明らかに某宗教団体を意識した物語。
緻密さ、精巧さが際立っていて、野沢ワールドの集大成である。このまま映画のシナリオに使えそうな細かな情景描写は、脚本家だった故の術か。
公安女性の自己破壊と自己完結は作者自身なのか。それを暗示させる本書は、数ある野沢作品の中でも傑作であり、日本ミステリーに燦然と輝く作品でもある。
間違いなく全読者必読の書。
魔笛 (講談社文庫)
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物語の冒頭「自己批判、弁明ではなく分析報告である」というくだり、さらに語り手や登場人物の人間関係や背景の設定が凝っている。プロットの段階的な構築や人物像のプロファイルを周到に準備する著者らしい。公安と警察の関係、カルト教団の扱い方も不謹慎だがワクワクするぐらい興味を引かれるところで、巧い作りだと思う。またカルト教団の施設の描写や、マスコミの報道体制の風景など、脚本家らしい映像に訴える表現が感じられる。
物語の構成としてはいつものように伏線がカチッとはまる作りで、完成品として素晴らしいのだが、逆にブレがないことが予定調和というか、なんとなく作品を小振りにしてしまったような気もする。特に犯人の行動の原因となった部分などはあまり釈然としないし、好きなモチーフである「森」へのイメージの連結も弱い。最後のキーワードもやや消化不良・・・。
楽しめるのだが、もっと膨らませることが出来た作品なのにと思うのは、ややお門違いの望みだろうか?
物語の構成としてはいつものように伏線がカチッとはまる作りで、完成品として素晴らしいのだが、逆にブレがないことが予定調和というか、なんとなく作品を小振りにしてしまったような気もする。特に犯人の行動の原因となった部分などはあまり釈然としないし、好きなモチーフである「森」へのイメージの連結も弱い。最後のキーワードもやや消化不良・・・。
楽しめるのだが、もっと膨らませることが出来た作品なのにと思うのは、ややお門違いの望みだろうか?
明らかに、とある実在の宗教団体を意識した設定が、
この傑作を文学賞から遠ざけたといういわくつきの作品
(その辺は北方謙三氏の解説に詳しい)。モデルの方も、
折しも教祖に死刑判決が確定したばかり・・・。
ここまで社会派に徹することのできるミステリーは、なかなかない。
宗教団体の内部だけでなく、公安、爆発物処理班など、
日頃あまり現れない警察組織の描写も多い。
特に公安は作品のひとつのキーである。
作品を貫く、人間の暗部をえぐり出すような描写の数々。
この手の心理描写は作者の大きな特徴のひとつかもしれない(『深紅』が典型)。
そしてその描写の深さは、彼が自ら命を絶ったという事実により、
いっそう濃い闇を放っていくのである。
この傑作を文学賞から遠ざけたといういわくつきの作品
(その辺は北方謙三氏の解説に詳しい)。モデルの方も、
折しも教祖に死刑判決が確定したばかり・・・。
ここまで社会派に徹することのできるミステリーは、なかなかない。
宗教団体の内部だけでなく、公安、爆発物処理班など、
日頃あまり現れない警察組織の描写も多い。
特に公安は作品のひとつのキーである。
作品を貫く、人間の暗部をえぐり出すような描写の数々。
この手の心理描写は作者の大きな特徴のひとつかもしれない(『深紅』が典型)。
そしてその描写の深さは、彼が自ら命を絶ったという事実により、
いっそう濃い闇を放っていくのである。
鶴橋康夫 監督 へ 野沢さんが亡くなり、2年以上がたちました、僕は鶴橋さんが野沢さんの作品を引き継いでくれる事を切望します、『砦なき者』を見て、心を揺さぶられました、また、僕の心を揺さぶって下さい、鶴橋さんが野沢さんの作品を映像化して頂けるのを、僕は楽しみにしています。
盛りだくさんの内容で、おいしい要素てんこ盛りの小説。
ちょっと詰め込みすぎの印象あり。
犯人の一人称神様視点にも違和感を感じる。
登場人物にも、通常だったら有り得ないと思われる設定がある。
そんな欠点もありますが、なんと言ってもこの作品はダイナミックな
ストーリー展開と抜群の描写力で読者をぐいぐい引き込みます。
特に終盤の盛り上げ方は見事。
良く出来た映画や劇画を見ているようです。
この作品は第42回江戸川乱歩賞の最終候補作に残ったが、
実在の宗教団体の起こした事件を背景にしている事や、
設定の強引さから、結局受賞するのは他の作品となりました。
受賞した作品は、良く言えばそつの無い、悪く言えば凡庸な作品であり、
小説としては明らかにこの作品の方が勢いがあり面白かったです。
ちょっと詰め込みすぎの印象あり。
犯人の一人称神様視点にも違和感を感じる。
登場人物にも、通常だったら有り得ないと思われる設定がある。
そんな欠点もありますが、なんと言ってもこの作品はダイナミックな
ストーリー展開と抜群の描写力で読者をぐいぐい引き込みます。
特に終盤の盛り上げ方は見事。
良く出来た映画や劇画を見ているようです。
この作品は第42回江戸川乱歩賞の最終候補作に残ったが、
実在の宗教団体の起こした事件を背景にしている事や、
設定の強引さから、結局受賞するのは他の作品となりました。
受賞した作品は、良く言えばそつの無い、悪く言えば凡庸な作品であり、
小説としては明らかにこの作品の方が勢いがあり面白かったです。



