はじめてわかる国語 (講談社文庫)
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おもしろい本だとは思うが、一番おもしろいと感じたのは本の最
初の1/5くらいである。最初の2章には、小中高学校のころの国語の
授業やテストが話題に取り上げられていて、懐かしく、非常におも
しろかった。
「アメリカでは、英語の授業をNational Languageとは言わずに
Englishと言うが、日本では、日本語の授業のことを国語と言い、
日本語とは言わない」という指摘に、まずなるほどと思った。
国語のテストでは読んだことのない文章が出てくるので、勉強の
しようがなかった、という指摘も小学校の頃の実感に合っている。
また、漢字の書き取りの練習で、同じ字を何度も書いていると、
だんだんその字がその字として見えなくなってきて、無意味なマー
クを書き写しているかのような気分になるといった記述は、かなり
鋭いところをついている。
国語の授業の中に、道徳教育が隠されているという指摘も、非常
に納得がいく。特に小学校の国語の教科書に掲載されている文章や、
先生の教え方からは、この筆者が言うように、よい人間を育てよう
というような意図が確かに感じられた。もちろん、全ての文章から
ではなかったが...。
国語のテストは、作者の意図や思いとは関係なく、問題のルール
を知って解く必要があるということもその通りであり、実際、ある
作家は講演で、センター試験に取り上げられた本人の文章の設問の
選択肢はどれも正しい気がすると言っていた。
最初の部分以降は、純粋に日本語の話になっているので、それに
興味がある人にはおもしろいかもしれないが、学校の頃の国語との
話とは離れてくるので、個人的にはそれほど興味を惹かれなかった。
この筆者はなかなか鋭い人だと思うし、読みやすい文章を書ける
人なので、学校の国語について、冒頭付近のような調子で、国語テ
ストのいろんな問題の例を挙げたりして、もっと徹底して論じても
らえるとおもしろかったと思う。
谷崎潤一郎は『文章読本』で文章の要素には、用語・調子・文体・体裁・品格・含蓄の六つがあるという。初めに、文章は実用的でいいと言いながら、品格や含蓄まで求めるのは矛盾していると著者は指摘する。谷崎の説く論旨には納得できないが、誰にでもよく分かるように「難解な言い方を避け、意味の濁りのないように」正確に伝達することことが文章の目的であると考えている。いい文章は言いたいことがきちんと伝わることであると強調している(雅)
「国語入試問題必勝法」のような受験国語と、日本語としての国語としての内容を取り上げた本。国語の教員免許を持つ筆者が国語について書いているが、もし本気で国語はセンスの教科と思っているなら、多くの人に誤解を与える恐れがある(冗談だと思うが)。そもそも先生の文章解釈を押し付けられるというのは国語のスタンダードな授業ではない。また、自分が書いた文章の問題を筆者が解けないのはおかしいというが、そもそも筆者の本音をヤマ勘で当てる教科ではない。文章の論理から読解するのが少なくとも受験国語。主観的に自分の意図で解釈してしまうと、筆者の方がむしろ正確な読み取りができないはずだ。文章の中から読み取れない問題があるなら、それは悪問となる。受験生はくれぐれも注意して楽しく読みましょう。



