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乳房 (講談社文庫)
伊集院 静
価格: ¥420 (税込)

文庫
出版社: 講談社
発売日: 1993/09
ISBN: 4061855174
おすすめ度:3.5
Amazon ランキング: 404955位
発送可能時期: 在庫あり。

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評価の分かれるところ
私が感情移入できる人物はやはりいないものの、短編として切り取ったシーンにそれなりの意味を見出せましたし、伝えたいことが言葉の意味からではなく、伝わってくることに作品の質を感じました。


中でも「残塁」と「桃の宵橋」は好きです。特に「桃の宵橋」の娘、母、父の関係ととある仕事の関係が、非常に面白かったです。


ただ、「桃の宵橋」を除く短編の主人公(男、さえない、泣き言多い、都合よ過ぎる、流されやすい)がちょっと。また、そこに作者の影や、佇まいみたいなものまで感じ取らせるので(表題作「乳房」は有名な奥様の事を連想させずにはいられないでしょうし、ある意味チープな同情を呼ぶ話しに、また自分に都合良い話しなってしまっていて何だか悲しい)そこらへんをどう考えるかで評価が分かれるのでしょうけれど、私個人の感想は、伊集院さんの個人的な歴史を無いものとして考えても、どうしても自分を割合棚に上げての哀愁を感じさせる、つまり少し自分に酔ってしまった感じがしてしまうところが少し気になりました。もう少し上手く隠すことで伝わる何かがあったのではないか?と。また、主人公を女にして「桃の宵橋」が書けるなら、もっとできたのでは?と思わずにはいられなかったので。


それでも、読んで良かった短編集です。大きな出来事の後に残る、言葉に出来ない何かを思い出して見たい方、少し弱ってる男性にオススメ致します。
娘の誕生日
 5つの短編集。主人公は学生時代に野球をやっており、女性に「自分のことが分かってもらえる」と思わせる様な中年の男です。いろんなことがあり、そしてこれからもいろんなことが起きるだろうなあと感じさせる中年のための青春小説です。
ふと立ち止まって人生を振り返る人たち
病気の妻を看病する夫の姿を描いた表題作をはじめ、旧友と会って昔を思い出し、心穏やかでなくなる男を書いた「残塁」、離婚したため長いこと会っていなかった娘と、高校受験合格をきっかけに再会する父を描いた「クレープ」などを収録。

人生も半ば過ぎた男が、ふと立ち止まって人生を振り返ると、そこには過ちも正しかったこともいろいろ詰まっている。そんな姿を暖かい視線で、でも時には厳しくも切り取って見せる、ちょっとウェットな味わいの作品集です。




受け月 (講談社文庫)
伊集院 静
価格: ¥580 (税込)

文庫
出版社: 講談社
発売日: 2007/03/15
ISBN: 406275665X
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 254051位
発送可能時期: 在庫あり。

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変わる価値観と普遍
『受け月』です。
直木賞受賞作です。受賞した時「こんな上手い作家がまだいたのか」と言っていた選考委員がいたような気がします。わざとらしーなー、とも思ったのですが、読んでみると、確かに上手いです。まだいたのか、は別として。

短編集です。いずれの作品も、野球が題材として盛り込まれています。
でも野球がメインではなく、野球を通して人間関係、心理のあやを描いています。これが上手いですね。心にしみます。
大人の小説です。

ただし、ちょっと注意が必要なのが、書かれた当時と、もうとっくに21世紀になって随分経った時期とでは、野球に対する価値観も変わってきていると思われることです。
かつては野球は日本における花形スポーツで、ネコもシャクシも野球でした。そしてまあ体育会系の価値観が支配的でした。タバコを吸って、ぽいと投げ捨てる大人が格好いいと見えていました。
現在の価値観で読むと、その辺にちょっと違和感を覚えるのですが、あくまでも野球やタバコは小道具ですからね。
メインは人間関係と心理描写。これはあるていど普遍的なものだと思いますので。



