労働者らの長い闘いはついに敗北に終わり、結局彼らは会社の条件を飮み、犬のような生活を続けることになる。けれど彼らの眼にはブルジョワジーへの怒りの炎が燃えていた。百年以上続いた彼らの降参と諦観の歴史は将来、革命により覆されるのか。未来の勝利のための種はすでに蒔かれた。『芽生え月(ジェルミナール)』の題は著者ゾラの希望をあらわす。
『ジェルミナール』は他の作品では到底味わえない陰鬱な空気や現実社会の厳しさを伝える類まれな傑作であることは疑いない。餓死、落盤による事故死、銃撃、殺人、爆死、生き埋め…悲慘な場面に全編は満ちている。正直に言って、読み終えて幸せな気持ちになるような作品ではない。むしろその逆である。けれどこの作品が長い間、読む者の心をとらえてきたのは語られる物語があまりに真実味を帯びているからに他ならない。
現在のフランスの労働条件は当時よりずっと良くなったろうが、世界各地を見渡せばこの小説で描かれるような光景がきっと存在するはずだ。そのような人々が我々と同じ時を過ごしているという事実はそれだけで衝撃的である。そういった人々を知るためにも、少なくとも本書を読むことは無価値ではないのではないだろうか。
ゾラの最高傑作のみならず世界文学の最高傑作にすらなりかねない作品である。
ジェルミナール 下 岩波文庫 赤 544-9
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