本作は、現代日本の様々な市井の人々を切り取り、
その心理と意外性のあるストーリーとを印象深く展開した短編集です。
とりわけ私が好きなのは、「小料理屋物」2編です。
まず、町のエアポケットのような温かみのある小料理屋「みの吉」に通うようになって、
いつの間にか心のささくれが癒され、
かけがえのない時間を過ごすようになった男性の心理描写と、
意外な結末とが印象的な冒頭の「かくし味」。
次に、辛い過去を乗り越え、
ようやく娘のような店「茜」の経営も安定するようになった女将と、
そこを訪れる個性的な客人たち、
そして、思わぬところから女将に劇的な「福」が舞い込むという中盤の「福の神」です。
不発弾 (講談社文庫)
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面白い。今回は短編集だったのだが、どの話も個性をしっかりと主張している。私個人では、テレビ局の男が這い上がっていく様を描いた『幽霊』が一番よかった。ごく平凡な男のごく平凡な家庭にあるごく平凡な出来事を描いた『不発弾』もなかなか考えさせられるものが多かった。みんな間違ったことはしていないはずなのに、何故こんなにも人間は袋小路にはまってしまうのだろう、と本当に不思議に思う。
自分に置き換えて読める小説だった。6つの短編からなるが、小説の中の絵空事ではなくて、事実回りで起こりそうなことが題材で本当に考えさせられました。ミドルエイジクライシスがリアルに書かれている一冊だと思います。誰にでも思い当たる事が出来るものがきっとあるはずです。もうだめだと思った、熟年の人たちに読んで自分を励ましてもらいたいと思う本です。私のお勧めは「福の神」と「幽霊」です。両親の世代を理解できないと悩む十代にも読んで欲しいです。