機関車先生 (講談社文庫)
伊集院 静
価格: ¥470 (税込)

文庫
出版社: 講談社
発売日: 1997/06
ISBN: 4062635372
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 35230位
発送可能時期: 在庫あり。

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物語としては最高、小説としては物足りない
久々にほろりとさせられる、とても清々しい良書でした。

機関車先生を軸に、大人同士の関係、子ども同士の関係、大人と子どもの関係、様々な人間模様が繰り広げられます。口が利けない「機関車先生」と息がぴったりの校長先生、見事なまでに新任教師の心を代弁していきます。本当に強くあることはどういうことか、それを、子どもから誤解を受けることを恐れることなく体現する機関車先生を、校長先生が時間をかけながら見事に子どもに伝えてゆきます。名コンビです。

現実の教育環境でも、障害を介さずとも、このように二人三脚で子ども達に接していかれる余裕があれば素晴らしいのに、と思います。人は誰でも、補いあって更に大いなる存在になっていくものであり、大人1人が50人近い数の子どもの担当をするなんて無理ですものね。

ただ、後半、何をこんなに書き急いでいるの?と思われた程、余りにも沢山のことが省かれてしまった印象が拭えません。機関車先生が、自分は一体いつまでこの島にいられるのだろう、と内省するシーンを最後に、機関車先生の心の内は一切無視されています。「参観日」の時に使った紙芝居の話の出所、機関車先生の出生、内面の心理、まだまだ筆を加える部分が沢山あっただろうに…、小説としてもっと奥が深まっただろうに…と残念でなりません。省略の美はここでは通用しませんでした。
少し欠けているが
全体のページ数が少ない為、内容に欠点がいくつかある。
個人的には、230ページではなく260ページほどあれば内容も充実していたのではないかと思う。

しかし、とてもいい作品である。日本の教育が忘れていたものが書かれていると感じた。教育関係者にはぜひおすすめしたい作品である。
ちょっぴりセンチメンタル
言葉を発することが出来ない先生が瀬戸内に浮かぶ小さな島「葉名島」にやってきた。言葉が話せない分、子供達と心で話をする。言葉がない分だけ、子供達に伝わる速度は遅いかもしれない。しかし、言葉がない分、先生の体を張った態度で表されるため、子供達に伝わるものは非常に大きい。島の子供達の純粋な心と、機関車先生の熱心さとが上手く絡み合って心温まる小説になっています。そして最後はちょっぴりセンチメンタルです。
温かくて、切なくて
美しく自然豊かな島。その中で暮らす人たちの悲喜交々。人々の日常は決してきれいごとばかりではない。悩みもあればいさかいもある。貧しさゆえの悲劇も起こる。それは大人たちばかりの問題ではなく、子供たちの中にもある。「機関車先生」と呼ばれる吉岡誠吾。彼は口がきけないけれど、精一杯のやさしさで子供たちに接する。言葉にしなくても、心から心へと伝わるものがあるのだ。ほのぼのとした思いが伝わってくる、ちょっぴり切ない作品だった。
「宝の持ち腐れ」にしてしまわないように…
 第7回柴田錬三郎賞受賞作品。

 小さな島の小さな小学校へやってきた一人の大きな先生。
 彼は機関車のように大きくて強そうであると共に、口を“きかん”先生だった。
 そのため、“機関車先生”と呼ばれるようになった大きな先生は小さな島の小さな小学校の生徒はもちろんのこと、島の人々とも交流を深めていきます。

 コミュニケーションをするに際して一番多く使うのは言葉だと思います。しかし、機関車先生はその言葉を使うことができません。
 それにもかかわらず、彼は島の人々と徐々に心を通わせていきます。
 私は彼から言葉では表すことのできない何かの大切さを再確認させてもらいました。
 それは、電話、メール、チャット等のコミュニケーション方法が高度に発達した現代社会においては忘れさられようとしているものかもしれません…

