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スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)
辻村 深月
価格: ¥893 (税込)

新書
出版社: 講談社
発売日: 2007/01/12
ISBN: 4061825062
おすすめ度:3.5
Amazon ランキング: 10842位
発送可能時期: 在庫あり。

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あらゆる物語のテーマは結局愛だよね
通勤時間にのみ本を読み、帰宅後は、ほとんど本を手に取らなかった最近の生活の中で、
この「スロウハイツ」は帰宅後も手放せず、結局、睡眠時間を削って読み終えた。
辻村作品は登場人物たちに愛着を持たせてくれる。
私に、彼女たちとできるだけ長く一緒に過ごしたい、彼女たちの幸せを見届けたい、
そんなふうに思わせてくれる。

読み終えた後、あまりの幸福感に泣けてしょうがなかった。
徹底的なハッピーエンド。できすぎの感じがしないでもない結末。
でも、そこから伝わってくる「幸せ」があまりにも温かくて、
短い間に大好きな存在になった彼女たちの幸せが嬉しくて、本当に泣けた。
空想上の産物にすぎない彼らにそこまで肩入れするのもどうなんだ、
と冷静に自分を眺めつつ、でもそこまでいとしく思わせてくれる作品と
出会えたことが嬉しくなる、そんな話だった。

上巻では1章ずつ「スロウハイツ」の住民の日常を追いかける。
彼らが何を望んでいるのか、何を目指しているのか、何が手に入らずに
もがいているのか、青春小説のような群像劇だ。
しかし、下巻に入り、上巻で散りばめられていた何気ない思い出話や
日常がすべて伏線だったことを思い知らされる。
それらが伏線だったことにすら気付かなかった数々の思い出話が
一気に回収され、あるべきところにあてはめられていく様子は実に爽快で
読み終えた後に、また最初から読み始めたくなる。

物語のテーマ、そして作者の想いは登場人物によるラスト近くの
言葉に集約されているのだと思う。
「まあ、なんていうか。あらゆる物語のテーマは結局愛だよね。」
そんなに好みではない。
 ミステリーを期待していたのが間違いだったんですが、個人的にはあまり好きではないと思いました。確かにいつものように(他の作品のように)さくさくと読めたんですが、あいにく、ページをめくる時間すらもったいない!!というほどではなかったです。
 
 若手創作者、もしくはその卵たちの同居生活。
 辻村さんの他の作品に比べて事件性が低く、日常生活が主なのでいつものように楽しめなかったのかもしれません。
 
 ただはっとさせられるというか、ぐッとくるせりふは多々ありましたね。

 登場人物のように何か書いている、描いている、作っている、もしくはそれを夢にしている人が読んだら、「そうそう!」と思う点がたくさんあるんじゃないかな。

 環は最初あんまり好きじゃなかったけど、読んでいくうちに好きになりましたね。他の人たちも。
 でも、他の作品ほどじゃなかった。

 ミステリー風の謎解きも、びっくりさせられたけど、『冷たい校舎の時は止まる』みたいな驚きはなかったし。
 
 作者の創作への心構えというか考え方というか、そんなものが透けて(いい意味で)見える作品じゃないかなぁという気がしました。
変な感覚
話自体は面白く読めたし、一部の登場人物は非常に魅力的に描かれていて
読み物としてはそう悪いものではないのかもしれないが、作品全体に漂う
斜に構えたというか、スカしたような雰囲気がどうも鼻について素直に楽しめなかった。

自分には合わなかったというだけかもしれないが、なんだか微妙でもどかしい読後感。
好きです
読みはじめからぐんぐん引き込まれるというよりは、人物を知っていくうちに自然と読み進められる感じでした。
狩野のポジションが絶妙ですね。いちばん平凡そうだけど、じつは一番謎の人。飄々としています。
実は上巻を読み終えてもあまりぴんとこなかったんですが、下巻でやられちゃいました。伏線が心地よい作家さんですよね。ピタピタ嵌る感じが私は好きでした。
魅力ある個性とは
若いクリエーター(とその卵)達が住むアパートの風景を描いています。

昨日上巻を読み終えたばかりですが、アパートのオーナーで脚本家の環と、彼女に接する漫画家の卵=狩野の態度が興味深かったです。

アパートの住人は(長野正義と森永すみれを除いて)それぞれ恋愛関係ではない、友人同士なのですが、
特に
若い女の子で、夢を実現していて、派手でお洒落。だけれども必ずしも人付き合いが得意では無い「環」
に接する、
若い男の子で、まだ夢を実現していない「狩野」
の態度は見習いたい、と言うとなんだか僕自身が情けなくなってしまうのだけれども、「彼のようでありたい。」と感じるところがありました。

人の欠点を指摘して「もっと、人には優しくしなきゃ」と言うのは簡単だけれども、軋轢を生むことを承知の上で人に厳しく接する人にそんな事を言うのは無粋ですよね。
環の嘘に気づきながらも、その意図を汲んで、咎めず楽しく過ごす(と言う風景が具体的にこの小説に書かれているわけではないですが)狩野。
しかも、それを無自覚に行っている狩野の、ある意味では懐の深さにあこがれを抱いて、上巻を読み終えました。



