愛しき者はすべて去りゆく (角川文庫)
デニス レヘイン/Dennis Lehane/鎌田 三平
価格: ¥1,000 (税込) 文庫 出版社: 角川書店 発売日: 2001/09 ISBN: 4042791042 おすすめ度: ![]() Amazon ランキング: 98791位 発送可能時期: 通常4~5日以内に発送 ![]() |
寝室から突然消えたアマンダ・マックリーディの捜索を依頼してきたアマンダの叔母ビアトリスが明かすアマンダの暮らしは、とても幸せとはいえなかった。母親のヘリーンは麻薬とアルコール中毒で定職もない。娘の失踪にも本気で心配するどころか、テレビの取材に娘の無事を訴える自らの演技に夢中になっている始末。
満ち足りた幼年期を送ったとはいえないパトリックは、この事件で傷つくのが怖い。しかし、これまで補佐役に徹していたアンジーがこの事件に異様な執着をみせることで2人の気分がすれ違ったまま依頼を受けることになる。
警察との良好な協力関係によって捜査は進み、アマンダ奪回のための映画ばりのハデなアクションシーンまで物語は一気にのぼりつめる。しかし中盤で、まるでエンストをおこした車のように物語は停滞する。これは単純な幼児誘拐事件ではないらしい。麻薬取引と取引の途中で盗まれた20万ドル、組織の仲間割れなどが絡んで事件の真相がいっこうに見えてこない。見えたと思ったら裏があり、その裏にはさらに裏がある。
複雑な展開が最後まで飽きさせない。これほどの長編を引っ張っておきながら、なんとも後味の悪いエンディングを用意するところなどは、レヘインの真骨頂といったところか。この答えでほんとうによかったのか。パトリックと共に迷い悩みながら、読者はひたすらに続編を待ち望むことになるだろう。(木村朗子)
テーマが重い。重厚な作品です。
パトリック&アンジーの探偵が事件に迫る人気シリーズの第4弾ということで、シリーズを読んでいればもっと面白いのかもしれないけど、前作を読んでいなくてもちゃんとついていける設定になってます。
今回は、幼児失踪事件に挑むパトリック&アンジーの私立探偵。アマンダという4歳の女の子が、突然姿を消したところから話は始まるのですが。。。事件は本当に以外な方向へと進んでいきます。。。
単なる探偵もではなく、人間の本質、善悪の区別、家族の意味等等、社会の暗闇にドンドンと迫っていきます。何が正しくて、何が間違っているのか、それは誰が判断するものなのか。。。きっと誰にも答えはわからないのだろうけれど。。。
著者は、ミスティック・リバーの著者でもあり、社会派ミステリーのカテゴリーになるんでしょうね。軽く読める本ではないですが、考えながら社会を見つめなおしてみたい方?にはおすすめです。
原作を読んだら普通は映画は観なくていいや。。。となるのですが、今回は映画の評判もかなり良いみたいだし、ボストン郊外で育ったベンアフレックがこの良書をどんな風な映画に仕上げたのかすごく興味があるので、映画も楽しみ。
例によって、アリー・マクビールに出てくるような学術的・文化的な街ではない、ボストン南部のダウンタウンの空気と人々を背景に、
二人は誘拐された少女の捜索に着手しますが、その事件がもたらした傷や代償はあまりに大きいものでした…。
相変わらず、読み始めると止まらないLehaneワールドですが、思いが深すぎるが故に、少々煮詰まった感があるのは、
二人の関係と同様でしょうか。
もちろんこの1冊でも楽しめますが、
このシリーズは、二人の関係や過去、二人をとりまく人々のストーリーが大きな役割を果たしているので、
やはり私は、1作目 A Dring Before The War から読んだ方が、より楽しめると思います。
シリーズを読んでいる人も、特にDarkness,Take My Hand は、誰に何が起きたかを思い出しておく程度に読み返しておくといいと思います。
言えない家庭から連れ去られた少女を街を挙げての捜索が開始される。
パトリック&アンジーはいやいやながらもこの事件を引き受けることになる、という
物語の最初はごくごく普通の展開だが、その後のストーリー展開は
読者を心地よく裏切ってくれます。
私はかねてからレヘインのパトリック&アンジーシリーズ(本作は
第四弾)は、第1作から順番に読むべきだとお勧めして来ましたが、
本作を読んで初めて、その必要もそれほどではないなと思いました。
レヘインはちゃんと途中から読んだ最近の読者も
置いてけぼりを食わせないように配慮してくれています。
この探偵小説の良さは、本当はスーパーヒーローなんても
どこにもいない現実社会の中で、ほんの一瞬脚光を浴びてしまうときの
人間の弱い心を誰もが持っていることがよくわかることでしょう。
「ミスティックリバー」でレヘインを知った方にも、本当のレヘインの
良さはパトリック&アンジーシリーズだということを知って欲しいです。
行方不明の子供をとりまく大人たちの人物描写は見事。
また、シリアスなストーリイ進行の中で彼らのセリフがほっと息抜きさせてくれたりするのもありがたい。
子供の虐待は大きな社会問題となっているけれど、それを突きつけられた感じで読み終えたあとも深く心に残るものがあります。
パトリックとアンジーの関係も男女という枠を超えたもののような気がします。
ノンストップサスペンスとして一級のエンタテイメントであり、かつ人間の物語としても読み応えがあります。
ジェフリー・ディーバー以来なかなか読み応えのある作品に出会えなかったのですが、しっかりルヘインファンになりました。



