かなり異彩を放ったミステリです。
ストーリーは伝説的人気の天才歌手のROMMYが音楽スタジオで殺害され、その犯人をカメラマンの男が突き止めるというのもの。話自体は珍しいものじゃないけど、構成がとても凝っています。
登場人物は多く、話の展開に合わせて一人一人の視点で今の状況や心情を描かれています。
挿絵の代わりに実際に撮った写真があったり、ROMMYの顔のメイクデザインのデッサンなどとても生々しくて不気味な雰囲気にしてくれる。
また、この殺人事件と同時進行でROMMYの過去や変容を絡ませていて、それがひとつずつ明らかになるごとにこの事件の本当に重要な部分とそこから見えてくる意味を知ったときに初めてこのミステリのおもしろさが感じられると思います。
それとこの本のテーマに「ジェンダー」というのがあり社会派ミステリという印象も受けた。
歌野晶午のゾクリとした作風は健在ですが、読後感はなぜか寂しくとてもしんみりしてしまった。
Rommy―越境者の夢 (講談社文庫)
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