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カンディード 他五篇 (岩波文庫)
ヴォルテール植田 祐次
価格: ¥987 (税込)

文庫
出版社: 岩波書店
発売日: 2005/02
ISBN: 4003251814
おすすめ度:5.0
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黄金郷
『カンディード』です。18世紀フランスの哲学者(啓蒙思想家、というべきかな?)ヴォルテール著の小説です。私が読んだのは旧版ですが、2005年2月に新訳版が出たようです。
何故わざわざ新版を出したのか?名著だからですね。同じ風刺文学でも『ガリヴァー旅行記』あたりと比べると知名度は低いですけど。

内容はコントであり風刺小説であり、奇想天外な冒険譚、ファンタジーであり、青年の成長物語。思想家の著作だから当然かもしれませんが思想小説ともいえるでしょう。「思想とかそういう難しそうなのはちょっと……」という人にとっても、単純に小説として楽しめると思います。
カンディードというのは、本作の主人公、純朴な青年です。
風刺の部分についてはですね、当時のピンポイントなので註釈があってもピンと来ないでしょう。でも風刺されるキャラクターのタイプというのは時代が変わっても大同小異だったりするものですから。
冒険は、荒唐無稽で、だからこそ滑稽ですらあります。そりゃ、コントですから。笑いネタとしては昔の作品なので洗練されているとは言い難いのですが、それでもニヤリとすることができたならば、そこが読者のエルドラドでしょう。
「こ、これが、た、戦い…。」
仏啓蒙思想家の代表作の新訳。これまで旧訳とペンギンクラシックスの英訳版を愛読してきたが、新訳はその理解を一層深めてくれる。
本書に登場する哲学者パングロスは現代でも欧米のメディアなどで、市場経済至上主義と重ねて風刺の対象とされることもある。パゾリーニの映画は置くとしても、トマス・マン『魔の山』や水林章『「カンディード」<戦争>を前にした青年』(みすず書房)、バーンスタイン『キャンディード』(幾つかの版による録音あり)などを、合わせて読んだり聴いたりすると、極めて単純なあらすじの小説でありながら、この作品の射程が現在までも視野に入ってくることに、戦慄する。
きっと得るものがあります。
モームも読書案内で推薦していました。どの話も驚くほどの機知が詰め込まれており一読に値します。よく皮肉といわれますが、作者の考えを代弁する立場の登場人物は決まって自分の身分や教養、容姿に驕ることがありません。私は知識を持たない人に対しても分け隔てなく個人の価値観を尊重する寛容の精神の方が明らかに彼らの精神活動の多くを占めていたと思います。古典だと構えて読む人はきっと彼の柔軟な精神に驚くと思います(古典とはそういうものですが)たとえ彼の精神の片鱗だけにしか触れる事が出来なくても必ず益がある書物です。
悲惨のかたわらを通り過ぎつつ
 2月に、吉村正一郎氏の訳から植田氏の新訳に変更。同時に数編のコントが付される事になりました。
 訳者によるあとがきは、文学的魅力と共に思想史的背景、とりわけライプニッツのオプティミスム批判、当時のヨーロッパを襲った大地震の生々しい事実と本作との関連を指摘しています。そのお陰でこのあとがきは、背景を知る為の格好の入門となっています。

 ヴォルテールの現実に対するまなざしは、現代における我々も参考にすべきものが含まれていると思われます。ライプニッツに対して余りにも皮相的な意見しか言ってないじゃないか、という批判も出来ます。しかし、悲惨の前で「全ては善」と言い切るような形而上学的解決ではなく、現実的解決を求めようとしたヴォルテールの態度は責めきれるものではありません。『カンディード』は、現代の古典たりうるメッセージ性を強く遺しているように思われます。

ドンキホーテにも負けない奇想天外さ
私としては、カンディードの心の変化に注目したいと想いました。
 最初こそ師父のパングロスに教えを乞い、すべては善でできていると信じ込んでいたのに、あるときから突然裏切られ、師父の教えは本当か、と疑いだすのです。
 そんなカンディードが最終的に手にするものとは何か、を考えれば、なんだか本当に皮肉たっぷりと思います。
 カンディードが殺したと想っていた主人である領主がじつは生きていました、との展開についていけなくなったりもしたんですが・・・・・・。
 ドンキホーテに劣らず、滑稽な作品でした。
 ゆえに、評価は高めにしておきます。



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