 せっかく授かった素晴らしい能力を「宝の持ち腐れ」にしてしまわないように、機関車先生から学びたいと私は思いました。

 ソレデハ…




ごろごろ
伊集院 静
価格: ¥1,995 (税込)

単行本
出版社: 講談社
発売日: 2001/03
ISBN: 4062106442
おすすめ度:2.0
Amazon ランキング: 218686位
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   とある海岸に建つ裏さびれた倉庫の管理人をしている「私」のもとに、昔よく麻雀卓を囲んでいた男のことで電話がかかってくる。厄介事が含まれていそうなその電話に、「彼の口から佐久間の名前が出なければ、私は彼に逢いに行かなかった」と電話の主・東に会いに行ってしまう。そこから、主人公の過去から現在への物語が佐久間のことを軸に語られはじめる。
   社会の端で日銭を稼ぎながら生活し、定住することに慣れない「私」。偶然声をかけ合うようになった男たちと定期的に卓を囲むようになり、いつしか男たち―佐久間(サクジ)、木地(キサン)、富永(トミヤス)との間にしっかりとした絆が生まれた…。
 『ごろごろ』に描かれている男たちは、必要以上に他人と関わらない。それぞれの道を生きており、それぞれのあり方を黙認しあっている。大切なのは、卓を囲んでいるということ、そしてその囲み方のバランスがいいということ。やくざな男たちではあるが、彼らに荒々しさはなく、虚勢を張ったりすることもない。それでいて、読み手のなかに眠っている男気を静かに揺さぶり起こす何かが隠されている。
   引き締まった文章で構成され、淡々と話が展開されていくサクジとの物語。心情描写は多くないが、確固たる情感が状況描写を通じて描き出される。季節感あふれる情景描写も、この情感を盛り上げるのに一役買っていることは間違いない。繊細な描写に支えられて浮かび上がってくる悲しみ。これこそが本作品の魅力なのではないだろうか。(土田みき)

三人麻雀のテーマは良かったものの期待ハズレの作品
 昭和40年代、ベトナム特需に沸く横浜を舞台に、三人麻雀に明け暮れる、主人公のガン、サクジ、トミヤス、キサンの4人の男達の流転と寂寥感を描いた物語。ガンがサクジこと佐久間を探す今と、かつて三人麻雀に明け暮れた過去を交互に描き、それぞれの男達を描いているのですが、折角三人麻雀を題材としたのであれば、麻雀場面をもっと描いてほしかったですし、この場面が少なかったのは伊集院静の作品らしくない感じました。男達の寂寥感は巧く表現されていて、テーマは良かったものの、勝負ごとの瞬間の場面の描写が殆どなく、期待ハズレに終わったのは残念です。



海峡―海峡幼年篇 (新潮文庫)
伊集院 静
価格: ¥700 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 2002/06
ISBN: 4101196311
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 168760位
発送可能時期: 在庫あり。

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特別ではないが、決して平坦ではない少年の成長物語
シリーズ全編読みました。一言で言えば、ある少年の成長物語です。下村湖人の次郎物語、井上靖のしろばんばと共通するものがあります。一人の少年が見たこと、感じたこと、喜怒哀楽、どうしても理解できないこと、したくないこと…。いろんな経験を経て、自分の未来を見据える。大きなクライマックスや、大どんでん返しはありません。ですがそれ以上の物語がここにあります。
なんだかとても好きになりました
伊集院静さんの自伝的小説、三部作です。
大まかに言えば、一部が小学生。二部が中学生。三部が大学生となっています。
お話は伊集院さんの出身地でもある山口県防府市の小さな湾が舞台となっています。
時代はまだ戦争の傷跡が色濃く残る時代。
主人公の高木英雄は、朝鮮から海を渡り日本にやって来て一代で事業を大きくした父を持つ一家の長男として生まれる。
家には常に50人程の人々が住み、皆、父の斉二郎を慕い盛り立て英雄にも優しくしてくれる。
父はほとんど家にはいず、厳しく大きな人。
一方母は誰にでも分け隔て無く優しく、英雄にも優しく時には凛とした厳しさを持つ。
そんな英雄の周りには、朝鮮からやってきて祖国に帰って行く人達や、政府の移民政策で厳しい土地に行き体を壊して帰ってきた人達など、様々な思いや体験をした人がいる。
そして原爆の後遺症で死んでいく人など、死も常に付きまとう。
そんな中成長してゆく英雄は、やがて皆が跡継ぎとして期待されることに疑問を感じ始める・・・

