三篇とも、味わい深い。
「犬を連れた奥さん」と「イオーヌィチ」は、エゴイストな中流階級の男の悲哀を描いていて、ある女性との出会いが、主人公の転換点になる所が、似ている。
「犬を連れた奥さん」の方が、漱石の小説のような、しみじみと情感に溢れる終り方をするのに対して、「イオーヌィチ」の方は、戯画的な描かれ方で終わる。
この二人の主人公の差は、ヒロインとの共感の差と孤独さの差でもある。自分の品を保つ張り合いには、“大切に思える誰かがいるのか”が、大きいのかもしれない、などと考えさせられた。
「可愛い女」は、自分がなくて、周りの誰かに同調する事ばかりな女性の話。
トルストイが、「女性というものが自ら幸福となり、また運命によって結ばれる相手を幸福ならしめんがために到達しうる姿の永遠の典型」として讃えているという解説の文章を読むと、時代の違いを感じさせる。
そういえば、「戦争と平和」のナターシャも、こういう所があったかな…という気がする。
可愛い女(ひと)・犬を連れた奥さん―他一編 (岩波文庫)
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前回読んだのが、1997年3月だから、
36歳でした。
11年ぶりの再会です。
36歳で読んだとき、とくに、「犬を連れた奥さん」の
すごさは、きっと若いとわからんだろうな、と、
感じたものです。
たぶん、前回読んだときより、今のほうが、より、
強く味わえたと思います。
また10年たったら、どんな感じだろう。
いずれにせよ、要は阿部昭のいう「25歳未満禁止」の小説ですね。
こういう話を読んでいて、年齢を重ねるのは、むしろ
すばらしいことだと、本当に思います。
36歳でした。
11年ぶりの再会です。
36歳で読んだとき、とくに、「犬を連れた奥さん」の
すごさは、きっと若いとわからんだろうな、と、
感じたものです。
たぶん、前回読んだときより、今のほうが、より、
強く味わえたと思います。
また10年たったら、どんな感じだろう。
いずれにせよ、要は阿部昭のいう「25歳未満禁止」の小説ですね。
こういう話を読んでいて、年齢を重ねるのは、むしろ
すばらしいことだと、本当に思います。
チェーホフの人間観察の鋭さとあたたかさが感じられる短編です。
人のどうしようもない愚かしさや哀しさを鋭く描き出す
観察者としてのチェーホフの眼差しはたしかに鋭いのだけれど
そこに冷たさは感じない。現実的でありながらも、なんだかどこかやさしい。
「かわいい女」も「犬を連れた奥さん」も、リアルな話で、
読後感は複雑な味わいです。切ないような笑っちゃうような、苦いような甘いような。
その複雑な味わいは、生きているとよく遭遇することで
チェーホフの小説は人生を切り取っているといつも思う。
そしてこの苦いような読後感がなんでだか妙に心地よい。
100年以上前にロシアで書かれた小説だけれど、
「世の中」にはいつも同じ生き辛さがあるのかも、とも思ったりする。
人のどうしようもない愚かしさや哀しさを鋭く描き出す
観察者としてのチェーホフの眼差しはたしかに鋭いのだけれど
そこに冷たさは感じない。現実的でありながらも、なんだかどこかやさしい。
「かわいい女」も「犬を連れた奥さん」も、リアルな話で、
読後感は複雑な味わいです。切ないような笑っちゃうような、苦いような甘いような。
その複雑な味わいは、生きているとよく遭遇することで
チェーホフの小説は人生を切り取っているといつも思う。
そしてこの苦いような読後感がなんでだか妙に心地よい。
100年以上前にロシアで書かれた小説だけれど、
「世の中」にはいつも同じ生き辛さがあるのかも、とも思ったりする。
高校生のころ、この「可愛い女」と「犬をつれた奥さん」は読んだのですが、どこが面白いのやら、まったく不明、という感想で、そのままうっちゃって置いたのですが、それから40年近く、岩波から改めて刊行されたので読み直して見てビックリ、これはもう、はっきり傑作ですね。そして、神西清氏の訳が本当に秀逸。近年の、正確ではあるけれど情感がきわめて薄い流行の訳とは、ダンチに異る世界です。
チェーホフの文章をたどると、人間の心の動きが詳細に眼前に現れ、何ともはや、これは大人にしか分らない小説なのでしょう。短い小説ですが、人生の何ともいえない成り行きを示して、心が重くもなり軽くもなる、といった感情が沸き上がります。
チェーホフの文章をたどると、人間の心の動きが詳細に眼前に現れ、何ともはや、これは大人にしか分らない小説なのでしょう。短い小説ですが、人生の何ともいえない成り行きを示して、心が重くもなり軽くもなる、といった感情が沸き上がります。
チェーホフの人間を観察する才能はずば抜けていて、しかもそれを短編小説という形で表現する力量は圧倒的です。
人間を観察し、細やかに描いていき、最後にストンと落とすような持っていき方は一作一作がウィットに富み、優れています。
ロシアという国はよくわからないと思っている方も多いと思いますし、ロシア文学というと暗くて長くて読みづらいというイメージが付き纏いがちですが、チェーホフの短編、特にこの本に収録されている短編は、ロシア文化を知らなくても十分楽しめると思います。
チェーホフは原文も訳文も読みやすいものが多いですが、この訳は(昭和15年の岩波文庫版を編集部が現代表記に改めたもの)原文のテンポのよさがあり、非常に読みやすいと思います。
人間を観察し、細やかに描いていき、最後にストンと落とすような持っていき方は一作一作がウィットに富み、優れています。
ロシアという国はよくわからないと思っている方も多いと思いますし、ロシア文学というと暗くて長くて読みづらいというイメージが付き纏いがちですが、チェーホフの短編、特にこの本に収録されている短編は、ロシア文化を知らなくても十分楽しめると思います。
チェーホフは原文も訳文も読みやすいものが多いですが、この訳は(昭和15年の岩波文庫版を編集部が現代表記に改めたもの)原文のテンポのよさがあり、非常に読みやすいと思います。



