万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)
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何十年も前にこんな凄い小説が書かれていたことに驚きですね。全編にわたって張りつめた緊張感。大江健三郎のなかではこれと『叫び声』が断トツに好き。
読む人間を選ぶ作品である.
もちろん漢字が読めれば読破は誰でも出来る.
しかしこの作品を理解するのはなかなか困難である.
まぁ,まず読んでみてください.
内容についてのレビューは皆様が徹底的に書いているので
差し控えさせていただくとして,
(少なくとも戦後の)日本文学で世界に問う事ができる
数少ない作品の一つである事は確かです.
ただ,書かれた時代のせいか,非黄色人種コンプレックスというか,
その点が読んでて引っかかった感じはしました.
もちろん漢字が読めれば読破は誰でも出来る.
しかしこの作品を理解するのはなかなか困難である.
まぁ,まず読んでみてください.
内容についてのレビューは皆様が徹底的に書いているので
差し控えさせていただくとして,
(少なくとも戦後の)日本文学で世界に問う事ができる
数少ない作品の一つである事は確かです.
ただ,書かれた時代のせいか,非黄色人種コンプレックスというか,
その点が読んでて引っかかった感じはしました.
主人公が閉ざされた場所へ行き物語が語られ、主人公がそこから出て行くところで物語りは終わる。その形は「芽むしり仔撃ち」と共通しているものがあるが「芽むしり仔撃ち」が救いようの無い悲劇の形で終わるのに対して、この作品はある種の「希望」が描かれて終わる。
9年の時を経て大江氏の中で何が変化したのであろうか。大江氏は自らの「個人的な体験」を通して、人間存在の奥底に希望の種も見出したのだと私は信じたい。主人公は最終的に、残酷で不誠実で矮小な自分自身と向き合うことになるが、それでもその中でなんとか明日への一歩を踏み出していく。人はどうしようもない状況に陥った時、この作品の結末のような「希望」を信じることで、ぎりぎりのところで救われるかもしれない。そんな読後感に浸れる得がたい作品であると思う。
9年の時を経て大江氏の中で何が変化したのであろうか。大江氏は自らの「個人的な体験」を通して、人間存在の奥底に希望の種も見出したのだと私は信じたい。主人公は最終的に、残酷で不誠実で矮小な自分自身と向き合うことになるが、それでもその中でなんとか明日への一歩を踏み出していく。人はどうしようもない状況に陥った時、この作品の結末のような「希望」を信じることで、ぎりぎりのところで救われるかもしれない。そんな読後感に浸れる得がたい作品であると思う。
「個人的な体験」を読んだ後で、続けて本書を読んだ。
本書は、頭に異常がある障害児が生まれてからの話としてスタートするため、
「個人的な体験」の続編であるかの様な印象を受けるが、
登場人物の名前や家族構成等の設定は微妙に違っている。
しかし、主人公に大江氏自身を投影している事に違いはない。
物語の舞台は主人公の故郷である四国の山村へ飛び、百年前の一揆をなぞる様に、
弟の鷹四を中心に村人達の暴動が起こり、その過程で封印されていた先祖たちの真実や、
鷹四と死んだ妹の衝撃的なエピソードなどが明らかになっていく。
本書はプロットが緻密で、読み応えのある傑作である事は間違いない。
だが、暴動に直接関わることなく批判的に傍観している主人公の姿は、
当時の過激化する学生運動とは距離を置いて見ていた大江氏自身と重なるとは思うのだが
「個人的な体験」と比べると、ちょっと作り話っぽくなり過ぎて、
主人公に大江氏自身を投影する事に無理が生じているようにも感じた。
でも、独特な読みにくい文体にも大分慣れたので、他の作品も読んでみたいと思う。
本書は、頭に異常がある障害児が生まれてからの話としてスタートするため、
「個人的な体験」の続編であるかの様な印象を受けるが、
登場人物の名前や家族構成等の設定は微妙に違っている。
しかし、主人公に大江氏自身を投影している事に違いはない。
物語の舞台は主人公の故郷である四国の山村へ飛び、百年前の一揆をなぞる様に、
弟の鷹四を中心に村人達の暴動が起こり、その過程で封印されていた先祖たちの真実や、
鷹四と死んだ妹の衝撃的なエピソードなどが明らかになっていく。
本書はプロットが緻密で、読み応えのある傑作である事は間違いない。
だが、暴動に直接関わることなく批判的に傍観している主人公の姿は、
当時の過激化する学生運動とは距離を置いて見ていた大江氏自身と重なるとは思うのだが
「個人的な体験」と比べると、ちょっと作り話っぽくなり過ぎて、
主人公に大江氏自身を投影する事に無理が生じているようにも感じた。
でも、独特な読みにくい文体にも大分慣れたので、他の作品も読んでみたいと思う。
読み始めた瞬間、この本の中に引き入れられてしまった。独特の文章で書かれた不思議な光景は頭の中に焼き付けられるほどの印象の強さを持っており、難解な文体もさほど苦にならず読み進んでいける、まさに日本文学屈指の名作だと思う。発生した暴動と万延元年の一揆が重ね合わされ、時系列が次第に曖昧になっていく様に感じられるのだが、そんな手法も驚くべき物だと言えるのではないかと思う。とにかくものすごいインパクトである。
心のどこかに暗い影の差している登場人物達の“新生活”を描く作品。弟の一揆の首謀者への憧憬から起こる暴動や、折に触れては語られる生涯を持って生まれた息子の存在など鮮烈な描写には事欠かない。それらも単にイメージをごった煮にしてしまうのではなく、それぞれ関連性を持たせて構成しているようで、本から受ける印象の割にはよく空中分解せずにすんだものだとそちらの方に感心してしまったりした。鮮烈、インパクト、という言葉を先ほどから多用しているが、印象しかのこらない作品ではなく、人物の人間性の描き方もえぐみや重みがあって凄く良かった。
値段に関して言えば、確かに文庫本には割に合わない値段だろうと思うが、単行本を買うつもりで購入すれば別に損にならない内容だと思う。ぜひ読んでもらいたい一冊。
心のどこかに暗い影の差している登場人物達の“新生活”を描く作品。弟の一揆の首謀者への憧憬から起こる暴動や、折に触れては語られる生涯を持って生まれた息子の存在など鮮烈な描写には事欠かない。それらも単にイメージをごった煮にしてしまうのではなく、それぞれ関連性を持たせて構成しているようで、本から受ける印象の割にはよく空中分解せずにすんだものだとそちらの方に感心してしまったりした。鮮烈、インパクト、という言葉を先ほどから多用しているが、印象しかのこらない作品ではなく、人物の人間性の描き方もえぐみや重みがあって凄く良かった。
値段に関して言えば、確かに文庫本には割に合わない値段だろうと思うが、単行本を買うつもりで購入すれば別に損にならない内容だと思う。ぜひ読んでもらいたい一冊。



