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カシオペアの丘で(上)
重松 清
価格: ¥1,575 (税込)

単行本
出版社: 講談社
発売日: 2007/05/31
ISBN: 4062140020
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 108275位
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

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ちょっときれい事過ぎるような・・・あとコテコテ過ぎ。
閉演間近の炭鉱跡地の遊園地を舞台に描かれる、
幼馴染の男女4名(プラスアルファ)の物語。
いつもながらの重松節は、破綻なく読める。

しかし・・・ちょっときれい事過ぎないか。
ドロドロの話を、美化し過ぎていないか。
また、登場人物のキャラ設定や状況描写など見ていると、
まさかドラマ化とか意識していないだろうなと、勘繰ってしまう。
最近、巷にはその手の「不純な」作品が多いので・・・。

マンネリな感じも否めない。まあ、これは作者のスタイルだろうが。
さらに、全体的にくどい。特に終わり方。
もっとさりげない方が良い。
これじゃコテコテ過ぎる。

上巻は濃い仕上がり
 幼女殺人事件、しかも犯人は妻と関係を持っていた…この衝撃の事件が発端となり、多角的に物語がスタートする。さまざまな要素が絡み合い、作風に新鮮みがある。
 そこに、作者おなじみのテーマ・手遅れの癌患者が詰め込まれ、上巻は魅力的に展開する。
綺麗な悲劇
約30年振りに再会した親友たち。それぞれが歩んだ時間の中にも消えることなく残っていた喜びと公開の記憶。綺麗な悲劇を描く著者が持ち味の馴染みやすい描写で読者を引き込んでいく。ただ、あまりにも悲劇の主人公が登場し過ぎるのも大作を薄味にしてしまうように感じる。
死と再生、罪と贖罪
 この作者の作品を読み通したのは初めてである。評価が高い作家だが、やはり設定などは非常に上手い。印象としては小説と言うより、映像作品を観たような読後感を持った。ひとつには、「少年少女時代からの夢・友情」「主人公たちの持った罪・運命」という設定、そしてそこに合ったキャラクターを先に決めて、そこから行間を埋めていったという印象があるからであろう。

 悪く言えば、ラストの贖罪・許しのカタルシスというゴールに行くために強引にストーリーが進んでいくような部分もある(上巻の最初の方は自然な感じがあるが、途中からスピードアップすると細かい部分のあらが見えてしまう)。たぶんこれがテレビドラマやコミックであれば非常に良くできた作品なのであろうが…。

 とは言え、上下巻読み通してみると、よくできた娯楽作品(全体にはつらい話だが)なのは間違いない。関東の人間には北海道という場所はロマンチックな響きを持つと思うので(これで舞台が南国だと悲劇度が変わってくるだろう。寒さや雪=全てをリセットするイメージがいい)、日常を離れてフィクションの世界に浸りたい人にはおすすめ。そしてもどった時には家族や友情を再認識するかもしれない。
 
生きている証
中学校の倫理の先生が言っていた言葉を思い出した。
「人は日一日と、死に向かって生きる」

早いか遅いかの違いで必ず死ぬのに、それでも何かを成し遂げようとしたり、手に入れようとしたり、がんばろうとしたり、愛したり、なぜそんな風に必死になったりするのだろうか。
永遠に考えてもわからないくせに、考えても考えなくても、成し遂げても手に入れても愛しても、どうせみんな等しくいつかは死ぬのに、じゃあ明日にでもすべてを投げ出して生きることを終わらせちゃおうか、なんて多くの人は考えない。
それは「生きる」事の最後のゴールや答えや結末は、必ず直面する「死」では決してありえないのだ、ということの、それぞれの命を懸けた証明なのかもしれない。
死に向かって生きている、と言った先生の言葉は本当でも、私だって命を懸けて毎日を使って証明しよう。
自分だけの人生を、暖かな仲間とともに。



カシオペアの丘で(下)
重松 清
価格: ¥1,575 (税込)

単行本
出版社: 講談社
発売日: 2007/05/31
ISBN: 4062140039
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 54146位
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

