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カシオペアの丘で(上)
重松 清
価格: ¥1,575 (税込)

単行本
出版社: 講談社
発売日: 2007/05/31
ISBN: 4062140020
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 48441位
発送可能時期: 在庫あり。

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衝撃と感動の入り乱れ
毎日当たり前のように手を合わせていた家族所有の観音様が、
じつは親が事業する会社で産業発展の犠牲になった家族を弔うために
建てられたものだと知った衝撃。
犠牲者のひとりは親友の父だった。
その親友も子供の頃のちょっとした賭け(遊び)で、いまだに車椅子生活。
その親友の妻になったのは、みんなが憧れた幼馴染の女性であり、
じつは親友には内緒で付き合っていた元恋人だった。

おすすめの本というべきかどうか迷ったほど、重い内容です。

親友だからこそ思う、申しわけないという思い(自分をゆるしたくない思い)と、
親友だからこそ、罪は自分にあるから相手を責めない(だから謝るな!という思い)
肉親だからこそ、どうやってもゆるせない(ゆるしたくない)思いと、
肉親だからこそ、ゆるせなくても理解しなくてはいけない(認めなくてはならない)思い
が交錯する。

それぞれの立場や思いがわかるからこそ、読むほどに痛すぎて、
心の悲鳴が聞こえてきそうな内容ですが、
未来へ進む勇気と、一番嫌な過去と対決する勇気を目の当たりにすると、
あふれ出ていた衝撃の涙が、一気に強い感動へと変わります。

ぜったいに途中でやめないでください、心に残る1冊になるはずです。
ちょっと出来過ぎ
ブランケットキャットを読んで、軽妙な語り口に感心したので本書も読んでみた。

残念。愛と友情と人間の許しをひたすら語るのだが、設定がお粗末なので言葉を
上滑りに感じてしまった。深刻に真剣に語るほどに、「それは言いすぎでしょう」
と思ってしまう。

個人的には吉村昭などが好きなのだが、深刻な言葉を語らずとも淡々と事実を
積み上げていくことによって、真実に迫れるのではないか。

もしそうでなかったら失礼だが、この作品はテレビのドラマにでもするつもりで
書いたのかとも感じた。それだったらうなずけるものがある。

この作家にあった、軽妙なタッチの短編などが読んでみたい。
最初の違和感が最後まで尾をひいてしまいました
幼なじみ4人が、逆らえない運命(生まれる前に起こった不幸な事故、恋愛、病気など)に翻弄されながらも、切れることのないお互いの絆を描いているお話。
と聞くと、涙なくしては読めないお話なのでしょうが、残念ながら私は最初に感じた違和感が最後まで尾をひき、読みきるのに非常に苦心しました。
そもそも「外科手術ができないまでに手遅れなガン」に気づいた段階で、全く自覚症状なしというのは、現実にはあるとしても非常に少ないケース。
確かに検診で初めて進行ガンに気づく場合もあるようですが、その場合、「何となく体調悪かったけどガンとは思わなかった」というケースがほとんどであり、シュンがガン患者にしては比較的若い世代であることを差し引いても、症状がないばかりか、ジョギングまでしているのはちょっと考えられません。
このお話の場合、あっけらかんと自分の病気を語るシュンに、ユウと川原さんが怒るシーンがあり、その場面のためには最初は自覚症状なしの設定がよかったのでしょうが、「このシーンのためにはこういう設定が必要だったんだな」と思わせること自体、作り物くささを感じさせる証拠。
ガンという病が非常に増え、実際、ガンと闘われた人々(それも比較的若い世代)の実話が多く書籍化されている今、フィクションでガン患者を登場させるのなら、よっぽどリアルに描かないと逆効果だと思います。
確かにこの本のテーマであろう「他人、自分を許すこと」がわりと力を入れて描かれていたり、ユウの独自の人生論など、面白いと感じた部分もありましたが、違和感のため効果が薄れてしまったように思いました。
ちょっときれい事過ぎるような・・・あとコテコテ過ぎ。
閉演間近の炭鉱跡地の遊園地を舞台に描かれる、
幼馴染の男女4名(プラスアルファ)の物語。
いつもながらの重松節は、破綻なく読める。

しかし・・・ちょっときれい事過ぎないか。
ドロドロの話を、美化し過ぎていないか。
また、登場人物のキャラ設定や状況描写など見ていると、
まさかドラマ化とか意識していないだろうなと、勘繰ってしまう。
最近、巷にはその手の「不純な」作品が多いので・・・。

マンネリな感じも否めない。まあ、これは作者のスタイルだろうが。
さらに、全体的にくどい。特に終わり方。
もっとさりげない方が良い。
これじゃコテコテ過ぎる。

上巻は濃い仕上がり
 幼女殺人事件、しかも犯人は妻と関係を持っていた…この衝撃の事件が発端となり、多角的に物語がスタートする。さまざまな要素が絡み合い、作風に新鮮みがある。
 そこに、作者おなじみのテーマ・手遅れの癌患者が詰め込まれ、上巻は魅力的に展開する。



カシオペアの丘で(下)
重松 清
価格: ¥1,575 (税込)

単行本
出版社: 講談社
発売日: 2007/05/31
ISBN: 4062140039
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 41419位
発送可能時期: 在庫あり。

