ひとつ前に戻る

アガメムノーン (岩波文庫)
アイスキュロスAeschylus久保 正彰
価格: ¥588 (税込)

文庫
出版社: 岩波書店
発売日: 1998/10
ISBN: 4003210417
おすすめ度:4.0
Amazon ランキング: 48259位
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

amazonの詳細ページへ
憎しみの連鎖
「アガメムノーン」は、『オレステース3部作』の第1部。その後に、「コエーポロイ」「エウメニデス」と続く。この3部作を収録した、岩波書店のギリシア悲劇全集第1巻は、すでに品切れ(重版して欲しい)。この文庫版は、その3部作のうちの「アガメムノーン」だけを抜き出したもの。もちろん、これだけでも面白いのだが、3部作映画の1本目しか観せてもらえない感じが・・・。
かつてその3部作を一気に読み、ギリシャ悲劇の面白さを知った。「アガメムノーン」では、トロイア戦争に勝利し凱旋帰国した王アガメムノーンが、妃クリュタイメーストラーとその情夫アイギストスによって殺害されるまでが描かれる。この時、他所に預けられていた息子オレステースが、「コエーポロイ」では父の敵である実母を討ち、「エウメニデス」では逆に復讐の女神たちに追い回される。
そもそも、アガメムノーン殺害よりも何世代も以前から、幾多もの報復の応酬が続いていた。例えば、アガメムノーンの父アトレウスは、その弟テュエステースに(自分の妻を誘惑し、王権を奪おうとしたカドで)怒り、弟の二人の子どもを殺して料理し、素知らぬ顔で弟に食べさせた(こういうのが残酷、古典モノって)。アイギストスは、テュエステースのもう一人の息子であり、彼にとってアガメムノーン殺害は、父や兄たちの復讐なのである(別に、クリュタイメーストラーの単なる不倫相手なのではない)。
そうした憎しみと報復の連鎖が、アガメムノーンの血筋に流れており、結局はオレステースの実母殺害まで行き着く。そして「エウメニデス」では、その憎しみの連鎖がオレステースで断ち切られる経緯が描かれる。
近年、テロだの報復だのというニュースを見るにつけ、このアイスキュロスの物語を思い出す。結局は、いずれの国も、憎しみの連鎖を断ち切れるほど成熟していないということなんだろうけど・・・。
ギリシャ悲劇 入門書
シュリーマンが伝説のトロイ戦争の遺跡を発見し、それまで1000年の間、物語だったギリシャ神話が実際のお話として目の前に迫ります。どこまでノンフィクションか分かりませんが、古典ながら人間の醜さが克明に浮き出ており、ギリシャ神話は人生の勉強になる事でしょう。この悲劇の発端も遡れば、絶世の美女ヘレネを弟のスパルタ王メネラウスらと奪いあったアガメムノン王は恋に破れ、ヘレネはスパルタ王妃となります。しかしヘレネはトロイ王子パリスと浮気しトロイに逃げます。怒ったイタケ全軍でヘレネを昔奪い合った男達、総員でトロイに攻め込みトロイ戦争が始まります。勝った総大将アガメムノンは凱旋しますが后クリュタイムネストラと浮気していた従兄弟の謀略で暗殺されます。クリュタイムネストラが夫を殺すにいたった動機は浮気と世継騒動の他に娘イピゲネイアを女神アルテミスへの生贄(トロイ戦争戦勝を機して)として殺した事を恨んでの事。二人にはまだ娘エレクトラと息子オレステスがいますが父を殺されたエレクトラは弟を連れて逃げ、後、実母クリュタイムネストラと叔父を殺害します。エレクトラは実母殺しという呪いを背負う事になります。オレステスは後にローマを起こします。エレクトラは琥珀(琥珀を布で擦って静電気が出た)という意味で英語の電気(エレクトリック)の語源となりました。という具合にドロドロの人間模様が展開されますので、興味を持たれた方はこの本も一つの資料として色々ギリシャ物を呼んでみて下さい。
『戦争』とは、『運命』とは何か
B.C.458年に上演されたギリシア悲劇である。10年にも及ぶトロイア戦争に勝利して凱旋帰国したアガメムノーン王を王妃クリュタイメーストラーが謀殺する。いわば大戦争の後に起ったクーデターである。しかし前半では戦争でもがき苦しむ民衆の描写が続き、民衆を代表する「コロスの長」も王の「舵取り」を批判して憚らない。王自身も自分を賛美することはない。戦争がいかに人を疲れさせ、狂わせるかを2500年前の文学は既に描いているのである。

そして『運命』とは何か、という哲学的命題も。カッサンドラーという予言者が重要な役割で登場する。彼女がいかに「真実」を予言しようとも、誰も彼女の予言を理解することが出来ない。彼女は自分が政変に巻き込まれて死ぬことを恐れない。自分が死んだあとで初めて「真実」が歴史的に評価される事を知っているからだ。世の中「本当のこと」を語っていることをそのときは理解しないで、後で「あの人は立派だった」と評価することが多くはないか。(太平洋戦争からバブル崩壊まで)古典を読んで自戒したいものだ。

この作品には古代の作とは思えないほど、大筋とは関係ないキラ星のような名言が続く。古典の魅力の一つである。「人の命を、黄金で商う軍神アレースが、槍を交える戦のさなか、秤を吊るし」とか「人間の性というやつは、人がつまずくと、よけいに蹴倒そうと、はやるものだから」とかである。こういう文学が先にあって、シェイクスピア等の名作が生まれたのだと納得した。

読み易さと格調を両立
現代的で、読み易い訳文です。
それでいて格調を失っていないところが偉い。

内容は、トロイアー戦争に勝って凱旋したアルゴス王・アガメムノーンを、王妃・クリュタイメーストラーが殺害するという話。
王妃の動機は、娘が戦争遂行のための生け贄にされた復讐です。
そして復讐や戦争を嘆く言葉が、全編にわたって散りばめられています。

読み易さと格調を両立
現代的で、読み易い訳文です。
それでいて格調を失っていないところが偉い。

内容は、トロイアー戦争に勝って凱旋したアルゴス王・アガメムノーンを、王妃・クリュタイメーストラーが殺害するという話。
王妃の動機は、娘が戦争遂行のための生け贄にされた復讐です。
そして復讐や戦争を嘆く言葉が、全編にわたって散りばめられています。




本のみちしるべ Powered by Amazon Web Service
PR: FS研究室