と、めちゃくちゃ大まかなあらすじです。
話の中には性に対する話や恋の話もあったり、同級生との別れや死があったり、とてもヘビーな人生だけど、その時々の人々のふれあいが心情豊かに描かれていて読みながら涙したり笑ったりしてしまいました。

私が好きな場面は第二部「春雷」の中の場面。
中学を卒業する前に英雄とその仲間達と、彼らのマドンナ的存在である東京からきた積極的な少女・美智子と温泉へ行った時に、男子皆で告白し一人ずつキスしてもらうところです。
美智子はなんだか皆のお姉さんみたいな存在だな〜と思いました。
最初はハイカラでなんちゅー女や・・・と思ったんですけど(^^;)
美智子は中学を卒業すると東京へ帰ってしまうし、英雄は高校へ行くことになるけど、外へ働きに出てゆく仲間もいたりして、たぶんこんなに皆で楽しく過ごすのは最後になるだろうというところにも、寂しいのだけど楽しい日々があって、何ともいえない青春の香りがたまりませんでした。
今の時代では味わえないだろう別れが、とっても切なく感じました。

その後もいろんな出会いと別れがあり、英雄も将来の事を考えながら成長してゆくわけですが、そうしてどんな人生を送っていくのか、もしかしたらとこかで野たれ死んでしまうのかもしれない、そんな英雄の生き方に共感した物語でした。

伊集院さんの小説を読んだのは始めてです。
本屋で平積みしていたので・・・。
私の伊集院さんの印象といえば、夏目雅子さんの旦那、篠ひろ子さんの旦那ってぐらいでした(^_^;)
英雄の成長が楽しみ♪
幼年時代の英雄の心の動きや、それを取り巻く人達の心情などがとてもよく描かれている。英雄は日常生活の中の出会いや別れを通して、人間の喜びや悲しみをつかみとっていく。そして、だんだんと精神的に成長していく。その過程がとても面白い。これから英雄がどういう人生を歩んでいくのか、目が離せない。
二十歳前後の人に読んで欲しい
私は今二十一歳です。伊集院さんが週刊文春に連載していたエッセイ「二日酔い主義」の最終回に、この『海峡』『春雷』『岬へ』は、伊集院さん自身が、「読んでもらいたいと、初めて思った小説」と書かれていたのを読んで、読みました。
もう三冊通して泣いてばかりでした。

主人公・英雄が九歳のとき、かわいがってくれたリンさんが映画館の二階から墜ちて死ぬ、という場面から物語は始まる。瀬戸内海に面する山口の小さな町で英雄が体験する毎日が生き生きと、そして淡々と描かれている。海運業、商業を広く営む厳格な父、その父を頼り、慕って父の下で働き、そして寝食共にする人々で、英雄は大家族のような家で育つ。家や町の人々の出来事、広島の原爆が英雄の周りの人々に残した傷、友人や教師、恋。これらに触れて、英雄は成長していく。
大学へ進学し、英雄は町を出て上京する。そこには家や父への葛藤、自分は何をしたいのか、何をすべきなのか、そんな大きな迷いがあった。

