全くの偶然から、この著者の本を購入した。
2002年に直木賞を受賞していながらも、恥ずかしながらこの著者の名前は知らなかった。
最初からぐいぐいと引き込まれ、いっきに読み終えた。
面白かった。
藤沢周平さんの全著書を読破しかけているので、時代小説の新しいお気に入り作家を見つけることが出来たのは嬉しい限りだ。
この本は、
「武家社会、商人社会、武家もの&市井もの、親子愛&兄弟愛&夫婦愛、片親、子育て、義理と人情、老いてなおの恋、仇討ち、商売敵き、太刀捌き」と
時代小説の全ての要素を1つの小説にした誠に“贅沢な1冊”。
しかしながら、ストーリー仕立てがしっかりしており最後まで緊張感のある内容。
「満足な1冊」であった。
■ ストーリー:
刀を捨て紅やの主人となった武士の次男坊。父親を殺され、兄を自害させられ、10年放浪の後、仇を討つ。商人になりながらも根底の侍魂を捨てられずにいる主人、妻はいつか武士に戻ってしまうのではないかと不安を感じ生活にすれ違いが生じ始める。一方、商いも同業の潰し合い、食うか食われるかの醜い世界で奮闘。更にそこに、討つべき人間が突然現れ行李に長年しまいこんだ小太刀を取り出して家を脱け出すと・・・
霧の橋 (講談社文庫)
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オープニングで序章が語られ、本編はその17年後から始まる。
武士を捨てた主人公は商家の婿となっており、業界の裏問題に挑む、というストーリーなのだが、
最終章に来て、序章で語られた過去には、実は隠された事実があったことが明らかになる。
本編における商家の話は当時の“経済問題”にメスを入れるものであり、なかなかこういう作品にはお目にかかれないので、とても読み応えがあった。
まさにプロフェッショナルの筆致。
アマゾンショップのお勧め作品として初めて乙川さんの作品に触れたのだが、他の作品もぜひ読ませていただこうと思う。
武士を捨てた主人公は商家の婿となっており、業界の裏問題に挑む、というストーリーなのだが、
最終章に来て、序章で語られた過去には、実は隠された事実があったことが明らかになる。
本編における商家の話は当時の“経済問題”にメスを入れるものであり、なかなかこういう作品にはお目にかかれないので、とても読み応えがあった。
まさにプロフェッショナルの筆致。
アマゾンショップのお勧め作品として初めて乙川さんの作品に触れたのだが、他の作品もぜひ読ませていただこうと思う。
時代小説大賞受賞は伊達ではない。短編の連作ながら、一つ一つ張り詰めた緊張感もあり、感動的なラストへなだれ込む。
何故、題が「霧の橋」なのか。わかった時には目が赤くなっています。
新幹線の車内でラスト読んでいて、隣に知らない人が座っていても泣いてしまいました。
夫婦の情愛が溢れる作品。読み終わったあと、過去一度も買った事のなかった出張土産を、女房に買って帰って不審がられたのは内緒です。
短編のモチーフをいくつも連結させたような傑作時代長編。冒頭の、女性をかばって盟友に斬られるエピソードだけで、一編の鮮やかな短編になりうる。その後は一転して、紅を扱う小店と小間物屋の大店との経済戦略的死闘が繰り広げられる。忠心をつくす奉公人もいれば、あっさり金になびく出入りの仲買人もいる。夫婦の信頼とふとした行き違いも丁寧に描写される。
ラストにプロローグと響きあうエピソードで〆たあたり、隙の無い構成である。乙川の描く主人公には、清潔感がある。今まで読んだ5冊の全てが傑作だった。
ラストにプロローグと響きあうエピソードで〆たあたり、隙の無い構成である。乙川の描く主人公には、清潔感がある。今まで読んだ5冊の全てが傑作だった。
時代物でありながら、時代物と感じさせない作品だった。そこに描かれていることは、今の時代の出来事となんら変わるところがないように思う。大企業と中小企業との闘い、そして愛する家族を守るため奮闘する男たち。作者はていねに細やかに人の心を描いている。だから読み手は共感を覚えるのかもしれない。夫婦の心のすれ違い。しかし惣兵衛が過去の自分と完全に決別したときに、二人は新たな一歩を踏み出す。霧の橋の向こうに見えたものは妻の姿だけでなく、これから二人で歩む人生だったのではないだろうか。



