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しずかな日々
椰月 美智子
価格: ¥1,470 (税込)

単行本
出版社: 講談社
発売日: 2006/10/03
ISBN: 4062135876
おすすめ度:4.0
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淡々とした、かけがえのない日々の記憶
主人公は少学5年生の「ぼく」。母子家庭に育ち、引っ込み思案で劣等感につぶされそうなひ弱な男の子・・・。

そんな「ぼく」の学校生活が淡々と描かれます。大きな事件と言えば、引越し位かな。新学期早々に出来た元気な友達に引っ張られ、少しづつ広がって行く「ぼく」の世界。母親と離れて引っ越していく事になる「おじいさん」の家。その「おじいさん」と「家」との出会いが彼を大きく、たくましく変えていきます。

古く大きなおじいさんの家・・・二人きりの生活・・・。

板張りの床、広い縁側・・・美味しい漬物・・・。やがてその場に集う子供達・・・。ひたすら描かれるそんな情景がやがて・・・かけがえのない物になっていく・・・。

子供から少年への扉が開かれていく様を見るようですね。

ちょっと地味過ぎて好みに合わないという人もいるでしょうが、素直で純真だった?(笑)自分の子供時代を思い返したいというあなたなら、きっと惹かれると思います。
あの頃のキラキラした思い出
とてもいい小説だった。主人公は五年生のさえない男の子。野球に誘ってくれた押野という友達によって、これまで知らなかった広い世界へと、心身を徐々に慣らしていく様子が素敵です。おじいさんとの生活、友達との出会いによって、少年は大人になっていくのですが、その影では不穏な出来事も実は起こっています。最後の一行が印象的な小説です。読んでみて本当に良かったと思えます。野間児童文芸賞、坪田譲治文学賞のダブル受賞作品。
湘南ダディは読みました。
青年になった主人公が過ぎ去った少年の日々、正確には小学5年の一夏を思い出すという内容の作品です。勿論、後に主人公が人生にターニングポイントがあるとすればその頃だったと述懐するようにそれらの日々は少年にとってはなかなか劇的だったわけですが、この作者はあえて「しずかな日々」と題しました。そうです、誰にとってもどんな出来事があったにせよ、記憶に甦ってくる日々はしずかで穏やかなのです。
 何をやらしても不器用で引っ込み思案の枝田少年は小学5年になって押野君と友達になります。押野君は対照的にいつも周囲に笑いを振りまき活発な少年、二人とも幼い時に父親を亡くした母子家庭です。押野君が三丁目の空き地の野球に誘ってくれたのがきっかけになりました。枝田君は野球はまったくへたくそなのですが、心優しい三丁目の空き地の仲間を得て次第に皆とうちとけていきます。そんな時です、お母さんが自分で仕事を始めるので引越しをすると言い出します。転校しなければなりません。枝田少年はすっかり落ち込んでしまうのですが、担任の椎野先生が名案を思いついてくれます。こうしてお母さんの父親、つまり枝田くんとおじいさんとの二人だけの生活が始まります。
 築100年は経つという大きな田舎屋敷に一人で暮しているこのおじいさんが良い味をだしています。愛想がいいわけではないのですが、大人になりかけている枝田少年を優しく見守ってくれます。この年の夏休みは楽しかったでしょう。押野君も何日も泊まりにきて一緒に風呂に入ったり手料理を作りあったり、秘密のロボット工場の探検にいったりします。
これらの日々を今は田舎屋敷に一人で住んでいる枝田青年が思い出しています。3丁目の空き地にはマンションが建ってしまった。そして「人生は劇的ではない。ぼくはこれからも生きていく。」と結んでこの不思議にしずかな小説は終わります。読み終わると穏やかな安堵感を覚える作品です。
5年生のきらめきか失われた人生か
この作品の主人公は現在中年で独身の男性で,どうした訳か小5の時の出来事を克明に思い出して書いている.友人を始めて持ち友達と遊ぶ楽しさに目覚めて少年は生れ変る.ところが事情あって母子家庭を解消して近所にすむおじいさんの広い庭つきの家に引き取られる.おじいさんとは相性がよく,友達連中もおじいさんの歓迎を受けて,夏休みは輝かしい時期と化す.ここまでは申し分ない少年生活の生き生きした描写で,読む方も生き生きして来る.これで終っていれば多少の曖昧さ(おじいさんはどこで働いているのか,母さんは本当は何になってしまったのか)はあるにせよ,まさか主人公の将来に絶望する心配はなかった筈である.ところが最後の数ページで,始めに書いた主人公のどうしようもない現実が知らされる.妻もいない子供もいないまま,住み着いたおじいさんの家から出て行けない.母さんのお蔭で自分の人生を棒に振ったらしい.ではあのきらめきの夏は何だったのか.すっかり元気を失わせてくれるではないか.賛成できない.
都会(?)にいても、田舎にいるような雰囲気
人に馴染めなかった小学五年生の少年が、新しい友達のおかげで小さな社会への一歩を踏み出すところからはじまります。せっかく楽しい日々を過ごしだしたのに、母の都合で転校の危機。しかし、先生のおかげで近くに住むおじいさんの家で暮らせることになりました。

無愛想だけど、優しくて漬物をつけるのがうまくいおじいさんが素敵です。主人公の友達が「俺の田舎のイメージって、えだいち(主人公)のじいさんの家だよ」と言うように、静かで穏やかで、だけど充実した懐かしい雰囲気をもつおじいさんの家。

昔を懐かしむ人はもちろん、田舎に憧れる人やじんわりと胸にくる小説が読みたい人におすすめです。



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