
無名画工たちの心意気
江戸後期に無名画工たちが独創した「浮世絵」に対して、荷風が徹底的な調査に基づいて論評した極めて面白い書籍である。 現在では江戸時代の権威に裏打ちされた宮廷画家たちの作品は古びてみる人もいないが、制作を禁止されても無名画工たちが黙々と描いた浮世絵は今なお人の心に響くのである。 荷風の日本趣味を窺うためには必読の一冊である。

荷風の美意識
浮世絵などを対象にしているにもかかわらず、本書には一切図がない。すべてを文章で論じているのが、荷風の真骨頂ではなかろうか。読者の頭の中に映像を生じさせるのだから。