事に構築しています。
次も読まないと、と思わせる作品です。
主人公村野ミロは、作者桐野夏生に江戸川乱歩賞をもたらし売れる作家に育てた、いわば育ての親のような存在でした。ミロシリーズにぶら下がって書き続ければ、女流ハードボイルド作家として部数の計算できる堅い作家でい続けられたでしょう。反面それ以上の何者でもなくなることを桐野はロミシリーズの次回作を期待される度に危惧していたのではないでしょうか。
作中、『所詮、安全な池の中に住んでいたようなものだった。どこかで相通ずるものを共有し、許しあっているものたちとの気楽な暮らしだった』というロミの言葉は、シリーズが桐野とミロファンとの閉ざされた世界でしかないことを暗示しています。そんな世界観を桐野は、親を疎ましく思う若者のように感じていたのではないでしょうか。本作は、自立し更なる成長を図るためミロシリーズ(育ての親)を捨てる親離れの儀式のような作品だと感じました。
そのため桐野はミロシーズの世界観を完膚なきまでに破壊し、ミロに関わる者たちにもれなく災厄をもたらし、読者を不快にする作品に仕立てました。これは村野ミロに甘い黙約を期待する読者に対する確信的な裏切りであり、失望されたファンも少なくなかったでしょう。しかし桐野がミロ以外の何かを書くための必然だったのではないでしょうか。本作は自分を育み、それなりの愛着を持ったキャラとの決別を宣言しています。
作中、『所詮、安全な池の中に住んでいたようなものだった。どこかで相通ずるものを共有し、許しあっているものたちとの気楽な暮らしだった』というロミの言葉は、シリーズが桐野とミロファンとの閉ざされた世界でしかないことを暗示しています。そんな世界観を桐野は、親を疎ましく思う若者のように感じていたのではないでしょうか。本作は、自立し更なる成長を図るためミロシリーズ(育ての親)を捨てる親離れの儀式のような作品だと感じました。
そのため桐野はミロシーズの世界観を完膚なきまでに破壊し、ミロに関わる者たちにもれなく災厄をもたらし、読者を不快にする作品に仕立てました。これは村野ミロに甘い黙約を期待する読者に対する確信的な裏切りであり、失望されたファンも少なくなかったでしょう。しかし桐野がミロ以外の何かを書くための必然だったのではないでしょうか。本作は自分を育み、それなりの愛着を持ったキャラとの決別を宣言しています。




