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夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) (講談社文庫)
麻耶 雄嵩
価格: ¥980 (税込)

文庫
出版社: 講談社
発売日: 1998/08
ISBN: 4062638916
おすすめ度:3.5
Amazon ランキング: 197583位
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メルカルトル鮎がまさしく救世主だった作品って書くと怒られるんだろうなぁ
京極夏彦の「姑獲鳥の夏」(文庫)の解説に作品名があったので、興味が沸いて蒸発しないうちに呼んでみました。
まぁ、話の大筋はあらすじなり他レビューなりで既に充分に書かれていることなので省略させていただきますが、

先ず(何よりも先に)、絵画に基づく(または纏わり付く)思想だの哲学だの宗教的理念だの信仰心だの、やや新古典というか近代美術というかを基盤に引いてる美学だの、他に地盤の崩れに眩暈を起こさせるような(素晴らしい)設定(ここではややアンフェアなどんでん返しと解釈されているのだろうか)に浪漫を感じない方、一切興味の無い方(頭の柔らかい本格狂いを除いて)には激しくお勧め致しません、ね。

いや、私はあまりにもがたがたにお堅いがちがちの本格よりはこうした道理の有る、夢の有る、希望は無いが、なんかこう、幻想美に配慮を見せた型破りなミステリの方が文学的にはもちろん芸術的にも価値が高いと・・・あぁ、それは関係ないと言われるのか。にしても、この素晴らしい著作がなぜか所々悲しくなるような評価を下されているのは、読者が読む作品を選び間違えたとしか・・・。
 これは、そう、少し読者を選ぶ作品かもしれません。ミステリ好きだからと軽々とした気分で読むには向かないかもしれません。少なくなくとも、万人の口には合わない、少し特殊な味がするために、所々低い評価を・・・。(でも、わからないかなぁ、手抜きだなんて有るけど、この考え抜かれた設定が。問題作的名作にふさわしいプロットが・・・視えないかなぁ)

ま、こうした雰囲気に浪漫を感じる方々、眩暈が好きな方々等は楽しめるでしょう。とにかくプロットは絶品。

えーっと、ちょっとラストにやや不満があるような方々へ、
 最後に訳がわからないとか謎が解けてないとかおっしゃる方々、何を申されるか。メルカルトル鮎が最後にちゃんと全てを解明してくれたじゃありませんか。確かに活字として細部が印字されているわけではありませんが、私はあの一言で全ての不可解、浮遊感、眩暈、なんかこう、ぐるぐるとする落ち着かない吐き気にも似た不安定感が、まぁ、多少の「えっ?!何これどういうこと?!」という叫びの後に、するすると消えて行きましたよ。これは決して不条理なエンディングではありません。有る意味では本格と呼んでも差し支えない。
 読者にも推理力と称してもとくに害の無い想像力は必要ですよ。鮎の言葉から連想される可能性を考えてみることですね。全ての結果が書き記してある考えなくても解る書物が現代の当たり前となっているようですが、そんなこと。甘やかされていますよ。(古典文学を読む人にはこの感覚がきっとわかる)。確かに、疲れているときに読めば癒しどころが不快感や頭痛に見舞われるのかもしれませんが、まぁ、これは読む人の気心次第として。
私は中盤から結末までを夜中二時辺りに読んでいたのですが(こう、暗鬱とした気心で)最後にメルカルトルさんが来てくれなかったら(そこを読まずに寝ていたら)気色悪い悪夢に魘されていたことは確実。彼のおかげで安心して眠れました。裏表紙の言葉は嘘じゃない。

追伸的なもの。ー完読の三日後、「烏有に帰す」という言葉を知りました。あぁ、成る程って思いました。(ドイツ語でヌルは英語のゼロなので予想できた筈だったりもしたのですが。登場人物に対して残酷な作者だなという感想を抱きました。
 続編らしき「痾」を読んだらこの感想は変わるのかしらん)

以上
ホントは星ゼロ
驚愕の名作!?これがミステリー?謎解きやトリックはどこに?
ページに蔓延しているのは、作者の知識を自慢しているらしい小難しい芸術論や宗教論であり、読み物としての面白さは微塵もなく、疲れだけが残った。
読んでいても残りのページを見ただけで憂鬱になり、楽しむどころか、途中からはノルマのような気がしてならなかった。
孤島にある怪しげな館。雰囲気に期待して買ったものの、綾辻行人氏の「館シリーズ」や霧越邸殺人事件の方が圧倒的に楽しめる。久しぶりに買って損をした気分が味わえた。
700ページで900円。それだけの価値があったのだろうか?
登場人物の名前をとっても現実味がなく、まったく感情移入もできなかった。
普通につまらない
はい、普通につまりませんでした。時間返して欲しいです。発表された当時はそれなりに問題作だったのかも知れませんが、時間の篩には耐えられませんね。世の中にはもっと面白い本が沢山ありますし、人生は有限です。90年代に本格ミステリが陥った袋小路を知りたい人が、資料的に読むくらいしか価値がないでしょう。
1000枚書いて
 1993年に講談社ノベルズとして出たものの文庫化。
 著者の長編第二作。すごい厚さで、読んでいて手が疲れた。
 物語としてはそこそこ面白い。しかし、ミステリとしては納得がいかない。色々と説明不足なところが残っている。1000枚以上も書いておいて、この手抜き・隙間は何なんだと不思議に思うくらい。アンチ・ミステリ的な結末にもっていくにしても、もう少し構成をしっかりつくっておいてくれないと。
 うっかり次作の『痾』を先に読んでしまったのも痛かった。麻耶雄嵩の作品は、きちんと発表順に読むことをお勧めする。
非合理的だが魅力的な作品
発表当時から毀誉褒貶が激しかった作品。20年前に起こった、美少女を中心とした仲間内で起こる孤島での殺人事件。女性上司に命じられて、その孤島へ調査に行く記者。だが、20年前の事件の謎を解くどころか新たな謎に包まれ、記者は現実と幻想の狭間に立たされる...。

夏に雪が降るのはご愛嬌としても、本作には細かい矛盾点が多すぎる。本作のキャッチ・コピーに「最後のメルカトル鮎の一言で全てが変わる」とあるが、トンデモナイ。到底全てを説明しているとは思えなかった。何故、初めて記者が島を訪れた時、デジャブを感じなければならなかったのかetc....。それにも関わらず、本作には読者を惹きつける不思議な魅力がある。迷宮を彷徨いたいミステリ・ファンにはお勧めの一作。



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