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描写力不足です
この本のテーマであろう「他人、自分を許すこと」は、力を入れて描かれていたように思います。シュンの心の動きも、締めくくり方も、せまってくるものがありました。
ただしこの本の場合、隅から隅まで全くリアリティーがないとは言いませんが、「美しく描いて読者を感動させよう」という意図が丸見えだと感じさせてしまう部分が多々あり、きちんと描いていた部分をかすめてしまうほどの違和感を感じていました。

また、ミッチョのトシに対する夫婦としての愛情の描き方がちょっと不足しているように思いました。
シュンの方は、過去のミッチョとの恋愛に関し、後ろめたさはあってもこの下巻で妻:恵理への夫としての愛情がきちんと伝わってきたのに対し、ミッチョの方は、トシにシュンとの過去の恋愛を告白したのだからシュンへの想いは引きずっていないはずですし、「トシと一緒にやっていく」といったニュアンスの言葉が数々登場したのにトシへの妻としての想いがイマイチ伝わってきませんでした。
そもそも上巻の最後にシュンと再会したミッチョが、頭の中で言葉をかける部分でシュンを「あなた」と呼んでいた所に大きくひっかかったのが頭から離れなかったのでしょう。
つまりかつては恋愛関係にあった二人の再会を、美しく描きたかったのでしょうし、それ自体、間違いだとは決して言いませんが、「いまもシュンへの想いを引きずっているのでは?」と思わせるのは明らかな描写力不足。
せっかくいい所があっても、所々で白けさせる、そんな印象が最後まで離れなかった小説でした。
下巻は間延びしちゃった感じ
 下巻のテーマは、微妙にずれた感じだった。衝撃事件の渦中の夫婦や、星を見上げた四人組の物語は、それなりに魅力的な設定だった。それが、癌で死ぬ人を中心に描かれると退屈だ。申し訳ないが、若くして癌で死ぬなんて、ごくありふれたことである。交通事故死と同じ程度である。当事者としては重大事だが、今時、癌で死ぬという事柄が小説の中心事項として描かれるのはつらい。
 当たり前のことを、正面切って感動的に盛り上げようとされると、押しつけがましい感じがする。
幼なじみ4人組の人生いろいろ
北海道の炭鉱町で育った、幼なじみ4人組のお話。
4人組とは言え、うち1人は完全な脇役扱いで、あまり語られないわりに、4人が接触する周辺人物のことまで、実にボリュームたっぷりに書き込まれている。
この4人の仲良し時代が突然終わりを告げたらしいのだが、その理由は長く明かされない。
4人のうち3人は東京で再会し、うち2人は特別な関係にあったらしいことを匂わせるのだが、これも長らく明かされない。

以上のことで、非常に下巻まで引っ張られるのだが、それが明らかになっても、あまり衝撃がなかったというのが正直なところ。
作りこみ過ぎというか、引っ張り過ぎというか…。
ただ、主要人物の一人の闘病ものとして、引き込まれてしまったのも事実である。
死を前に自分を、過去を、血縁者を許す…その過程はなかなか説得力あるものであった。

ただ、この物語は内側から「うわ〜っ」と感情が込み上げるような、そういうのを狙って書かれているなという気がすごくするのである。
その作為性が見え見えなせいで、泣けなかったのだろうか。
乗り切れなかった感が、非常に大きい。
息絶えた星の光も輝きだけ空に残る
シュン、トシ、ユウちゃん、ミッチョの幼馴染の4人。
下巻では静かに命を終えようとするシュンの姿が胸にしみます。
「命」という言葉を、星空になぞらえて語るミッチョの言葉。
小学校4年生の息子を残し、死んでいく父、シュンが息子の哲生に語る言葉にはとても感動しました。
小説だからいいけど、実際にわが身に起こったら、
こんな冷静でなんていられない。
こうして「命を見つめること」って、きっと避けられない時がくるんだろうな・・・。
幼き日の輝き
ずっと涙がとまらないまま読み終えました。単に病にかかった男の話だったら、こんなに泣けなかったと思う。主人公含め、幼なじみ4人が星空の下に約束を交わしてからその後の、それぞれの人生を丹念に描いているからこそ深みがあるんです。

その中で倉田千太郎が関わった過去の炭鉱事件でのエピソードが最も重要な物語の核となり、運命はトシと母親の〈倉田〉との因縁、シュンとミッチョの秘められた過去、北都観音での過去への清算…とメリーゴーラウンドの如く回り続ける。

私はそんな中で雄司の存在に一番癒された。おちゃらけているようで実は自分を道化にしながら周囲の暗くなりがちな雰囲気を和らげるユウちゃんの優しい思いやりが最高に胸に響いた。
下巻の〈東京〉の章で“俺が語る。北都に帰ってきたアークトゥールスと、東京に帰ってきたスピカの物語を、俺が語る…”では、アポロ12号にまつわる話を含め彼特有のユーモラスな語り口に笑ったり泣かせられた。

誰かを憎んだり、自らの罪を背負って過去と断絶してきた者たちの贖罪の物語を読んで、人の弱さや強さを愛おしく見つめる作者の優しい視点が伝わってくる。空から降る雪を、雪は星だよ、わたしたちの街に降りそそぐ白いものは星なんだよ、という言葉に心から涙が出ました。大人のための上質な夢物語ですね。絶対にハンカチをお忘れなく!



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