中国工作員により捕らえられ、獄死してミイラにされたパンチョンラマ十世が復活するところから、物語は始まる。
信じ難い事だが、チベットと周辺の宗教的背景を想像すると、あながち非現実的ではないという気すらする。
この、復活したラマは、高僧とは思えないくらい、振る舞いが俗っぽい。
物語の舞台はチベットだが、ラマが中国共産党の近年の歴史に、実名を使って深く言及する下りが、いくつかある。
ここで語られるラマの言葉は、いちいちなるほどと思う。
そして、いったんはインド亡命を目指したラマは、チベットを駆けめぐる。
駆けめぐるのは、ラマの平和への祈りだけではない。
煩悩までもが駆けめぐるのだ。
ラマをマスコミが追い、政治が動く。
物語は、この地域が抱える諸問題に、大きな疑問を投げかける。
何より、復活ラマの行動が痛快だ。
転生 (講談社ノベルス)
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