ひとつ前に戻る

高橋たか子の日記
高橋 たか子
価格: ¥1,995 (税込)

単行本
出版社: 講談社
発売日: 2005/05/10
ISBN: 4062127806
おすすめ度:3.0
Amazon ランキング: 424479位
発送可能時期: 通常4~6日以内に発送

amazonの詳細ページへ
Une vie est un libre.
高橋たか子氏のよき読者かどうか疑わしいが追いかけて18年くらい経つでしょうか。この書は出版後ほどなく購入したのですが1年ほど置いたままにしてありました。たか子さんへの「繋がり」が意識に上ってこなかったのでしょう。ところがある人との出会いを契機として突如「開かれ」たのです。
「西洋人の心性と日本人のそれ」「個としての存在の強度」。彼女の厳しい言説が心に突き刺さり痛いほど解る。日本人に欠如する「倫理観としての自己責任の問題」などイラク日本人人質事件をテーマに具体的。「ペルソナ不在の日本人」等、手厳しい。
それでも希望が見出せるのはフランスの特質である「明晰なまなざし」についての記述と、「amitie」についての言及。ジュリアン・グリーンやクローデルらと「繋がって」いること。淋しくないのですね、「amitie」を感じることが出来るから、そんな関係性に意識的であるから。
最も感銘を受けたのは2004年6月29日の日記。「correspondance」と「affinite」についての記述。「親和力は無意識界における血縁」「交感だから、故など知らず起こる。」
ある人との出会いの「布置現象」がおなじことのように感じられるから。この時期にこの書が私に「開かれた」布置…。大切な一冊となりました。「Une vie est un libre.」
これがあの「高橋たか子」なのか……
 近年氏の著作を立て続けに読んできたが、今回は「日記」。思い入れのある作家の「日記」(=頭の中)を覗くというのは、人を厳粛な気持ちにさせる。
 さて、二日かけて読了したが、はっきり言って失望したと言わざるを得ない。フランス(およびヨーロッパ諸国)と日本との国民性・文化の対比、時事問題への言及、昨今の文学に対する苦言、いずれをとっても高橋氏の発言とは思えぬ浅はかなものばかりであった。この文章からは、ただ西洋を讃美し、こうと思い込んだら決して譲らず、新しいものを知ろうともせずに否定する(以前は、努めて知ろうとしなくても直観的に本質に到達できる特異な能力が感じられたが、今回のは見当はずれの言説ばかり)頑固な老人の姿しか浮かび上がってこなかった。
 私はこれまで高橋作品の忠実な読者をもって自任してきたつもりである。著書の八割近く(翻訳やいわゆる“霊的著作”も含む)は読んでいる。氏の人間観・宗教観に私はかなりの影響を受けたと思う。事実、私の読書暦において『荒野』が第一か第二を占めているほどである。
 初期作品の露悪性、フランス文化への傾倒、神秘霊性への接近、ある種の人が読めば鼻白むであろうこれらの事柄にはしかし力強い説得力があった。たとえば、夫・高橋和巳に関する二冊の回想録、『私の通った路』など、その歯に衣着せぬ言説にある人は反感を覚えたようだが、氏の論理は私を納得させるに足るものであった。しかし、今回の『日記』は違う。本当に、高橋氏はどうかしてしまったのだろうかと首を傾げざるを得ない。
 高橋作品愛読者の方々はどのように感じていらっしゃるのだろうか?私が勝手なビジョンを作り上げていただけなのだろうか?



本のみちしるべ Powered by Amazon Web Service
PR: FS研究室