スロウハイツの神様(下) (講談社ノベルス)
辻村 深月
価格: ¥987 (税込)

新書
出版社: 講談社
発売日: 2007/01/12
ISBN: 4061825127
おすすめ度:4.5
Amazon ランキング: 10873位
発送可能時期: 在庫あり。

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サスペンスのない(ちょっとだけ?)おだやかなミステリー
これまでのところ、辻村さんの小説は2タイプに分類できますが、これは「凍りのくじら」系。謎が提示されて、その謎が結末で明かされるというタイプの正統派ミステリーに対し、こちらは謎だと思ってなかったことのなかに謎が隠されていて、伏線として語られる部分的な事実がラストで新たな光をあてられて、一つに結実するというタイプのミステリー。
特にこの作品は全体的な雰囲気がとてものんびりしていて、おだやかな気持ちで楽しめます。
ラストはいつもどおり、あひる=うさぎ絵のように、語られてきたエピソードが違った文脈におかれその意味を180度変えます。

斎藤孝が自身の教育論を「あこがれへのあこがれ」として語っていますが、この小説はその精神の最良の部分をそのまま物語にしたような内容です。
そしてまた例によって、小説を書くことの意味を小説の中で考えるというメタ小説的な営みが続けられています。
キャラクター主体の物語
キャラクター主体の物語。
この作者の本は、個々のキャラクターがたっていて、
そこが魅力でもあると思うのだが、
この「スロウハイツの神様」は、展開のすべてが、
キャラクターに依存しているといっても過言ではない。

それがいいのか、悪いのかは好きずきだけど、
個人的には、冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)
や名前探しの放課後(上)
のようなミステリー色が強く、テッパンだけど最後まで
ドキドキするようなストーリーが主体の、テイストのほうが好みだ。

すろうはいつ
クリエイターの卵たちが集うアパート、スロウハイツ。
そこの一室には人気作家が住んでいる。トキワ荘のオマージュ作品。

クリエイターゆえに個性、自己主張が強い。
そしてそれゆえぶつかり合う。
挫折、過去、プライド、嫉妬、嘘、他人の成功。
主軸となるのは、さまざまな事件、感情を経て、一所懸命に各人物が成長していく話。

全体的にのんびりした雰囲気。おとぎ話。
物語の始めからいくつか謎が用意されており、
懸命な日常、そして伏線とともに物語は展開していく。
そしてそれが回収されると共に、ドラマチック、感動的に収束する。


これを何小説というかは難しいと思う。
ミステリー小説とも言えるし
恋愛小説の要素も入っているし
青春小説と言ってもおかしくない。
これはそのすべての要素を含んだ、「ミステリー青春おとぎ話」とでも表現するのはどうでしょう。(強引すぎるか…)


この辻村深月という作家は、作品に独特の雰囲気があります。
個人的にはそれが好き嫌いの別れる原因だと思いますが、
この小説はその色がかなり薄いです。一般向けだと思います。
(自分もこの作家さんの他作品はあまり好きではありませんでした。)

ですので、初めて辻村さんの本を読む方に是非おすすめです。
今人に貸したい本ベスト3には入ります。


(下巻の方が感動したので、こちらでレビューします。)
キャラが生きている話
下巻で個々のエピソードが一つに繋がった瞬間、心地よい爽快感がありました。
これも、そうだったのか!あれは、こういうことだったんだ!
と、上下巻を通して読み直して確かめなおしたりして、
読んでいて頬がほころぶような幸せな気持ちになりました。
それぞれ不器用な愛の形が示されていて、なにかが足りない完璧ではない所が、
よりリアルさを感じました。
他作品に出ていたキャラがリンクして登場するのも、そういった仕掛け好き派としては嬉しかったりも。
さらっと浅くしか心情を書かなかったキャラもいるので、もっとそのキャラの内面を知りたかった。
そう思わせる程に、一人一人のキャラがたっている。
いつも辻村さんの話を読む度にそこがすごいと思うし、辻村さんの作品を好きな理由でもあります。
心を癒してくれる作品
作者の言うとおり、おとぎ話のような作品だった。スロウハイツで
繰り広げられる人間模様。そのひとつひとつのエピソードが、心地
よく胸にしみる。環が歩んできた人生とは?なぜスロウハイツに
友人たちを呼び寄せたのか?彼女の心の奥底に秘められた思いとは?
前半のたくさんの伏線が、後半で見事な華に変わってゆく。その
過程を泣きたくなる思いで読んだ。
自分らしく、自分の心に忠実に生きることは難しいと思う。でも、
少しでもそれができたなら、こんなに素敵なことはないだろう。
スロウハイツの住人たちがたまらなく愛しくなる。ラストもほのぼの
としてよかった。疲れた心を癒してくれる、そんな作品だと思う。



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