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闇の奥 (岩波文庫 赤 248-1)
コンラッド中野 好夫
価格: ¥483 (税込)

文庫
出版社: 岩波書店
発売日: 1958/01
ISBN: 4003224817
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 30932位
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『闇の奥』にあるもの
若い頃は、冒険小説だろうと思って読みました。

このレビューを書くために再読して、若い頃とは格段に違う印象をもちました。

『闇の奥』は冒険小説の形式だけれども、著者の分身ともとれるマーロウの行動や、孤独なうちに吐かれるクルツの言動は、アフリカ奥地の環境とあいまって、19世紀に植民地主義だった社会を象徴しているような印象を持ちました。

また、ポーランド生まれの著者が、商船での経験を終え、帰化したイギリスで学んだ英語で著したというところに『闇の奥』の底流にある思想が読み取れると思います。

中野訳が格調や品位があり、深く読み込めば読み込むほどに新訳よりも素晴らしいです。

ジャングルの冷たい闇の中で
温帯の島国で世界を論じてみても、それは所詮、ある狭い地域の中で培われた偏った常識で他人を断罪する自慰行為でしかない。ザックを背負って熱帯の闇の中に分け入り、あの冷たい夜の中に身を置いてみよう。ひと月が過ぎるころ、私たちはもはやそこから抜け出すことができなくなっている自分に気がつくことだろう。
読みにくかった
さすがに速読では、どこからクルツが出てきたのか、船はどこにいるのかわからず。テーマらしきものを把握しただけで終了。
二度目は普通に読んでやっと主語・述語。時系列を理解した。映画を見たから理解しただけで自分の想像力のなさを嘆く、、、情けない。3回目は別の訳闇の奥で読ませていただこう。
開き直ってしまうと初読で理解できない理由はその書き方にもある。これは誰の台詞か? 一般則を無視した括弧、時系列を切る挿話とレトリックにこだわった翻訳にいらいら(ちょっといいすぎたかな)。いまの翻訳ならばこうではなかったのでは。中島氏の西欧人の眼に〈上〉 (岩波文庫)は比較的親切に翻訳されている。
タイトル「闇の奥」という名訳(これは中野氏だったのか?)から惜しい。
原書も翻訳も読むのに一苦労
西欧帝国主義社会で育ちそれなりの理想に燃えてアフリカ奥地に乗り込んできた男クルツの内面で起きたこと、それは未開の土地で既存の価値観や西洋文明が別のそれと出会ったこと、ヨーロッパの中にいたら決して知りえなかったこと・・・そうクルツは闇を知ってしまった。我々もマーロウによって語られる道中の話からそれが何かを窺い知る。しかし、マーロウの言葉にもあるように、愕然とすることにはヨーロッパに帰れば誰もそんなこととは無関係な生活を送っている。婚約者とても、自分につながることしか見えていない。その他のことには関心がないのか・・・。
”The Horror”という言葉の一点に関しては、彼は覚醒していたのだと思う。今まで自分を自分たらしめていたはずの何かが崩れた、或は意味を成さないと知った時の恐怖、闇の存在を知ったものにしかわからない恐怖。彼はこれをちゃんと意識していたのだ。また、クルツはもう二度とそこへ来る前の自分に戻れないことがわかっていたのではないか?だからそこにぎりぎりの時まで居続けたのだと思う。一度何かが崩れてしまったクルツにとり、狂気の中に身を投じてまでも自らを立て直すことが必要だったのだろう。

ところで、私はこれをまず原書で読み次に翻訳(中野好夫訳版)で読んだのだが、どちらも同じ位読むのは大変だった。翻訳を読んでいるときにも原書に戻ったりした。機会があれば再び挑戦してみたい。
Darkness
翻訳が困難と言われている本書だが、中篇作品であるのにその濃度は計り知れない。
帝国主義の問題、人間の心の闇のメタファーなど、一年以上前に読んだ本なのに、
そのトグロを捲くような濃厚さは他の本の追随を許さない。
訳自体は非常に読み辛い感覚を得るが、何度でも読み直して論理的に思考を深めたい一冊。



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