今、大学を卒業して将来を考えなければいけない時期にある私には、この英雄の迷いが共感を持って理解できた。同じ境遇にある同年代の方々は多かれ少なかれ抱えている問題であろう。英雄に共感しながら話を読み進めると、英雄が最後に到達するところには、自分にも何かヒントがあるような気がした。そこに答えはないのだが、人が、心の中に持つべき大切なものを与えられた。
話の中には、弟や友の死、たくさんの様々な人との関わり合いも描かれる。普段は身近にあって気づかない人の温かさもきっと感じることができるだろう。

成長を感じました。
もともと少年小説と呼ばれるジャンルが好きな私ですが、何気なく取ったこの本で見事に引き込まれました。

芯のある少年英雄は、その土地で力のある親元で何不自由なく育つが、人の気持ちを汲み取る優しさを持ち合わせた子供です。坊ちゃまと呼ばれ、小さい時から何でも手に入ってしまったら、わがままになりがちですが、英雄を取り囲む周りの人々との交流で英雄は優しく強い人間に成長していきます。

青春編『岬へ』では弟との別れによって母親の強さをまざまざと見せ付けられることになります。私は3作通してこの場面が一番胸にきます。親の子を思う気持ちの強さは、男親と女親とでは表現こそ違えどもどちらも同じ思いなのですね。




春雷―海峡・少年篇 (新潮文庫)
伊集院 静
価格: ¥820 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 2002/07
ISBN: 410119632X
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 100724位
発送可能時期: 在庫あり。

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英雄の心の成長が面白い♪
主人公英雄の心の動きがていねいに描かれていて、好感が持てる。ちょっと背伸びしてみたい多感な時期の経験は何ものにも替え難い。少年はこうして大人になっていくのだとあらためて思った。



岬へ 海峡・青春篇 (新潮文庫)
伊集院 静
価格: ¥860 (税込)

文庫
出版社: 新潮社
発売日: 2002/08
ISBN: 4101196338
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 76939位
発送可能時期: 一時的に在庫切れですが、商品が入荷次第配送します。配送予定日がわかり次第Eメールにてお知らせします。商品の代金は発送時に請求いたします。

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成長する主人公が頼もしくもある
 読んでいて、泣くことが多かったです。そんなに、凝った文体ではないのですが、中年になると涙もろくなるのでしょう。

 後ろの方の、主人公が岬から日本海を観る場面は、主人公の感動が動的な感覚で、その風景描写から伝わってきます。こういうのを行間から立ち上る〜と言うのでしょう。

 しかし、長い分量です。

 三田誠広さんが、仰有ってた、文学として書いて面白い(含蓄の有る。書き手によって色々異なる)テーマ(違ってたらご容赦を…)として、家業を継ぐか、継がないで、親と決裂する、とかというテーマも含まれていて、それが主軸です。

 その上に何層にも別のテーマが描かれています。

 人間は、何の為に生きるのか…。身近な人の死をどう受け入れていくのか…。

 そして、後半では、人種差別的な主観で主人公を観ていた(意識はしないが、心の片隅に有った)その意識を越えて、主人公に恋心を打ち明ける幼なじみの女性。そういう、登場人物がどういう人なのかを始めからは明かさない、段々、おいおい読者に訴えてくる書き方です。

 主人公の青年は、硬派です。作者の伊集院さんの投影が含まれているとすれば、相当なハードボイルドな一面が有りますね。強い者にでも、果敢に立ち向かっていく喧嘩の場面などもあります。

 人間は、身近な人を次々に失っていく定めなのだ、という、その定めから来る喪失感や哀しみに、どう折り合いをつけていくのか…、ということが、おそらくこの本の一番のテーマではないか、と思います。
 


人生に対する教訓が・・・
人はどんなことがあっても逃げてはいけない。生きていかなければならない。英雄は人とのふれあいの中で、確実に何かをつかみ取り、新たな1歩を踏み出していく。決して忘れてはならないもの、それは英雄に対するさまざまな人の思いだ。その思いを無にすることなく歩んでほしい。人は人に支えられて生きているのだから。



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