なかなかスゴイ。ここまでくると賞賛の念にも似た気持ちがわいてしまうから困る。ベッキーに引っかかった
人々にはお気の毒だが、そもそも彼女の人間性や手練手管はドビン氏のように物事の善し悪しが
見える眼を持った人ならきちんと見抜くことが出来ているわけであるし、彼女の犠牲者達はある意味
自業自得とも言える。まことにご愁傷様なのである。
頼る人とてない孤児の身のベッキーは人生の荒波を自分で生きていかなくてはならなかったのだから、
彼女の主な獲物である良家の人々が割合ころっと騙されるのもうなずける。なにせ人生経験と意気込みが筋金入りなのだ。
ただ、自分に掛け値なしに優しくしてくれたアミーリアにだけは微妙に悪人になりきれていないのも、
私がついベッキーをひいきしてしまう理由かもしれない。それにしても、初めて読んだ頃は圧倒的にアミーリアを
支持していたのに、私も年を経て人間が丸く(?)なったのか(笑)
この小説は、筋立てはもちろん、当時の英国の風俗や社会背景、階級、独身女性の生き方など、興味深い
事柄が本当にたくさん散りばめられているので、そういった事にも注意しながら読むと何倍も楽しめると思う。
ヴィクトリア朝の社会や文化のおおまかな雰囲気がつかめるのでは。また、随所に現れる挿絵もとても素敵だ。