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下巻は間延びしちゃった感じ
 下巻のテーマは、微妙にずれた感じだった。衝撃事件の渦中の夫婦や、星を見上げた四人組の物語は、それなりに魅力的な設定だった。それが、癌で死ぬ人を中心に描かれると退屈だ。申し訳ないが、若くして癌で死ぬなんて、ごくありふれたことである。交通事故死と同じ程度である。当事者としては重大事だが、今時、癌で死ぬという事柄が小説の中心事項として描かれるのはつらい。
 当たり前のことを、正面切って感動的に盛り上げようとされると、押しつけがましい感じがする。
幼なじみ4人組の人生いろいろ
北海道の炭鉱町で育った、幼なじみ4人組のお話。
4人組とは言え、うち1人は完全な脇役扱いで、あまり語られないわりに、4人が接触する周辺人物のことまで、実にボリュームたっぷりに書き込まれている。
この4人の仲良し時代が突然終わりを告げたらしいのだが、その理由は長く明かされない。
4人のうち3人は東京で再会し、うち2人は特別な関係にあったらしいことを匂わせるのだが、これも長らく明かされない。

以上のことで、非常に下巻まで引っ張られるのだが、それが明らかになっても、あまり衝撃がなかったというのが正直なところ。
作りこみ過ぎというか、引っ張り過ぎというか…。
ただ、主要人物の一人の闘病ものとして、引き込まれてしまったのも事実である。
死を前に自分を、過去を、血縁者を許す…その過程はなかなか説得力あるものであった。

ただ、この物語は内側から「うわ〜っ」と感情が込み上げるような、そういうのを狙って書かれているなという気がすごくするのである。
その作為性が見え見えなせいで、泣けなかったのだろうか。
乗り切れなかった感が、非常に大きい。
息絶えた星の光も輝きだけ空に残る
シュン、トシ、ユウちゃん、ミッチョの幼馴染の4人。
下巻では静かに命を終えようとするシュンの姿が胸にしみます。
「命」という言葉を、星空になぞらえて語るミッチョの言葉。
小学校4年生の息子を残し、死んでいく父、シュンが息子の哲生に語る言葉にはとても感動しました。
小説だからいいけど、実際にわが身に起こったら、
こんな冷静でなんていられない。
こうして「命を見つめること」って、きっと避けられない時がくるんだろうな・・・。
幼き日の輝き
ずっと涙がとまらないまま読み終えました。単に病にかかった男の話だったら、こんなに泣けなかったと思う。主人公含め、幼なじみ4人が星空の下に約束を交わしてからその後の、それぞれの人生を丹念に描いているからこそ深みがあるんです。

その中で倉田千太郎が関わった過去の炭鉱事件でのエピソードが最も重要な物語の核となり、運命はトシと母親の〈倉田〉との因縁、シュンとミッチョの秘められた過去、北都観音での過去への清算…とメリーゴーラウンドの如く回り続ける。

私はそんな中で雄司の存在に一番癒された。おちゃらけているようで実は自分を道化にしながら周囲の暗くなりがちな雰囲気を和らげるユウちゃんの優しい思いやりが最高に胸に響いた。
下巻の〈東京〉の章で“俺が語る。北都に帰ってきたアークトゥールスと、東京に帰ってきたスピカの物語を、俺が語る…”では、アポロ12号にまつわる話を含め彼特有のユーモラスな語り口に笑ったり泣かせられた。

誰かを憎んだり、自らの罪を背負って過去と断絶してきた者たちの贖罪の物語を読んで、人の弱さや強さを愛おしく見つめる作者の優しい視点が伝わってくる。空から降る雪を、雪は星だよ、わたしたちの街に降りそそぐ白いものは星なんだよ、という言葉に心から涙が出ました。大人のための上質な夢物語ですね。絶対にハンカチをお忘れなく!
こめたい思いが強すぎて
「家庭」や「学校」というわりと小さなテリトリーの中でドラマを作り上げることの多い重松氏、本書はちょっと毛色が違うものでした。
「友情」「家族」「過疎」「許し」、それらのことが、盛りだくさんに入っているからです。
4人の友人、彼らを取り巻く人々、みんなを丁寧に描き、うま〜く絡めて行くのですが、なぜか焦点がぼやけた感じがしてなりません。
私的には「その日のまえに」のほうがずっと好きです。



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