学生の恋愛模様が描かれる。
携帯小説にありがちな、エピソードは一切なく、
甘くもあり、酸っぱくもあり、痛くもある心情が
20代前半とは思えない、文章表現で物語が織り成されている。
筆者を初めて教えてくれたのは、
10代後半の女性フリーターだった。
“面白いから、読んでみてください”と。
そのとき読んだのが、『ナラタージュ』。
20以上年齢の離れた私でも面白いだけでなく、
登場人物に深く共感させられたのを覚えている。
今作は、その原点ともいえ、堪能をさせてもらった。
しばらく、著者の本からは離れていたが、やはり、他の本も読んでみよう、
そんな気にさせられた。
シルエット (講談社文庫)
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『シルエット』です。群像新人文学賞優秀賞を取った表題作と、「鳩よ!」掌編小説コンクール年間MVPの『ヨル』と、もう一編の掌編を収録した本です。デビュー作と出世作を同時に味わえる、という意味では美味しい本かも。ただ、そこそこ長さのある表題作と掌編2作を同じ本に入れるというのは、バランス的にはちょっとどうだったでしょう。
恋愛小説です。といってもベタベタの甘々ではなく、文章表現が純文学的なので甘さ控えめです。とはいえ内容的にカロリーは高い、といった感じです。
文章はどちらかというと詩的に感じられました。だから絵画的イメージが強かったです。十代の若い作者が若い感性を活かした作品。別の人と付き合っていても、別れた好きな人が忘れられない、という主人公のせつない感情を表現するには、この文章で的確なのかもしれません。
この著者の、恋愛小説以外の作品を読んでみたいです。
恋愛小説です。といってもベタベタの甘々ではなく、文章表現が純文学的なので甘さ控えめです。とはいえ内容的にカロリーは高い、といった感じです。
文章はどちらかというと詩的に感じられました。だから絵画的イメージが強かったです。十代の若い作者が若い感性を活かした作品。別の人と付き合っていても、別れた好きな人が忘れられない、という主人公のせつない感情を表現するには、この文章で的確なのかもしれません。
この著者の、恋愛小説以外の作品を読んでみたいです。
島本理生さんの本は『生まれる森』に続いて2冊目でしたが、こちらの方がよかったです。17歳とは思えない表現力に脱帽です。江国香織さん的な、なめらかで心地よい文章です。
主人公は女子高生。そして、同じ高校生で元恋人の「冠くん」と、大学生の現恋人「せっちゃん」。冠くんが忘れられず、でもせっちゃんも大切で・・・。
読んでいくうちに、自分の高校時代が鮮明に蘇ってきて、心がちくちくしました。高校生の私は、主人公のように日常から逸脱して苦しみにおぼれることすら、怖くてできなかった。でも、不明瞭ながらもたくさんの気持ちがあって、思いを引きずったりもした。そんな思いがあふれてきました。
私はかなり自分の思い出や経験にかぶらせて、この本を読んでしまいましたが、そういう読み方がお好きでない方には、ちょっと重いかも。
物語のラストは衝撃的で、電車の中でうかつにも泣きそうになりました。本を持つ手が震えました。
ただ、表題作以外の2作は、島本理生の世界観は現れているものの、残念ながら読み応えはなかったです。
主人公は女子高生。そして、同じ高校生で元恋人の「冠くん」と、大学生の現恋人「せっちゃん」。冠くんが忘れられず、でもせっちゃんも大切で・・・。
読んでいくうちに、自分の高校時代が鮮明に蘇ってきて、心がちくちくしました。高校生の私は、主人公のように日常から逸脱して苦しみにおぼれることすら、怖くてできなかった。でも、不明瞭ながらもたくさんの気持ちがあって、思いを引きずったりもした。そんな思いがあふれてきました。
私はかなり自分の思い出や経験にかぶらせて、この本を読んでしまいましたが、そういう読み方がお好きでない方には、ちょっと重いかも。
物語のラストは衝撃的で、電車の中でうかつにも泣きそうになりました。本を持つ手が震えました。
ただ、表題作以外の2作は、島本理生の世界観は現れているものの、残念ながら読み応えはなかったです。
島本理生さんは、最初からうまい作家でした。これは絵國香織さんのような世界ですね。主人公と、冠ちゃん、せっちゃん。そのあたりの関係、さらに「引きずり」という絡み具合が、実にうまいんです。自然に、暗くなりすぎず、だけどリアルに。詩的で繊細に描写は、そういった物語をとてもするすると頭に入れてくれます。ただ、それがどうも作品世界の薄さにつながってしまっているようで、残念です。併禄の二作はいらなかったと思います。書き出しこそ秀逸ですが、それ以外の何が良いのか全くわかりませんでした。
別れてからも、「せっちゃん」と付き合っていても忘れられない、「冠くん」のこと。冠くんを「せっちゃん」に重ねて追い求める姿が、いじらしくもありいとおしい。そして、それをなにげなく察しながら、そっと受け止める「せっちゃん」の彼女への接し方が切ない。
対照的な性格の「冠くん」と「せっちゃん」、そしてさりげなく彼女を支える「はじめ」の存在、こうしてみると彼女の周りには、親身になってくれる人たちがたくさんいて、とても幸せなんだなと思う。思慕を扱う物語なのに、さわやかさを感じられるのは、なにげない会話や仕草に、そうした細やかなやさしさが感じ取れるからだろう。
20ページ足らずの「呼吸する植物」、「ヨル」を含めて、読後に充実感を得られる短編集である。
対照的な性格の「冠くん」と「せっちゃん」、そしてさりげなく彼女を支える「はじめ」の存在、こうしてみると彼女の周りには、親身になってくれる人たちがたくさんいて、とても幸せなんだなと思う。思慕を扱う物語なのに、さわやかさを感じられるのは、なにげない会話や仕草に、そうした細やかなやさしさが感じ取れるからだろう。
20ページ足らずの「呼吸する植物」、「ヨル」を含めて、読後に充実感を得られる短編集である。



